増刊号 Common Disease 200の治療戦略
感染症
Epstein-Barrウイルス感染症
星岡 明
1
,
河野 陽一
1
1千葉大学医学部小児科
pp.519-521
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904185
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Epstein-Barrウイルス(EBV)は人間界に広く蔓延しているウイルスであり,ほとんどの成人はEBVに対する抗体をもつ既感染者である.唾液を介して感染したEBVは,上咽頭の上皮細胞で増殖し,その後Bリンパ球に感染する.生体の免疫系は,EBVに対してcytotoxic T cell(CTL)を主体に応答しこれを制御するが,このときの反応の強さで病態が決定される.すなわち,免疫系の発達が不十分な乳幼児期に初感染した場合には,不顕性あるいは軽微な上気道症状を呈するのみであるが,免疫系が発達してきた学童期以後の初感染では伝染性単核球症を発症する.以上の急性EBV感染症は,一般にself limitingな疾患である.一方,EBVの活動性を十分に制御できずに慢性的に炎症が続く慢性活動性EBV感染症が稀に存在する.
以下に,急性感染症としての伝染性単核球症と,慢性で重症な感染症としての慢性活動性EBV感染症について述べる.
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