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今年も10月31日の渋谷界隈は大変なことになるかと思われます.若者が渋谷のスクランブル交差点を中心にコスプレで練り歩いて,「ハッピーハロウィン」と連呼するのが毎年おなじみとなっています.もともとハロウィンはアングロ・サクソン系民族の祭日で,10月31日はキリスト教においてすべての聖人を崇敬する祝日である万聖節の前日にあたります.古くはケルト人の祝日で,ケルト暦の大みそかにあたり,この日の夜に悪霊や魔術師たちが戸外を駆けめぐって次の年の予報を声高に叫び歩いたようです.現在でもこれらの習慣が残っていて,仮面をかぶって広場で踊り,子どもたちがかぼちゃをくり抜いたランプを捧げて行列をなすようです.小職が米国に滞在していた1992〜1995年も,大きなオレンジ色のカボチャを農場に買いに行き,それをナイフでくり抜いてランプをつくりました.子どもたちは,魔女などの仮面や衣装で近隣を練り歩き,“Trick or Treat”と挨拶しながらカゴにお菓子を入れてもらいました.近隣の人たちはそれに備えてスーパーなどで大きな袋入りのお菓子を準備して待機しており,ある種の近隣のお付き合いといったイベントでした.
ところが日本では,渋谷に代表されるようにコスプレ行列およびコスプレパーティーに変化しています.インターネットでも「ハロウィン」で検索すると,まずはハロウィンコスプレがダーと出てきます.日本人のお祭り好きの感覚からなのでしょうか,クリスマスにしてもバレンタインにしても米国にいたときの感覚と大いに異なっています.日本に本来お祭りがないかというと,春夏秋とその地方地方で多くのお祭りがあります.それぞれのお祭りは,農作物の収穫祭や海の安全を祈るものなど多数あります.法被や股引を身につけて神輿を担いで神社仏閣のお祭りに出た若者が,ハロウィンで悪魔のコスプレを行っているのが現実のようです.
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