増刊号 Common Disease 200の治療戦略
感染症
水痘・帯状疱疹
中田 修二
1
1札幌医科大学医学部小児科
pp.515-517
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904183
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疾患概念と病態
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZVと略す)はヘルペスウイルス科に属し,初感染像は水痘として主に小児期にみられ,水痘罹患後に脊髄後根に潜伏感染していたVZVの再活性化による帯状疱疹は主に成人期にみられる.小児期でも,1歳未満で水痘に罹患したり,悪性腫瘍,臓器移植,AIDSなどなんらかの原因で免疫抑制状態にある場合には,帯状疱疹の発生頻度が高くなる.また,成人後に水痘に罹患すると,肺炎や脳炎などを合併する頻度が高くなり,一般的に重症化することが多い.また,小児では稀であるが,帯状疱疹では帯状疱疹後神経痛(PHN)などの後障害も問題となる.
水痘においては,VZVは飛沫感染によって上気道粘膜から生体に侵入し,所属リンパ節で増殖する.その後,感染4〜6日目頃に第一次ウイルス血症を起こし,肝脾などの網内系で増殖する.さらに第二次ウイルス血症をきたして,発熱とともに全身の皮膚に丘疹状紅斑を生ずる.すなわち,感染後2〜3週間の潜伏期の後に発症する.これに対して帯状疱疹は,水痘罹患後に脊髄後根神経節や三叉神経節に潜伏していたVZVが,なんらかの誘因で再活性化されてそれぞれの神経支配領域に達して,片側性に有痛性の小水疱を生ずる.上述のように,水痘と帯状疱疹は対象となる年齢層が異なることが一般的であるが,それぞれ重症化したり後障害を呈する場合があり,その特徴に応じた治療対策が必要である.
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