助産雑誌 73巻5号 (2019年5月)

特集 子どもを取り巻く現状に即した性教育とは

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昨今,携帯電話やSNSの普及といった背景から,中・高校生,大学生などの子どもや若者を取り巻く環境はどんどん変わっており,2018年1月に改訂版が発刊された『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』でもその変化について触れられています。本特集では改訂された『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』と,そこで掲げられている「包括的性教育」を取り上げます。さらに,若者に性教育を行っている講師の方々の性教育の講義の実際をご紹介します。子どもたちを守るために,今,本当に必要な性教育とは何かを考えたいと思います。

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2018年1月,「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の改訂版が発表されました。本稿では,改訂される以前の「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が発行された意義や目的を紹介すると共に,改訂版ではどの部分が変更されたのか,そして改訂版のガイダンスにおいて強調されている「包括的性教育」とは何かということを解説しています。

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性教育をするには,その対象のことを理解しなければなりません。中高生や大学生への性知識の調査やピア・エデュケーションも含めて,彼らに寄り添った情報提供をしているピルコンの活動内容をご紹介いただきます。

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年間1〜2回の講演ではまったく足りないと,筆者は言います。そこで,子どもたちを取り巻く危険を回避するための「ライフスキル」を伝えることで,性にまつわる知識も得てもらうそうです。

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社会や大人が,性に関する問題や現実から目を背けてはいけないという思いから,未来のある子どもたちへ向けた性教育の在り方を模索している筆者。学校からの要望もあり,思うようには展開できない場合もありますが,現状に即した包括的な性教育の実現に力を入れています。

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秋田県では2000年より始まった性教育事業により,10代の人工妊娠中絶実施率を大きく低下させました。それは単に医師が性教育を行ったからではなく,秋田県教育庁,各学校,そして秋田県の医師の方々が連携し,教育システムを作り上げたための結果です。本稿では,その具体的な教育システムと教示内容をまとめます。

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草加市では,市内小・中学校への性教育の授業に草加市立病院助産師が派遣され,その依頼を教育委員会が取りまとめています。また,一方で,草加市立病院助産師と市内の中学校教師が性教育の勉強や情報交換を行う「若芽さ〜くる」というサークル活動を行っています。本稿では地域で協働しながら授業を進めていくことの大切さをご紹介いただきます。

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埼玉県八潮市における,小・中学生を対象とした性教育の授業についてまとめていただきました。筆者が性教育の授業を担当することになった経緯や,実際のプログラム,教えるに当たって注意するべきポイント,そして授業を受けた小・中学生からの声をご紹介します。

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自然家族計画法とは

 自然家族計画法(以下,NFP)は,女性に自然に備わっている妊孕能(妊娠する力)に気付き,そのしるしを継続して観察することにより,月経周期が順調であるのは健康な体の現れであり,女性としての健康を保つ努力が必要なことを知らせる。そしてさらに,観察によって知る排卵期を,妊娠の調整に役立てる方法である。また,妊娠を望む,望まないカップルだけではなく,若い女学生時代から,体の働きを知り,将来の妊娠する力を大切にする方法でもある。

 初潮に気付いた少女のうち,どれだけが近い将来自分が排卵し妊孕能を持つということを教わり,理解しているだろうか? かつて婦人科外来で「下り物がおかしい」と受診した若い女性に,「大丈夫,あなたの卵巣はよく働いていますよ」と帰っていただいたことがある。

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 5月5日は「国際助産師の日(International Day of the Midwife)」。

 この日,世界各地で助産師に関連したイベントが開催され,助産ケアの重要性や助産師の必要性等について周知活動が行われる。日本においても,助産師の仕事や役割・専門性を多くの人に理解してもらい,身近に相談できる助産師の存在を紹介するイベントが各地で行われている。

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はじめに

 近年,新生児のスキンケア方法について,さまざまな方法が検討されている1−3)。アレルギー疾患のハイリスク群ではない一般集団の1カ月健診において,皮膚の異常所見を4割近く認めたこと3)や,新生児の皮膚ケアについて不安を抱いている母親が約3割いたこと4)が報告されており,新生児のスキンケア方法は改善が望まれる状況にある。しかし標準的なスキンケアの方法は定まっておらず,方法の選択は各施設に委ねられているのが現状である5)

 新生児の従来の一般的な沐浴方法は,児を片手で保持しながらもう一方の手で洗浄し,桶に汲んだお湯で石鹸を流すといった方法である6−9)。具体的には,まず沐浴槽にお湯をため児に沐浴布をかけ,頸部と臀部を保持し湯の中に入れる。仰臥位の姿勢を片手で保持し,もう片手に洗浄剤をつけて顔,頭髪,胸腹部,四肢の順に洗う。次に腹臥位の姿勢にし,背部を洗い,再度仰臥位にしたら陰部を洗う。最後に児を沐浴槽より持ち上げてかけ湯をするといった方法である。

 新生児の沐浴では,頸部や腋窩などの皮膚の重なり合う部分は,汚れや石鹸成分が落ちにくく皮疹の原因となりやすいため十分に洗い流す必要があると言われている7)。しかし,従来の沐浴方法のように沐浴槽につかりながら洗浄する場合,片手で児を洗浄するため皮膚の重なり合う部分を丁寧に洗浄することは困難である。

 また産後入院中の母親に対する調査では,沐浴方法について不安を感じる初産婦は33%,経産婦は25%であった10)。母親にとって従来の沐浴方法のように,片手で保持し,もう一方の手で洗浄する方法は容易ではない。沐浴指導内容を検討する際には,児の安全性や養育者にとって難しい手技ではないという視点も重要である。

 この30年間のわが国の入浴に関する環境は大きく変化している。家庭のシャワーの普及率は1985年に70%,2005年にはほぼ100%となり11),どの家庭でも新生児の沐浴にシャワーを利用することが可能になった。かけ湯よりシャワーで洗浄剤を流す方が退院後の生活環境に類似しており,手順が少なく実施しやすいと考えられる。

 アレルギー疾患のハイリスク児に対して保湿剤を毎日塗布することでアトピー性皮膚炎の症状出現率が有意に低下したことをHorimukaiら12),Simpsonら13)が相次いで報告した。またヨーロッパの正常新生児のスキンケアの勧告14)では,適切な組成の保湿剤は皮膚バリア機能を良好に保つため,一般集団の新生児に対しても保湿剤の塗布を推奨している。

 以上より,養育者が不安なく丁寧に洗い,洗浄剤を十分に流し,保湿剤塗布をするスキンケアが,1カ月健診における皮膚状態に良好な影響を与えるのではないかと考えた。

 A病院ではこのような背景を元に,2015年から児を寝かせた状態で両手を用いて洗い,洗浄成分をシャワーで流し,保湿剤塗布を行う沐浴指導内容に変更した。そこで,1カ月健診における皮膚異常の有症率を変更前と変更後で比較し検討した。

この本,いかがですか?

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 『新生児学入門』というタイトルの本書であるが,この本には「ピンクの本」というかわいい別名がある。30年間,私も含めて新生児に関わる人々に愛されている本書は,私たちにとってバイブル的存在である。スマートフォンで何でも調べられる現代でも,本書は新生児医療を志す人々にとって机の傍らに置いておきたいかけがえのない1冊であり,この本を持つだけで,新生児医療に携わる同志であることを示すアイテムでもある。堅苦しい専門用語で会話するより「“ピンクの本”に書いてあったよね」と話すだけで相互理解ができるのである。

 著者自身が教科書ではなく“新生児医療関係者の愛読書”を目指したように,この本には医学書らしからぬ表現が随所に認められる。たとえば,30年前は呼吸窮迫症候群の児が入院すると,出生から72時間の期間を自分の技術と体力を最大限発揮して,気胸,動脈管開存による状態の悪化がないように勤務時間を過ごしたものだ。それを経験した医療者には,サーファクタント補充療法を“ドラマチックな効果”という表現で記載したい気持ちがよく理解できる。サーファクタント補充療法が当たり前になった今の世代からすると大げさな表現かもしれないが,この本は,読む世代によって文章の受け止め方が異なることもユニークな魅力である。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・9

永田夏来さん
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「結婚と子どもは別」そう考える人たちをもっと認めてほしい

家族を作ることを考える時,従来の形は重過ぎると感じる若者が急速に増えている。永田さんは,若年妊娠や,あえて結婚をしない「選択的シングル・マザー」の親たちの声を聴き,「家族は,自分が思うように作っていい」というメッセージを発信している家族社会学者だ。ソーシャル・ネットワークがつなぐシェアハウスなど, 若い世代が試し始めた新しい家族観の周辺を聞いた。

連載 宝物,教えてください・40

おきあがりこぼし 宮下 美代子
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 私の宝物は何かを考えたとき,1990年に開業してから今日まで助産所にいつも置いてある「おきあがりこぼし」だと思いました。この玩具との出会いは,私が開業をしたとき,恩師である熊澤美奈好先生に,開業祝いとして大きなおきあがりこぼしを2個いただいたことです。その後も熊澤先生からは,2度助産所を移転した際を含めて,これまでに6個も贈っていただきました。

 おきあがりこぼしは,産後のお母さんが赤ちゃんを「どうやってあやしていいかわからない」と言うときに最も適した玩具の1つです。大きな目が特徴で,赤ちゃんがそれをじ〜っと見つめて目で追っていき,その反応を見た親御さんが感動する場面をよく目にします。

連載 現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践・5

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はじめに

 妊産婦を取り巻く背景やリスクが複雑化している昨今,妊娠・分娩・育児期とシームレスな支援を提供するための地域保健師との連携は不可欠である。今回,周産期ケアにおける地域との連携体制やそのためのケアの標準化を目指し,母性看護専門看護師(以下,CNS)が担った計画的・段階的なスタッフ育成のための活動について示す。

連載 NIPTと優生思想をめぐって・2

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NIPTコンソーシアムへの公開質問状とその経緯

 コンソーシアム(consortium)とは「共同事業体」と訳されているごとく,ある目的に沿って活動する2つ以上の個人やグループからなる団体のことである。わが国のNIPTコンソーシアムは,この画期的な出生前診断技術であるNIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)が,倫理的規範の乏しい日本に導入されることがきっかけで,引き起こされかねない問題を懸念した,周産期医療に携わる3人の産婦人科医師が立ち上げたものである。前編で述べたごとく,幸いにも日本産科婦人科学会を中心としたいくつかの関連学術団体によって極めてレベルの高い倫理規定が作成され,学会が認定した施設において実施するという縛りの下に臨床研究という形でスタートしたが,その活動の中心がNIPTコンソーシアムであった。

 筆者は周産期医療および生命倫理に携わってきたことから,わが国で展開されているNIPTを用いた出生前診断の現場に一抹の不安を感じ,同様な思いを持っていた周産期医療に関わる医師仲間と,以下のような公開質問状をNIPTコンソーシアムに提出した。それは,コンソーシアムを立ち上げた医師たちの「急がなければ」という危機感を理解しながらも,十分な倫理的配慮がなされないままの見切り発車の感が否めなかったからである。NIPTコンソーシアムは真摯にそれを受けて,文面による回答と公開シンポジウムなどの対応を行った。その経緯の一部を以下に参考として提示する。

連載 地域助産師&施設助産師&保健師がつながれば笑顔が広がる 「助助っぽ連携」を始めよう!・2

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 前号では,「助助っぽ連携」の必要性をお伝えしました。産後ケアの導入が進んでいくと,地域助産師(助産所や訪問等で働く助産師)と保健師は必然的に連携します。では施設助産師(病院等の施設に勤務する助産師)と地域助産師との連携はどうでしょうか。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・49

首都大学東京 助産学専攻科
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沿革

 首都大学東京助産学専攻科(以下,本専攻科)は,東京都が設置する大学専攻科で,助産師教育の歴史は1956年設立の東京都立助産婦養成所から始まります。助産師の養成課程はその後,東京都立公衆衛生看護専門学校助産学科,東京都立医療技術短期大学専攻科助産学専攻を経て,1998年に,東京都立保健科学大学となり,4年制の統合カリキュラムへと移行しました。2005年には,都立の3つの大学と短期大学が再編,統合され首都大学東京が開学しました。

 当時の4年制の統合カリキュラムでの助産師教育は,時間的な制約と,看護師,保健師,助産師の3つの国家試験を受験するという学生の負担が大きいと感じられていました。また開学してから数年後,東京都では「『2020年の東京』への実行プログラム2012」が策定されることとなりました。この実行プログラムに,「首都大に助産学専攻科を設置し,実習等のカリキュラムの充実を図り,より質の高い助産師を育成する。すでに看護師免許を持つ者に対しても,当専攻科によりキャリアアップさせることで,より実践的で高度な知識・技能を備えた人材を輩出する」ことが掲げられ,2012年4月に首都大学東京助産学専攻科が開学しました。

連載 りれー随筆・412

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 「いつか絶対助産院で働きたい」

 助産師学生だった私が初めてぼっこ助産院を訪れた日の日記の1文です。私が勤務するNPO法人いのちの応援舎ぼっこ助産院は,山本文子先生,眞鍋由紀子先生をはじめとするたくさんの人の夢が詰まった場所です。12年前,助産院の喫茶室で無垢材の大きなテーブルを囲んで,山本先生と眞鍋先生にいのちの応援舎への思いや,ぼっこ助産院でのお産の話を聞かせていただきました。帰り際,同級生の1人が,先生たちに「手を見せて欲しい」とお願いし,山本先生と眞鍋先生の手を見せていただき,握手をしました。お2人の温かい手に触れ,こんな助産師になりたいと思いました。前回りれー随筆を書かれた松尾助産師が,2015年6月にきっかけを作ってくださり,「助産院で働く」という私の夢が実現しました。

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助産雑誌
73巻5号 (2019年5月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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