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編集後記
近藤 幸尋
pp.196
発行日 2025年2月20日
Published Date 2025/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523930790020196
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最近の日本をはじめドイツ,フランスでは,それぞれの背景や要因に基づいた政治的不安が表面化しています.これらの不安は,国内外の情勢や社会構造の変化が絡み合い,民主主義国家に共通する課題を浮き彫りにしています.
日本では,少子高齢化や経済の停滞が政治的不安の主要因となっています.人口減少と財政赤字の進行により,社会保障や地方自治体の維持が難しくなっている一方,政策の抜本的な改革が進まないことへの不満が増大しています.また,政治と金,特に裏金問題で自民党は少数与党に転じました.ドイツでは,エネルギー危機や移民問題が政治的不安を引き起こしています.ロシアによるウクライナ侵攻以降,エネルギー価格が急騰し,国民の生活に大きな影響を与えています.この状況でオラフ・ショルツ政権は安定したリーダーシップを発揮できていないとの批判が高まり,国内の極右勢力が支持を拡大しています.フランスでは,年金改革を中心とした社会政策が抗議運動を招き,マクロン政権への反発が強まっています.年金受給年齢の引き上げに反対するデモは全国的な規模で展開され,国民の不満は広範な経済的格差や労働環境の悪化にも及んでいます.マクロン大統領の中央集権的な政策運営が批判され,極右や極左勢力が影響力を増しており,政治的な安定性が揺らいでいます.
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