糖尿病診療マスター 11巻8号 (2013年11月)

特集 患者がわかると糖尿病がわかる!―糖尿病医療学的診療スタイル

Ⅰ日常診療における困難と臨床心理学的支援の必要性

間食を記録する理由 山本 壽一
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Index

●事例紹介

●退院後経過

●事例から学んだこと

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Index

●糖尿病の起源と治療の進歩

●どうして治療が上手くいかないのだろう

●治療中断を防ぐ試み

●患者の抱える思いに耳を傾け,受けとめる

●患者の精神的負担を取り除くために

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Index

●糖尿病の治療/療養の主体は患者である

●糖尿病は20年,30年経たないと治療の医学的意義がわからない

●糖尿病治療の真の目標

●行動を支える心理・社会的要因

●そこには言葉や態度を通じたつながりが必要である―患者心理を考えたコミュニケーションの必要性

●感情の問題を扱う時―時間の因子に対する心構え

●糖尿病医療学という領域を創ろう

●提示症例のその後の経過―糖尿病への思いが変わった

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Index

●症例提示

●初診~インスリン導入まで

●インスリン導入~心療内科受診まで

●心療内科受診から調査面接開始まで

●調査面接開始後

●医師の立場から

●心理臨床家と一緒に患者をみること(調査面接の導入理由)

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●研究会の活動より―“関係”と“語り”について

●調査面接より(1~3回目)

●調査面接より(4~8回目)

●Aさんとの関わりから学んだこと

症例へのコメント 任 和子
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●Aさんはどんな人なのだろうか

●セルフマネジメント支援の視点から

Ⅲ糖尿病患者のこころにどう向き合うか

糖尿病専門医の立場から 柳澤 克之
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●「治す人」と「治される人」ではカテゴライズできない糖尿病

●糖尿病患者と関わること

●心理的なアプローチとの出合い

●“聴く力を磨く”

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●糖尿病腫瘍外来

●セルフマネジメントの衝突

●“multimorbidity”の時代と医療学

●がん診療における取り組み

●サバイバーシップとレジリエンス

●病いは誰のものか?

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●臨床心理士との協働体験以前のこと―石井先生との出会い

●臨床心理士との協働体験の始まり―京都大学での学び

●金沢での事例検討会

●DoingからBeingへのパラダイムシフト

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●全人的観点からみた「糖尿病」

●糖尿病を抱えて生きる

●生きる時と人生

季節を感じる糖尿病食―日常のひと工夫

―霜月―風邪鍋 城戸崎 愛
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患者の知恵

■ストレスが血糖値を上げる

 「食べ物だけでは血糖値は案外動かない―精神的なストレスが血糖値を上下させる」ということを糖尿病と長く付き合ってきて感じています.ですから,なるべくいらいらしないように心がけています.食事に関しても「1週間でまあまあの数字がでればよい」.それぐらいゆったりと考えてはいかがでしょうか.途中で「やめた」というわけにはいきませんから.私自身,初めは努力しましたが,次第に「このくらいでも,精神的に穏やかでいられる」という量で満足するようになりました.糖尿病に関わらず現代病の多くはストレスがかかわっているとも言われていますので,穏やかな生活を送りたいものですね.

Perspective◆展望

糖尿病をもつひととの30年 石井 均
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 私事ではあるが,今年の9月で30年勤務した天理よろづ相談所病院を退職した.これに伴い,30年間診療を続けていた外来をやめることになった.この外来には私の赴任当初からの患者さんがかなりの数いらっしゃった.つまり,30年近く私の外来に通い,糖尿病をもつ人生を送り,私と付き合っていただいた方々とお別れをしたことになる.30年間,一人ひとりの患者さんの糖尿病と人生にお付き合いさせていただいたことは,得難い体験であり,このことの意味を考え続けている.

 ところが,一人ひとりのお顔や病歴などを思い出しながら糖尿病という疾患に関連する治療の変遷を考えていると,どうもまとめきれない.そこで,今回は別れに際しての患者さんの最後の言葉と私が目指してきた糖尿病診療のあり方との関係について考えてみた.

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 皆藤 章先生は京都大学大学院で臨床心理士を養成する傍ら,心理臨床家の立場から糖尿病の領域に長く関わっていらっしゃいます.最初は科学者をめざし工学部へ入学した先生は在学中,2つの人生の大きな変わり目に出遭い,工学部から教育学部へ転部,そして大学院へ進み,河合隼雄先生のもとで心理臨床家としてのトレーニングを始められました.そして,糖尿病診療での関わりをきっかけに,患者のこころの問題について深く考えるようになったとおっしゃいます.

 今回のMaster Interviewでは,人生の転換点とこれまでの道程をたどりながら,臨床心理学と糖尿病医療学の接点について,臨床の場でともに研究を重ねてきた石井均氏が伺います.

診療科別Clinic Report

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クリニックの紹介

 当クリニックは1953(昭和28)年に内科,小児科医院として開設され,今年でちょうど60年になる.2008(平成20)年2月から,筆者が院長となり血液内科も標榜するようになった.したがって,血液内科といっても,以前と変わらず,主として一般的な内科,小児科医療を行っている.

 血液内科を標榜してから2013(平成25)年1月31日までの5年間に当院を受診した保険診療患者の実人数は4,817人であった.そのうち血液疾患は208例(4.3%)に過ぎない.一方,高血圧症408例(8.5%),脂質異常症304例(6.3%)等,いわゆる一般的な生活習慣病が多く,糖尿病は耐糖能異常を含め73例(1.5%)であった.

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 臨床とは何か? 人の営みの現場にかかわること.人とかかわることで人は悩み・模索します.患者をみる医療者は多くの疑問を持ちながら日々をすごしています.これらの多くの疑問にどう答えることができるか.EBMはこの疑問の答えをどのようにして導くかを示しています.しかし,すべての疑問についてエビデンスがあるわけではなく,これから作り出さなければならないことは明白です.

 臨床研究は,「臨床研究に関する倫理指針」では,疫学研究とわけて定義されています.臨床研究は,「医療における疾病の予防方法,診断方法及び治療方法の改善,疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって,人を対象とするものをいう.」と説明され,医薬品又は医療機器を用いた予防,診断又は治療方法に関するもの,とつづく.本書で書かれている臨床研究は,もっと本質的なところを示しています.診断,治療,病態の解明がこれまでの臨床研究の大きなテーマで,現在も多くの医学研究者が行っていますが,著者は,臨床研究は4つのカテゴリーに集約されると述べています.①病気や診療の実態を調べる研究,②診断法を評価する研究,③要因とアウトカムとの関係を調べる研究,④治療・予防法の効果を調べる研究,です.①では病気の実態だけでなく“診療の実態”も対象にされています.医療者が実際の臨床の場で感じた疑問を,臨床研究となるように整えエビデンスを作りだす.わが国の臨床疫学をリードし,臨床研究デザインの第一人者として多くの研究者を育ててきた著者がこれまで蓄積してきたknow-howを,具体的でわかりやすく惜しげもなく述べられています.

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 栄養士,管理栄養士の先生方と学会や研究会で一緒になると,よく言われることは,医師は栄養学についてきちんと学んでいない,知らない,興味がない,そのような先生が多いという不満です.栄養学に関しては,我流で患者さんに接している医師が多く,栄養士の先生方が困ることもあるそうです.

 確かに,自分自身で考えても,栄養学について系統的に授業を受けたことはありませんでした.栄養学という独立した講座は本学になく,医学部の中でも栄養学講座を持っている大学は極めて少ないのが実情です.講座がある学校でも,栄養学部を併設している場合か,糖尿病など栄養に密接に関連する臨床教室が名前をつけているケースが多く見受けられます.一方で,高血圧や糖尿病,脂質異常症,動脈硬化,肥満などの分野では,国の健康日本21政策もあって,予防医学の概念が重視され,栄養学についても討論,研究,そして応用する下地ができつつあります.特に,特定健診・特定保健指導が開始されて5年たち,種々の医学分野で食事療法,栄養学の概念がより大きな存在となってきています.

どうする?! 糖尿病患者のCommon Disease対応

手の痛み・しびれ・こわばり 亀山 真
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はじめに

 糖尿病患者に多発する手の障害としては,狭窄性屈筋腱腱鞘炎(以下,腱鞘炎),手根管症候群,Dupuytren拘縮,limited joint mobilityがあり,これらは糖尿病手症候群(diabetic hand syndrome)という概念でとらえられている.各病態の診断はフローチャート(図1)の通りであるが,これらは複数病態を併発していることも稀ではない.また糖尿病患者が自覚する痛み,しびれ,こわばりは,糖尿病末梢神経障害の臨床症状とされやすいが,手では腱鞘炎や手根管症候群が主因であることが多い.本稿では,手の痛み,しびれ,こわばりを有する代表症例を呈示し,その特徴,診断,治療の実際について述べる.

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重症低血糖は心血管疾患リスクを上昇させるか?―メタ解析の成績より

砂金 知里・中神 朋子

認知症を発症する血糖値はいくらか?

細井 雅之・上野 宏樹・川崎 勲

Updates 2013◆糖尿病学の進歩

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はじめに

 近年わが国では生活習慣の西洋化が進み,肥満とともに糖尿病が急増している.糖尿病は,最小血管障害や大血管障害のみならず悪性腫瘍や認知症など多彩な合併症をもたらし,生命予後にも大きな影響を及ぼす重大な疾患である.糖尿病を予防するには,その高リスク群を早期に見出し,食事や運動による生活習慣の介入を行うことが有効である.しかし,これまで糖尿病の高リスク群を正確かつ簡便に把握する指標はなかった.一方,近年,客観的な疫学的エビデンスに基づいて疾病の発症予測を行いその高リスク群を同定する手法の1つとして,リスクスコアが注目されている.本稿では,福岡県久山町における追跡研究(久山町研究)のデータをもとに考案された糖尿病発症を予測するリスクスコアと,それを実用化したソフトウエアを紹介する.

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お知らせ
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第12回日本フットケア学会年次学術集会

会 期:2014年3月7日(金)~3月8日(土)

会 場:なら100年会館・ホテル日航奈良

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糖尿病診療マスター
11巻8号 (2013年11月)
電子版ISSN:1347-8389 印刷版ISSN:1347-8176 医学書院

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