助産雑誌 72巻1号 (2018年1月)

特集 私の会陰保護技術を振り返る

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そもそも会陰保護は必要なのかどうかという議論もありますが,まずその前に,助産師として技術の極意をつきつめてみましょう。

経験をつんだ熟練助産師と新人助産師では,会陰の触れ方,産婦への声かけや配慮など,どこに違いがあるのでしょうか。

また,施設内では後輩を指導する立場の中堅助産師は,自分の技術を他者から評価してもらう機会や,他人の技術を見る機会はなかなかありません。

誌上にて,会陰保護技術の振り返りを行ないたいと思います。

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助産師の実践知を科学的に証明し,目に見える形で伝承したいと考え,会陰保護技術の研究に着手した筆者。助産師を「熟練者」と「初心者」に分け,圧力という視点から比較を行なったところ,二者には明らかな違いが出ました。熟練者の域に到達するには,とにかく「型」をくり返し練習することが大切です。

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初学者にとって,型どおりに手技を行なえることは非常に重要です。型をしっかりと修めたうえで,自分なりに発展させていくことが望まれます。本稿では,筆者が意識している会陰保護技術のポイント,会陰保護に影響する周辺環境について,管理的な観点も交えて解説していただきました。

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会陰保護では,技術を磨くと同時に,産婦との信頼関係を築くことも大切です。産婦が本能のままに産もうとする自然な姿を受け止め,助産師の型にはめ込むことはしないように心がけるそうです。また,助産師が高い技術と判断力を習得すれば,産婦人科医師との信頼関係を築くことにもつながります。

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筆者は今では後輩を指導する立場となり,彼女たちの分娩介助を一緒に振り返っていますが,それが改めて自身が学ぶ機会となっています。自分以外の分娩介助を多く見ることも,会陰保護技術を上達させることにつながります。これまでの経験と学びから得た,会陰保護の手技と声かけのポイントを紹介します。

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そもそもエビデンスによれば,会陰保護は必ずしも行なうべきものとはされていません。山本助産院でも,産婦の様子と分娩進行をアセスメントしながら最小限の力で保護をしているそうです。会陰裂傷を予防するために,妊娠中の取り組みから解説していただきます。

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ファントムは学生や新人のためだけではなく,ぜひ中堅助産師にも使ってほしいツールです。経験年数を重ねるほど,他者から教えられることや評価を受けることがなくなりますので,自分の技術を振り返る機会をもつためにも,同僚とともにファントムを使った演習をお勧めします。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・1【新連載】

山本詩子さん
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第10代の日本助産師会会長として,すべての女性に助産師のケアを

2017年,日本助産師会会長に就任した山本詩子さん。山本助産院の院長として,長年にわたり地域の母子のために安心・安全で温かいお産の実現に努めてこられました(山本助産院の活動については2017年1月号を参照)。本号では,日本助産師会でのこれまでの活動や,会長としての今後の抱負を中心に,お話をうかがいました。

連載 宝物,教えてください・24

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 2005年4月に,わが国で初めてとなる大学での助産学専攻科が神戸市看護大学に開設され,助産師教育に携わることになりました。

 その後,現在の大学に移りましたが,今日まで,多くの助産師学生を送り出してきました。学生たちは卒業の際に,寄せ書きを贈ってくれます。学生1人ひとりの手書きの言葉は,私にとって,助産学教員としての宝物です。少しパワーレスになった時は,この1枚1枚の寄せ書きに力をもらい,元気になります。

連載 ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート・1【新連載】

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はじめに

 先月号まで18回にわたって「ワタナベダイチ式!両親学級のつくり方」を連載してきました。多くの反響,ご意見をいただき,本当に嬉しかったです。そこで,今年はさらに発展させた新連載をお届けします。全国のお手本とすべき両親学級を潜入取材させていただき,その工夫や効果を誌面で紹介する「ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート」。読者の皆さんがすぐに真似できるような知恵をシェアしたいと思っていますので,1年間の新連載,よろしくお願いいたします!

連載 りれー随筆・396

パセリとキアゲハ 松木 恵美
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 助産師学校を卒業して早20年,その仲間からりれー随筆が回ってきました。何を書こうか迷いましたが,やっぱり仕事以外のことを書こうと思います。

 わたしは,助産師学校を卒業してから10年くらいは都内に住んでいましたが,だんだんと土が恋しくなり,生まれ育った千葉に帰ってきました。念願の土いじり。早速庭で,あれこれ育て始めました。花や野菜を季節ごとに飾ったり,育てたりするのも楽しいですが,収穫して味わうのもまた幸せ。いろいろ育てましたが,ここ数年の定番はトマトとラズベリーとパセリです。

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スピーチ原稿を翻訳するにあたって

 「I need the midwife!」,これは,日本で助産師として働いた経験をもちながらもニュージーランドの産科病棟で看護師として働いていた人が,授乳のトラブルで困っている母親に「I can help you」と声をかけた時に,その母親から言われた言葉である。胸に「registered nurse」と書かれたバッジをつけていたので,母親にはナースコールに応えてやってきたスタッフが,助産師ではなくて看護師であることがすぐにわかったのだろう1)

 「看護師さんじゃなくて,助産師さんを呼んだんですけど!」と言えるくらい,ニュージーランドでは,母親たちの目に助産師の存在と役割がはっきりと見え,看護師と明確に区別されている。そして,母親たちに「私には,妊産褥婦の専門家によるケアを受け,大切にされる権利がある」という意識がごく普通の感覚で根づいている。

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はじめに

 ドイツのデュッセルドルフ(Düsseldorf)の北部に位置するライン川河畔のカイザースヴェルト(Kaiserswerth)という地域には,建造物をはじめ多くの人材を輩出した足跡が残されている。近代看護の創始者フローレンス・ナイチンゲールも,ルター派教会の牧師をしていたテオドール・フリートナーのもとで看護を学んだ1人である。

 今回報告するのは,以下で述べるディアコニー(Diakonie:ドイツで認定された社会福祉事業団の1つ)が運営するフローレンス・ナイチンゲール病院(Florence-Nightingale-Krankenhaus:FNK)での研修である。

 筆者は約7年間(2008〜2015年),ディアコニーの関連施設であるフリートナー文化・研究財団(Fliedner-Kultur-Stiftung)で研究する機会を与えられ,さらに,FNKの産科病棟においても研修を行なった。本稿では,研修施設の概要をはじめ,妊婦の保健指導(母親学級),産科病棟について若干の総括を加えて報告する。

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はじめに

 ビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)が発表されてから6年が経過した。インターネット上にはビタミンK補充に関する情報もあり,なかには育児中の母親に不安を与えるものも混在している。このため助産師1人ひとりが,ビタミンK欠乏性出血症の発症をなくすために,ビタミンK製剤の投与方法について再認識し,乳児をかかえた母親からの質問に対しても,専門職としてエビデンスに基づいた説明をして,母親を安心させることが求められる。

 ビタミンKは,1929年にデンマークのHenrik Damにより発見された脂溶性ビタミンである。ドイツ語で血液凝固を意味するKoagulationの頭文字をとりビタミンKと命名された。

 ビタミンKは,血液凝固因子を活性化し血液の凝固を促進する作用をもっている。このため,ビタミンKが欠乏するとビタミンK欠乏性出血症を発症することがある。特に新生児や乳児では不足しやすく,発症頻度が高かった。1981年の全国調査では,ビタミンK欠乏性出血症は全出生4000例に1例,母乳栄養児に限ると1700例に1例の頻度で発症していたが,新生児・乳児に対して,ビタミンK製剤を合計3回経口投与する予防法の普及とともに,1990年には1981年の10分の1にまで減少した1)。しかし,その後も出生直後のビタミンK製剤投与の失念により発症したケースや,通常の予防投与を受けたにもかかわらず発症したケースがみられた。

 2011年に「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)」が発表され,ビタミンK製剤を生後3か月まで毎週1回経口投与する予防法が追記された2)。ガイドラインの普及にともない本症の発症数は極めて低下したが,今後ビタミンK欠乏性出血症の発症をなくすためには,ビタミンKの補充を不足なく確実に行なう必要がある。そこで今回,現行のガイドラインが制定されるまでの経過を振り返り,乳児ビタミンK欠乏性出血症の発症ゼロを実現することを願う立場から考察を行なった。

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基本情報

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助産雑誌
72巻1号 (2018年1月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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