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あとがき
三村 將
pp.316
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101453
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「ヒトの心のはたらきは遺伝子の産物である。」はたしてこの命題は真か偽か。今日の神経科学においても,また本誌の読者にとっても,最大の関心事ともいえるこの問題について,慶應義塾大学文学部教授で教育心理学,行動遺伝学がご専門の安藤寿康先生が少し前の『三田評論』で改めて問うている(『三田評論』2011年7月号82頁「執筆ノート『遺伝マインド―遺伝子が織り成す行動と文化』」)。確かに安藤先生が言われるとおり,「生命活動は遺伝子の産物である」という命題,そして「ヒトの心のはたらきは生命活動の一部である」という命題を否定する人はほとんどいないであろう。しかし,この2つの命題から三段論法で導き出される「ヒトの心のはたらきは遺伝子の産物である」という命題には,正面切って否定できる人も少ないと思われる一方,あまりにも単純化した極端な意見には異論を唱える人も多いだろう。
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