呼と循ゼミナール
経気道療法の臨床生理(6)—薬物エロゾール吸入の効果
後藤 幸生
1
1名古屋市立大学麻酔科
pp.24
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203493
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経気道的に薬液をエロゾールの形で吸入させた場合,再び多くが呼出されてしまう。このことは予定した投与量のごく一部しか生体に作用を及ぼしていないことになり,往々にしてネブライザ消費量からみて治療効果の程度を期待し過ぎることになり易いのは注意すべきであろう。しかし逆にこの事実は投与量をコントロールし易い利点につながる。すなわち注射法などでは,いったん投与されたものは,たとえその患者にとって,過量なものであっても,途中で体に吸収されるのをくいとめることができないが,吸入の場合は投与途中でも中止することができるからである。
それではエロゾールとして吸入された薬液がどのように吸収され代謝されるのであろうか,radio isotopeでラベルしたsalbutamolを用い,薬液吸入後の運命を追究してみると,これらの患者の肺から吸収利用されるのが25〜30%,尿中に排泄されるのは,結局ネブライザカップに入れた量のわずか10〜15%で,その他の大部分(25〜40%)は器具内,あるいは呼気中(35〜50%)に出ているという1)。
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