皮膚病診療 36巻1号 (2014年1月)

特集 結節性紅斑とその周辺

臨床例

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<症例のポイント>サルコイドーシスは皮膚、リンパ節、肺、眼など多臓器を侵す原因不明の全身性肉芽腫性疾患である。サルコイドーシスの皮膚症状は多彩であり、1)組織学的に肉芽腫を認めない非特異的病変である結節性紅斑、2)組織学的に肉芽腫とともに異物が証明される瘢痕浸潤、3)特異的病変である皮膚サルコイド(結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型とその他のまれな病型)に大別される。結節性紅斑様皮疹は肉芽腫を認める皮膚サルコイドのまれな一型であり、臨床的には結節性には結節性紅斑よりも熱感、圧痛、自発痛が軽度である。結節性紅斑様皮疹を呈するサルコイドーシスは、眼病変を高率に合併するため眼科的精査が重要である。

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<症例のポイント>サルコイドーシスの皮膚所見は本邦では福代の分類が用いられ、皮膚サルコイド、瘢痕浸潤、結節性紅斑に分類される。さらに皮膚サルコイドは結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型、その他に分類される。サルコイドーシスの結節性紅斑様皮疹と結節性紅斑は病理組織での肉芽腫形成の有無で鑑別される。今回、サルコイドーシスの皮疹ではまれな結節性紅斑様皮疹を呈するサルコイドーシスを経験した。ステロイド軟膏外用およびタクロリムス軟膏外用で皮疹が軽快した。

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<症例のポイント>成人の肺炎球菌ワクチンは近年の公費助成制度の導入などもあり、接種機会が普及している。副反応には重篤なものは少ないとされている。今回、肺炎球菌ワクチン接種後に発熱とともに接種部位を中心に対側上肢、両下肢、腰背部に圧痛を伴う紅斑が出現した症例を経験した。肺炎球菌ワクチン接種後に同様の皮疹を生じた報告はない。皮膚生検の結果、接種も踏まえ、接種部におきる注射部位反応が全身へ拡大したものと考えた。

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<症例のポイント>Bazin硬結性紅斑は代表的な結核疹で、下腿に硬結を伴う紅斑が多発する。ツベルクリン反応は強陽性で、病理組織学的に真皮下層から皮下組織にかけて乾酪壊死を伴った類上皮細胞肉芽腫を認める。自験例では切除病変部のPCRで結核菌DNAを検出した。治療は耐性菌の存在を考慮し、多剤併用療法を行うべきとされている。自験例ではイソニアジド、リファンピシン、エタンブトールを7ヵ月間内服し、治癒した。

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<症例のポイント>Bazin硬結性紅斑は皮膚結核疹の1つと考えられており、下腿に硬結を伴う紅斑を生じ、しばしば潰瘍形成を伴う疾患である。今回われわれは、クオンティフェロンTBゴールド(以下、QFT-3G)が結核菌感染の診断に有用であったBazin硬結性紅斑の1例を報告する。自験例では、皮疹部から結核菌が検出されず、全身検索でも肺結核など他臓器に結核性病変を証明しえなかったが、QFT-3Gが高値陽性で結核菌感染が示唆された。結核の標準的治療法に準じたリファンピシン(REP)、イソニアジド(INH)、エタンブトール(EB)の3剤による多剤併用療法が奏効した。活動性結核病変を伴わない結核疹に対する明確な治療指針はないが、結核菌感染が示唆される場合には積極的に結核の標準的治療を行うべきであると考える。

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<症例のポイント>Crohn病は消化管に潰瘍や肉芽腫性病変をきたす原因不明の疾患である。消化管以外に皮膚、眼、関節などが侵される。皮膚病変としては、口腔粘膜病変、結節性紅斑、壊疽性膿皮症などがみられる。Crohn病とBehcet病は、類似した皮膚病変を呈するために、時に鑑別に苦慮する。自験例は口内炎、結節性紅斑、毛嚢炎が出現し、当初Behcet病を疑った。しかし、経過中便潜血が陽性となったため、消化管内視鏡検査を行い、Crohn病と確定診断した。Crohn病とBehcet病との関連性について、過去の報告例を含めて考察した。自験例の皮膚病変はCrohn病に伴うものである可能性が高い。

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<症例のポイント>潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、以下、UC)における皮膚の腸管外病変として、結節性紅斑(erythema nodosum、以下、EN)、アフタ性口内炎や壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum、以下、PG)がよく知られているが、ENとPG合併例は少ない。われわれは、顆粒球除去療法(granulocytapheresis、以下、GCAP)とタクロリムス内服を行い、UCの消化器症状およびPGとENの皮膚症状の改善がみられた1例を経験した。PGに対するタクロリムス外用療法の報告例はいくつかあるが、内服療法における報告は自験例が2例目である。

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<症例のポイント>急性汎発性膿疱性細菌疹(acute generalized pustular bacterid、以下、AGPB)は1974年にTanらにより最初に報告された疾患である。上気道感染に引き続き、体幹、四肢に無菌性膿疱が多発し、病理組織学的に角層下の膿疱と白血球破砕性血管炎を認める。AGPBではしばしば結節性紅斑を伴う症例が散見される。自験例はAGPBの典型疹とともに下腿に淡い紅斑を伴う皮下硬結や浸潤性紅斑が多発していた。病理組織学的には典型的な結節性紅斑とは異なっており、結節性紅斑様皮疹はAGPBの一症状と考えられた。

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<症例のポイント>約20年前に生じた脂肪織炎部位の萎縮性病変、新たに生じた脂肪織炎の症状および組織学的所見、発熱などの全身症状、ステロイド全身投与で軽快した経過よりWeber-Christian病と診断した。近年脂肪織炎はその病態や誘因等によって細分化され、かつてWeber-Christian病と診断された症例はそのどれかに分類されることが多く、同疾患名は現在あまり用いられなくなってきている。自験例は細分化したいずれにも当てはまらずWeber-Christian病と診断したが、陥凹した脂肪萎縮の存在から、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫や深在性エリテマトーデスである可能性を考えて経過をみていく必要がある。

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<症例のポイント>皮膚型結節性多発動脈炎(以下、CPN)は、真皮下層から脂肪織レベルの中~小型筋性血管炎で、結節性多発動脈炎(以下、PN)と区別のつかない病理組織像を呈する。しかし、皮膚以外の臓器病変を認めない、皮膚に限局した血管炎である。CPNの臨床症状は、結節、紫斑、潰瘍、網状皮斑などが多い。今回、圧痛を伴う結節性紅斑様皮疹を主症状とするCPNの1例を経験した。結節性紅斑様皮疹を主症状としたCPNの本邦報告例は、過去10年間で13例あった。治療によく反応し、軽症である傾向がみられた。自験例はDDS 50mg/日の内服で改善した。

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<症例のポイント>PEG-IFNが誘因と考えられた好中球性皮膚症の1例を報告した。調べえた限り本邦で最初の報告である。IFN-αが、遺伝的背景を含めた何らかの機序によりサイトカインを過剰産生させ、好中球機能を亢進させ、本病態を形成したと考えられた。自験例ではプレドニゾロンよりベタメタゾンが著効し、現在まで再燃は認められていない。

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<症例のポイント>皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫(subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma、以下、SPTCL)では、病理組織学的に小葉性の脂肪織炎を呈すること、腫瘍細胞は細胞障害性T細胞の形質パターンを示すこと、T細胞受容体のモノクローナルな再構成を認めることが特徴である。病初期では異型リンパ球がわずかしか認められない場合があるため、当初はWeber-Christian病、cytophagic histiocytic panniculitis(以下、CHP)、深在性エリテマトーデスなどと診断されていても、経過とともにSPTCLに特徴的な像を呈するようになることがある。自験例でも症状再燃後の再生検にてSPTCLの確定診断に至った。SPTCLの治療として化学療法や、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤の投与が行われることが多い。自験例ではプレドニゾロン(PSL)のみでは病勢が安定せず、多剤併用化学療法を必要とした。

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<症例のポイント>末梢性T細胞リンパ腫、非特定(peripheral T-cell lymphoma、not otherwise specified、以下、PTCL-NOS)は末梢性T細胞リンパ腫の特定のタイプに分類不能なリンパ腫である。両下肢に多発性皮下結節と鼻腔内病変を認め、真皮浅層から皮下脂肪織深部まで小型から中型の異型リンパ球の稠密な細胞浸潤がみられた。腫瘍細胞はCD3+、CD8+、CD30+、CD56一部のみ+、βF1+、Epstein-Barr virus-encoded small nuclear RNA(EBER)陰性、皮膚組織でTCRβ鎖再構成あり。リンパ節、骨髄、その他臓器への異型リンパ球の浸潤は認めなかった。EBER陰性のNK/T細胞リンパ腫、γδT細胞リンパ腫との鑑別を要した。

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<症例のポイント>50歳女性の下腿に生じたprimary cutaneous diffuse large B-cell lymphoma,leg type(PCDLBL-LT)の1例を報告した。当初は結節性紅斑を思わせる臨床所見であったが、次第に結節病変を生じてきた。本症は予後不良な疾患であり、疾患の分類は予後予測、治療の選択を行ううえでも極めて重要である。

展望

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結節性紅斑はさまざまな要因によって引きおこされる反応性皮膚病変である.結核は古くから結節性紅斑の誘因の1つとされてきた.結核はまたBazin硬結性紅斑を引きおこす.本稿では両者の考え方とその差異について触れる.(「はじめに」より)

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Behçet’s disease(BD)の原因説はウイルス感染説,細菌感染アレルギー説,自己免疫説,公害説などがあり,いまだ定説はないが免疫遺伝学的背景に6 chromosome短腕のHLA-B51遺伝子を60%以上の患者が有する.一般にBDの診断は本邦では厚生労働省研究班の診断基準(2003年改訂)が使用されており,また国際診断基準(1990年)がある.両者の相違は,前者では皮膚・粘膜・眼症状の臨床症状が重要視されており,いわゆる特異反応とされる「針反応」(pathergy test)が診断の参考とされている.しかし,後者では臨床症状はもとより,「針反応」は診断基準の1つとして重要視されている.(「はじめに」より)

検査

結節性紅斑の病理 阿南 隆
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結節性紅斑は,女性の下腿伸側や外側に好発する,有痛性の皮下硬結を伴う紅斑を呈する疾患で,小児では溶連菌感染症に伴って,また成人では上気道感染症,サルコイドーシス,薬剤,炎症性腸疾患などが誘因となることが多い.病理組織像では典型的な完成期病変として,皮下脂肪組織の隔壁を中心に肉芽腫性炎症と線維化を伴った炎症細胞浸潤のある,いわゆる隔壁性脂肪組織炎:septal panniculitisを示す代表疾患の1つでもある.(「はじめに」より)

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<記載皮膚科学の持つ意味>西岡 新しい年を迎え,「皮膚病診療」の読者の皆様も新たな決意を抱かれているものと思います.本誌においても,臨床の現場にお役に立つ情報をお伝えできればと,編集委員一同祈念しているところです.毎年の第1号でおなじみとなっています新春放談をお送りいたします.今年は皮膚病の診療で最も大切な「皮膚病の記載」をテーマに,名誉編集委員長の西山先生にご参加いただき,その重要性と記載のあり方,そして皮膚病の診断についてお話をうかがいたいと思います.(冒頭より)

基本情報

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皮膚病診療
36巻1号 (2014年1月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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