--------------------
編集後記
近藤 幸尋
pp.188
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206821
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近「ダイバーシティ」という言葉を新聞やニュースだけでなく,病院や大学でもよく耳にすると思います.ダイバーシティ(diversity)とは,直訳すると「多様性」となり,性別,人種,国籍,宗教,年齢,学歴,職歴などの多様さを活かして,競争力につなげる経営上の取り組みを指します.「企業におけるダイバーシティ経営」といった文脈で使われますが,もともとアメリカで始まったダイバーシティ経営は,女性や性的マイノリティなどの積極的な採用や差別のない処遇を実現するために広がりました.日本においては,多様なワークスタイルや障害者雇用などを表す用語として使われ,取り組みを進める企業が増加しています.
医療の世界でも,障害者雇用を踏まえた職場のバリアフリー化やクリニカルクラークシップで海外からの採用などを行っています.当院でも外国人の実習生が午後より働いており,物品の輸送や食事の配膳などを行っております.文部科学省関連でも「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」と称して,科学技術人材育成補助事業が公募されています.この事業は研究環境のダイバーシティを高め,優れた研究成果の創出につなげるため,女性研究者のライフイベントおよびワーク・ライフ・バランスに配慮した研究環境の整備や,女性研究者の復帰・復職支援や上位職への積極登用に向けた取り組みなどを支援するものです.優秀な女性医師が妊娠・出産を経て仕事を諦めてしまう環境は非常に残念であるため,これによって研究の継続や上位職へのステップアップを後押しできれば大変よい試みだと思います.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.