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あとがき
下畑 享良
pp.90
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201485
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本号のゲラを拝読し,あらためて神経難病に対する本格的な薬物開発と臨床試験の時代に突入したことを実感した。さらに研究が発展し,脊髄性筋萎縮症におけるヌシネルセンのような,患者さんの人生を大きく変える疾患修飾薬が誕生することを期待したい。
しかし新薬の開発は,神経難病における超高額医療の導入といった難しい問題を引き起こすことも認識する必要がある。例えば前述のヌシネルセンは1バイアル932万円で,年3回髄腔内投与する必要がある。米国では同疾患の2歳以下の小児の静脈内投与製剤として,2019年5月にzolgensma(AVXS101)が承認された。生涯1回の投与で済むものの,現在,最も高額な2億3000万円という薬価になった。またトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーに対する国内初のsiRNA核酸医薬オンパットロは,1バイアル98万円,3週に1回点滴静注する必要があり,私の体重で計算すると年間4000万円近い費用がかかる。このような希少疾患に対する治療薬の上市は,薬剤費支出の増加を招く。
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