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編集後記
H. M.
pp.884
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101052
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昨年10月に自殺対策基本法が施行され,それを踏まえて本年6月には,10年間で自殺者を20%減らすという目標を掲げて自殺総合対策大綱が打ち出された。その中で,自殺を予防するための当面の重点施策として,①自殺の実態を明らかにする,②国民一人ひとりの気づきと見守りを促す,③早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する,④心の健康づくりを進める,⑤適切な精神科医療を受けられるようにする,⑥社会的な取組で自殺を防ぐ,⑦自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ,⑧遺された人の苦痛を和らげる,⑨民間団体との連携を強化する,が挙げられた。ことさら職域,地域,学校でのゲートキーパーなどの人材育成と国民に対する啓発が重要になってくる。
本号の「巻頭言」(西園マーハ文女史)では,地域の保健センターでの産後メンタルヘルス援助事業として,医療機関に受診してこない方々との出会いの経験を述べられ,“本格的な受診以前の方々の症候学に注目”することの重要性が指摘された。本年4月にはがん対策基本法が施行され,がん治療全体における精神腫瘍学,リエゾン精神医学の重要性が指摘されている(内富庸介氏,本誌本年6月号,「巻頭言」を参照)。また,オーストラリア,北米,ヨーロッパから沸き起こってきた統合失調症を中心とした早期精神病の早期介入の取り組みが本邦でも始められ(松本和紀氏,本誌本年4月号,「展望」を参照),本号の「資料」では10年間におよぶ学校精神保健領域での精神障害の早期発見・早期対応の経験が示されている(小椋力氏,他)。
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