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編集後記
H. M.
pp.208
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101808
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21世紀の先進医療の花形である再生医療や遺伝子治療の目標は,国民の理解を得ながら,個々の患者の病態に基づいた個別化医療を実践することであるといわれる。それでは21世紀の精神医療はどうあるべきであろうか? 先進医療にならって考えると,国民の理解は,精神疾患への偏見と差別を減らすことであり,個別化医療は,精神疾患の病態を明らかにして,個々の患者の経過,転帰,治療反応性に関する特性に応じた適切な医療を提供することといえるだろう。しかし,現在,我々が使用している診断学は個々の患者の経過や転帰を予測できないという問題を抱えている。統合失調症ですら経過や転帰は多様であり,現在,数年後を目標に行われているDSMとICDの改訂作業において,統合失調症などの疾患カテゴリーの再編成を検討している背景にはこうした問題がある。しかし,残念ながら現時点では経過や転帰までも読み取れるような診断体系を再構築することは難しいようで,おそらく十数年後に行われると思われる次の改訂まで,大きな課題としてこの問題は続くだろう。
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