助産雑誌 73巻4号 (2019年4月)

特集 数十年先まで見据えた周産期のケア 尿失禁や骨盤臓器脱から女性を守る

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妊娠中や分娩時に骨盤底筋群を損傷することによって,産褥期だけでなく,数十年後に症状が現れてくることがあります。例えば老年期に差し掛かる頃に,尿失禁,便失禁,骨盤臓器脱を発症することが知られています。

本特集では,骨盤底筋群損傷によって引き起こされる症状を解説すると共に,そういった症状を出さないためにできる対策を紹介します。適切な予防法を知り,妊婦の未来を守るためのケアの一助としていただければと思います。

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妊娠中や分娩時における骨盤底筋群への侵襲や,分娩時に骨盤底筋群を損傷することによって数十年先に生じる3大障害(腹圧性尿失禁,骨盤臓器脱,便失禁)の発生機序,そしてそれらの症状について解説していただきました。

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一般的に,生涯を通して骨盤臓器脱に関連した疾病に罹患する確率は11.1%と言われています。骨盤臓器脱の要因となる3つの危険因子と,骨盤臓器脱の予防,介入,治療法について,分娩・産後ケアやサルコペニアとの関連も含めて解説していただきました。

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木野産婦人科医院では1カ月健診において,理学療法士が母親の骨盤の安定性や骨盤底筋群の筋機能を評価しています。さらに産後の骨盤周囲のマイナートラブルを予防するために,妊娠期からのアプローチを実施しています。その内容を紹介します。

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女性は妊娠・分娩により,下部尿路機能へ何らかの影響を受けることがあります。不快感を伴い,生活の質を左右するため,「よくあること」で済ませず,きちんとアセスメントし,ケアに発展させましょう。本稿では,超音波を使用したアセスメントをご紹介いただきます。

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日本赤十字社医療センターにおける,妊娠期・分娩期・産褥期のペリネ(骨盤底筋群)ケアをまとめていただきました。また出産後に腹直筋離開を発症した妊婦に対するペリネケアも記載しています。

海外レポート

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はじめに

 国際協力機構(以下,JICA)は1996年から2001年にかけて,ブラジル・セアラ州で「ブラジル家族計画母子保健プロジェクト(通称「光のプロジェクト」)」を実施しました。これは,JICAの国際保健協力事業の中で,初めて「出産と出生」「助産」を中心に置いた技術協力プロジェクトでした。

 プロジェクトの事前調査では,当時のブラジルの,妊産婦が一人の人間として尊重されない「非人間的なお産の文化」が指摘されました。そこで,出産現場のケアの質の向上を目指して,日本から延べ44名の専門家がブラジルに派遣され,ロールプレイ,演劇,グループワーク,ゲームなどをふんだんに取り入れた参加型トレーニングや臨床実践を通じて,日本の助産の心と技を伝えました。

 助産師制度がなかった国に助産ケアを導入したこのプロジェクトの成果は,『助産婦雑誌』2001年4月号(第55巻4号)で特集が組まれています。

 現在JICAでは,「人間的な出産と出生」のプロジェクトの意味を振り返り,国際保健協力における助産ケアの価値を掘り起こすための取り組みを行っています。その一環として,「光のプロジェクト」を中心に,これまでの活動の成果を紹介する映像資料を作成しており,筆者も,2018年10月にプロジェクト終了から17年経ったブラジルを訪問し,さまざまな人に出会い,現地で生の声を聞いてきましたので,「光のプロジェクト」の今をリポートいたします。

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 私は出産ケア政策会議の第2期研修生です。何度か『助産雑誌』にも記事が掲載されましたが,出産ケア政策会議とは,日隈ふみ子氏(佛教大学教授),古宇田千恵氏(日本妊産婦支援協議会りんごの木代表),ドーリング景子氏(オークランド工科大学博士課程)らBirth for the Future(BFF)研究会が主催する研修会です。2017年5月から始まり,出産の在り方を制度・政策面から支えるために,女性のニーズに沿った政策転換を目指して議論をしてきました。

 その議論の中から,「マイ助産師制度」が提案されました。これは,すべての妊産婦に,妊娠初期から分娩,産後のケアを同一の助産師が行うことを保証する制度です。現在,私が嘱託医と共に行っているオープンシステムが,そのマイ助産師制度を具現化していると思いますので,その実践内容をご紹介します。

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開催にあたって

徳永昭輝

 第34回日本分娩研究会(以下,本研究会)が,2018年10月18日に朱鷺メッセ(新潟県新潟市)で開催され,全国から219名の助産師,看護師,学生,産婦人科医師が参加しました(写真1)。

 本研究会は,1984年に故岡山大学名誉教授の関場香先生が発起人となり開催された,日本分娩体位懇話会が始まりであり,1999年に日本分娩研究会と名称を変更し現在に至っています。

連載 NIPTと優生思想をめぐって・1【新連載】

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本連載を始めるにあたって

 母体の採血により胎児の染色体を検査する無侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-invasive prenatal genetic testing:NIPT,正しくは母体血による胎児染色体検査)は,従来のトリプルマーカーなどの方法に比べ飛躍的にその感度および精度が高い出生前検査であり,わが国でも早晩広く普及することは間違いない。しかし,現段階のNIPTはスクリーニング検査であり,偽陽性の場合は侵襲的な羊水穿刺による確定診断が不可欠である。ところがそれをスキップして中絶を選択する妊婦がいることは,NIPT導入により正常な染色体の胎児がその命を奪われるリスクという大きな倫理的問題を含んでおり,産科および新生児科医師に加え遺伝カウンセラーなどの専門集団の関与が不可決である。

 産科グループが中心のNIPTコンソーシアムによるハイリスク妊婦を対象とした5年間の臨床研究を経て,2018年よりNIPTが一般臨床に組み入れられるようになった。それから,「誰でも,いつでも,手軽に,安く」とビジネス感覚で行う医療施設が多数出現している。このような優生思想による安易な生命の選別の流れを正すために,NIPTそのものおよび臨床への応用に関する正しい知識を,医療者のみならずクライアントとなる妊婦にも知ってもらうこと,そして一般社会へその重要性を啓発することは,周産期医療に携わっているわれわれの責務である。

 現在の周産期医療の現場における最も重要かつ未来にも影響を及ぼす問題であるNIPTに特化した本連載では,最初にわが国におけるNIPT導入の過程,その問題点と現状,さらに優生思想の倫理的問題点を解説した後に,法的観点から,臨床の現場から,さらにクライアントの立場からの論説を掲載する予定である。

連載 地域助産師&施設助産師&保健師がつながれば笑顔が広がる 「助助っぽ連携」を始めよう!・1【新連載】

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私の考える助助っぽ連携

悩むママたちと「答え」の多様化

 私は東京都で開業65年の歴史を誇る森田助産院の3代目(仮)の助産師です。助産師になって27年目,地域に出て23年になります。総合病院で4年勤務した後,助産所に就職し,地域での助産師活動を開始しました。地域での活動を5年ほど行った後は,助産所の仕事をメインに,他団体や助産師会での委員会活動などもしていました。

 最近は,再び助産所近隣での地域活動を増やしていますが,20年前と今とでは,ママたちの悩みは似ていても,求めている答えが多様化していると感じます。その分,助産師や保健師など,ママたちに関わる全ての専門職には,多様な知識と技術が求められていると言えます。そんなママたちの悩みに対応するためにも,専門職の皆さんはたくさん勉強しています。

連載 私たちの仕事場・31

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当院および産科の概要

 地方独立行政法人総合病院 国保旭中央病院(以下,当院)は,千葉県北東部に位置する旭市にある基幹病院です。病床数は989床,年間約5万件の救急外来患者の受け入れや年間約8500件の手術を行っている急性期病院で,災害拠点病院にも指定され周産期における体制も整備しています。「すべては患者さんのために」をモットーに,看護局では「一人ひとりに寄り添う看護」を理念とし,患者さんの価値観を尊重しつつ温かみのある心のこもった看護の実践に取り組み,地域に根差した医療を提供できるよう心がけています。

 当院の産婦人科医師は12名で,産科病棟は助産師33名(アドバンス助産師10名)です。産科外来も病棟助産師が担当しており,スムーズで継続的な妊産褥婦の看護を行っています。

連載 宝物,教えてください・39

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 看護学生の3年間は寮生活でした。寮には寮生を監督する舎監さんがいました。

 その看護学校には助産師課程があり,3年次に受験をして合格したのですが,助産師課程の学生は入寮することができない規則のため,私は退寮勧告を受けました。

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母性看護CNSの存在価値

 出産年齢の高齢化や核家族化の進行から,身体・心理・社会的に複雑な課題を抱える母子や家族への支援は,健やかな次世代育成における重要課題である。2つの命を預かる周産期領域の現場では,本連載の第2回,第3回で「事例編」として紹介してきたように,倫理的課題も含め,複雑で高度な対応を必要とするハイリスク事例が増加しており,助産師たちはその対応に日々悩んでいる現状にある。そのような中において,高度実践看護を担う母性看護専門看護師(以下,CNS)の存在価値は大きい。

 母性看護CNSは,卓越した高度なケア技術とキュアの知識を用いて,ハイリスク妊産褥婦・胎児・新生児,女性の生命の危機状態や病態をアセスメントし,健康の保持増進や重症化の防止に対応する,高度実践看護の能力を有するスペシャリストである。女性とその家族に予防的・継続的な介入を行い,女性のセルフケアを高めリスクをコントロールすることにより,健康アウトカムの向上を目指す。直接ケアのみならず,スタッフや組織に対するコンサルテーションや教育的役割,組織や人をつなぐ調整役割を担う臨床実践の変革者でもある。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・48

東京医療保健大学 助産学専攻科
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本学の沿革・ビジョン

 東京医療保健大学(以下,本学)は2005年に設立され,その後2009年に助産学専攻科(以下,本専攻科)が,「いのち」「思いやり」「絆」「愛」を尊重する心を持った医療人を育成するため,誕生しました。なお,本専攻科は2018年度をもって,約200名の卒業生を輩出する予定です。

 本学は「科学技術に基づく正確な医療保健の学問的教育・研究及び臨床活動」,および「寛容と温かみのある人間性と生命に対する畏敬の念を尊重する精神」である建学の精神に則り,科学技術の発達やグローバル化など,急激に変化する社会の期待に応え続けて行くことを目指し,「東京医療保健大学は『多様な価値観を尊重し,一歩先を歩み続ける開かれた大学』を目指し,全学一丸となって教育・研究・社会貢献に取り組み,明るい未来の医療保健を創造する」という,「東京医療保健大学ビジョン」を定めています。

連載 りれー随筆・411

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いのちの応援舎について

 現在私が勤務する「NPO法人いのちの応援舎」(香川県高松市)は,2006年2月の開院以来,今年で13年目を迎えます。退職した2人の助産師が「子どもから高齢者までが集える施設を作りたいね」と語り合った夢が始まりとなりました。

 ですが,銀行は退職した助産師にお金を貸してくれません。そこで,2人は全国の知り合いに「1口100万,最大5口500万円で私たちの夢を買ってくれませんか? 利子は夢です」とお手紙を出したのです。全国各地から支援してくださる多くの方がいて,1億3000万円が集まりました。そのお金が口座に振り込まれるのを見た銀行も,7000万円を追加融資してくれることになり,合計2億円で土地と建物を購入し,夢の施設が立ち上がったのです。

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基本情報

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助産雑誌
73巻4号 (2019年4月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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