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コリスチン耐性機序と薬剤感受性試験
上地 幸平
1
1琉球大学病院検査・輸血部細菌検査室
pp.8-10
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208223
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はじめに
サイクリックポリペプチド系抗菌薬の1つであるコリスチン(colistin:CL)は1949年にわが国でPaenibacillus(Bacillus)polymyxaから発見された1).陽性荷電かつ疎水性を示すCLはグラム陰性菌の細胞壁外膜を構成するリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)類に結合し,外膜の架橋形成・安定化に関与しているCa2+・Mg2+を置換し,外膜そのものを破壊することで抗菌活性を示す.
CLは,主にシュードモナス属やアシネトバクター属,腸内細菌科などのグラム陰性菌に対して有効であるが,プロテウス属,プロビデンシア属,セラチア属,エドワードジエラ属,モルガネラ属,ハフニア属は自然耐性を示す.近年,カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriales:CRE)の拡散・増加に伴い,多剤耐性菌感染症に対するサルベージ療法の抗菌薬として再注目されている.本稿では,CLの耐性機序および薬剤感受性試験について概説する.
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