呼と循ゼミナール
経気道療法の臨床生理(5)—経気道療法と感染
後藤 幸生
1
1名古屋市立大学麻酔科
pp.1324
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203480
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加湿療法あるいはミスト療法を行うさいに,おろそかにしてはならないことは菌による汚染あるいは肺感染の問題である。吸入療法中のネブライザの使用の増加に伴ってグラム陰性菌肺炎の激増が報告されているが,とくにこのような療法を必要とする慢性肺疾患や衰弱した患者は抵抗力が減弱しているため,発病しやすいのであろう。最近,アメリカでも吸入療法におけるもっとも大きな関心事は,この細菌汚染の問題であり,この対策に頭を痛めている現状である。ネブライザを購入しての家庭療法が普及しているので,器具の洗浄が不十分になりやすく,細菌の増殖を容易にしているという警告も発せられている。
呼吸・吸入装置では貯水槽,ネブライザ・カップ,誘導管,接続器具,いずれの器具も感染源たりうるが,見落とされやすいのはネブライザ・ジェット部分である。この部分は通常のクリーニング法で完全に清浄化されがたいからである。
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