呼と循ゼミナール
経気道療法の臨床生理(4)—水粒子力学と噴霧療法の調節
後藤 幸生
1
1名古屋市立大学麻酔科
pp.1164
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203457
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噴霧された粒子の沈着に関連した言葉でpenetrationというのは,浮遊していた粒子が1回の吸入気流で気道の奥へ運びこまれるが,その到達する深さを意味し,depositionとは浮遊状態から落下した最終状態を意味する。また,いったん落着した粒子などを除去する過程はclearanceという。このようなpenetrationやdepositionに影響する因子として,つぎに述べるような多くのものがある。
そもそも気道深部の内径は小さくなるが,その断面積の総和は逆に増加し,そのため気流速度は遅くなり,通過に時間を要するようになる。このこと自体,物質の沈着を容易にし,さらに肺胞でのガス交換が円滑に行なわれるような構造になっているといえる。しかし流入気体の流速が大に過ぎると乱流を生じ,壁面で落下しやすいので緩徐に吸気時間をかけて,充分量が末梢まで運ばれるようにする必要がある。
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