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特集 患者さんに上手に説明するための17の秘訣
糖尿病腎症とはこんな病気です
How to explain the diabetic nephropathy
赤井 裕輝
1
1仙台厚生病院糖尿病代謝センター
キーワード:
①糖尿病腎症
,
②蛋白尿
,
③高血圧治療
,
④低蛋白食
Keyword:
①糖尿病腎症
,
②蛋白尿
,
③高血圧治療
,
④低蛋白食
pp.602-605
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100260
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顕性腎症患者に正しい病識を持ってもらう工夫は
患者に病識が乏しいということは,医療者と患者で現状認識に大きな隔たりがあり,医療者の説明が患者を素通りしている状態を意味する.蛋白尿があっても症状がなければ,患者は糖尿病発症初期と認識が変わっていない.患者にとって必要なのは普通人と変わらない生活を送れるのはあと何年かということなので,糖尿病人生の座標軸(前ページの下の図)を用い,早く有効な治療を開始しないと,自由のきく期間が短いことを知らせる.
「特効薬はなくとも回復した患者さんはおられます」という勇気のわく情報を上手に伝えるには
効果があるのかないのかわからない治療の説明では,患者は前向きにはなれない.良い治療法がないなら,おいしいものをたくさん食べて太く短い人生でもいいとなり,民間療法に走ってしまうのも理解できる.しかし大規模臨床試験の成績がないだけで,有効な治療法がないと話すことは患者の改善の可能性を医療者が奪うことになる.無効であることを証明した成績もまたないのである.筆者はネフローゼから寛解(蛋白尿消失)した自験例などを話している1,2).医療スタッフがまずあきらめてはいけない.こちらがあきらめていては患者の気持ちは動かない.
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