特集 全身疾患と耳鼻咽喉科
Ⅷ.感染症・腫瘍・その他
9.ムコ多糖症と耳鼻咽喉科
工藤 典代
1
1千葉県こども病院耳鼻咽喉科
pp.218-221
発行日 2000年4月30日
Published Date 2000/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902181
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はじめに
ムコ多糖症(ムコ多糖体代謝異常症:mucopolysaccharidosis:MPS)は先天性の酵素欠損により,ムコ多糖が全身に沈着する先天性代謝異常症であり,数万人に1人の発症といわれている。特異な顔貌(gargoyle様),関節拘縮,骨変化などをきたし,病型によっては重篤な中枢神経系症状を呈することが以前から知られている。欠損する酵素の種類により,病型はⅠ〜Ⅶ型に分類されており,それぞれに病名がついている(表1)。現在はⅤ型は存在しない。遺伝形式はHunter症候群のみが伴性劣性遺伝であり,ほかはすべて常染色体劣性遺伝である。
耳鼻咽喉科領域では難聴,中耳炎,閉塞性呼吸障害などが問題となる(表2)1〜3)。
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