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綜説
カプサイシン感受性知覚神経と心血管系―その関連の分子機序と臨床的意義
Capsaicin-sensitive Sensory Neurons and the Cardiovascular System: Molecular mechanism(s) in the linkage and clinical implications
岡嶋 研二
1
Kenji Okajima
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科展開医科学分野
1Department of Translational Medical Science Research, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences
pp.1117-1127
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100904
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はじめに
生物は,常に環境の変化を感知して,それに対して様々な適応反応を発動しながら生命を維持する.環境の変化は,外界の光や音などの波動,温度,そして化学物質の濃度の変化として生体に作用する.これらの変化は,主に視覚と温痛覚を伝達する知覚神経で感知される.
筆者らは,温痛覚を伝達するカプサイシン感受性知覚神経の刺激により,血管内皮細部の一酸化窒素(NO)およびプロスタグランジンの産生が増加し,結果的に心血管系の恒常性を維持するうえで重要な役割を担うインスリン様成長因子-I(IGF-I)の産生が亢進することを見出した.
本稿では,知覚神経刺激によるIGF-I産生の分子機序と,このシステムが心血管系の恒常性維持にどのように関わるか,さらに現在臨床で用いられている心血管系に作用する薬剤が,この重要なシステムにどのような影響を与えるかについて述べる.これらの事実を基に,カプサイシン感受性知覚神経刺激による心血管系の病態治療の新たな戦略を提唱する.
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