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編集後記
H. M.
pp.706
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205429
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巻頭言において呉秀三先生の有名な「二重の不幸」にまつわる興味深いエピソードが広瀬氏によって取り上げられ,呉先生はまさに“日本のピネル”という言葉に相応しい人柄と行動力の持ち主であったことをあらためて教えられました。
個人的なことですが,私は医学部学生の臨床実習オリエンテーションの際に,毎回この二重の不幸の一文を記したスライドを見せて,歴史的な背景を含めて呉先生が何を語ろうとしたのかを学生に想像してもらっています。そして,精神医療の実情を100年前の二重の不幸と対比させて,現代の日本における精神医療の「二重の不幸」を,特に精神障害への偏見の問題を中心に学生たちに話しています。さらに,精神分裂病から統合失調症への病名変更の意味と問題点は何か,精神保健福祉法はなぜあるのか,心神喪失者等医療観察法の意義は何か,障害者差別解消法や障害者雇用促進法の現実はどうか,日本では欧米とは異なる精神医療がなぜ展開しているのか,長寿国日本は先進国の中でなぜ高い自殺率を示すのか,などの問題を彼らに投げかけてみます。
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