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臨床研究の道標―7つのステップで学ぶ研究デザイン
小泉 順二
1
1金沢大学附属病院 総合診療部・総合診療内科
pp.801
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101635
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臨床とは何か? 人の営みの現場にかかわること.人とかかわることで人は悩み・模索します.患者をみる医療者は多くの疑問を持ちながら日々をすごしています.これらの多くの疑問にどう答えることができるか.EBMはこの疑問の答えをどのようにして導くかを示しています.しかし,すべての疑問についてエビデンスがあるわけではなく,これから作り出さなければならないことは明白です.
臨床研究は,「臨床研究に関する倫理指針」では,疫学研究とわけて定義されています.臨床研究は,「医療における疾病の予防方法,診断方法及び治療方法の改善,疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって,人を対象とするものをいう.」と説明され,医薬品又は医療機器を用いた予防,診断又は治療方法に関するもの,とつづく.本書で書かれている臨床研究は,もっと本質的なところを示しています.診断,治療,病態の解明がこれまでの臨床研究の大きなテーマで,現在も多くの医学研究者が行っていますが,著者は,臨床研究は4つのカテゴリーに集約されると述べています.①病気や診療の実態を調べる研究,②診断法を評価する研究,③要因とアウトカムとの関係を調べる研究,④治療・予防法の効果を調べる研究,です.①では病気の実態だけでなく“診療の実態”も対象にされています.医療者が実際の臨床の場で感じた疑問を,臨床研究となるように整えエビデンスを作りだす.わが国の臨床疫学をリードし,臨床研究デザインの第一人者として多くの研究者を育ててきた著者がこれまで蓄積してきたknow-howを,具体的でわかりやすく惜しげもなく述べられています.
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