この本,いかがですか?
新生児学入門 第5版
内田 美恵子
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.398
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201265
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
『新生児学入門』というタイトルの本書であるが,この本には「ピンクの本」というかわいい別名がある。30年間,私も含めて新生児に関わる人々に愛されている本書は,私たちにとってバイブル的存在である。スマートフォンで何でも調べられる現代でも,本書は新生児医療を志す人々にとって机の傍らに置いておきたいかけがえのない1冊であり,この本を持つだけで,新生児医療に携わる同志であることを示すアイテムでもある。堅苦しい専門用語で会話するより「“ピンクの本”に書いてあったよね」と話すだけで相互理解ができるのである。
著者自身が教科書ではなく“新生児医療関係者の愛読書”を目指したように,この本には医学書らしからぬ表現が随所に認められる。たとえば,30年前は呼吸窮迫症候群の児が入院すると,出生から72時間の期間を自分の技術と体力を最大限発揮して,気胸,動脈管開存による状態の悪化がないように勤務時間を過ごしたものだ。それを経験した医療者には,サーファクタント補充療法を“ドラマチックな効果”という表現で記載したい気持ちがよく理解できる。サーファクタント補充療法が当たり前になった今の世代からすると大げさな表現かもしれないが,この本は,読む世代によって文章の受け止め方が異なることもユニークな魅力である。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.