呼と循ゼミナール
経気道療法の臨床生理(3)—吸入全麻中の気道環境管理
後藤 幸生
1
1名古屋市立大学麻酔科
pp.1066
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203441
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われわれが通常行う全身麻酔に際してdryな麻酔ガスを長時間吸入させた場合,自然な気道環境はどの程度乱されるのだろうか。この方面で多くの臨床研究を行ったChalonらの報告によると,dry gas吸入1時間で既にciliated epitheliumに明らかな変化が現われ,3時間吸入させると39%の細胞はciliaとendplateにdamageがみられるようになり,cystoplastic changeが始まっており,48%に核変化が認められたという。そして室温(22〜26℃)60%の湿度を与えた場合と体温(37℃)100%飽和加湿した場合は異常がなく,この両者の間に有意差はなかったと述べている。
そこで彼らは麻酔ガスの相対湿度は60%以上あればよい(絶対湿度12〜16g/m3以上)と結論し,次に通常用いているcanister (CO2 absorber)付き循環式麻酔器がこの要求を満たすであろうかということで,各種条件を設定して検討している。この循環式麻酔器では,いうまでもなく供給される乾燥麻酔ガスに温かい呼気中の湿気,およびCO2吸収による発熱反応でCO21モルから2モルの水ができ,回路に湿気が含まれることになる。
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