助産雑誌 72巻2号 (2018年2月)

特集 母乳育児と乳がん

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1996年に女性のがんの罹患率で乳がんが第1位になったことは記憶に新しいですが,乳がんへの不安・関心は年々高まってきています。妊娠中の乳がん治療で患側乳房を失った人が,妊娠・出産後に母乳育児を希望して母乳育児相談室を訪れるケースもあるようです。そのような状況がある一方,乳がんに罹患した女性の支援にあたって十分な知識を有していると言える助産師は,まだまだ少ないように見受けられます。

本特集では,周産期の乳がんについて知っておきたい基本的な知識を整理するとともに,乳がん合併妊娠女性,乳がん治療後の女性に対する支援の実践についても専門家の方々に具体的に解説していただくことで,助産師が乳がん患者に対応する際の足場を固めることを目指します。

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助産師は母乳育児支援に携わるいちばん身近な専門職であると同時に,乳房に直接触れる機会が多い専門職でもあります。乳がんの早期発見や予防的観点からの母乳育児支援,また乳がん検診の啓発を担う役割があることを自覚し,妊産褥婦にかかわる大切さをまとめていただきました。

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乳がんの一般的な知識とともに,周産期の乳がんの鑑別・診断,治療について,押さえておきたい基本的な医学知識を解説していただきました。妊娠可能年齢の女性に接する機会の多い助産師が正確な知識を備えたうえで,それを伝えていくことが大切です。

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乳がんについての疑問を有する女性の相談役として身近な存在である助産師に知っておいてほしい知識をまとめていただきました。特に乳がんの治療開始にあたっては検討すべきことが多くあり,各選択のメリット・デメリットを正確に伝えながら意思決定支援を行なう必要があります。

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妊娠中に乳がんを合併した人の母乳育児支援について,ご自身の研究をベースに解説していただきました。手術や抗がん剤治療を受けた場合授乳期間の制限はあるものの,母乳育児をすること自体は可能です。母親の気持ちを尊重しながら,児の栄養方法の選択に寄り添うことが大切です。

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乳がんサバイバーも母乳育児が可能です。しかし,授乳による再発のリスクや抗がん剤の影響を懸念し不安を抱く方,乳房を意識したくないと人工乳を選択する方がいるのも事実です。医療者として大切な妊婦の思いを尊重したかかわりについて述べていただきました。

乳がんの薬と母子への影響 中島 研
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妊娠中や産後に抗がん剤・ホルモン剤などを使用した人の母乳育児,胎児,子どもへの影響について解説していただきました。乳がんの薬物療法においてはリスクベネフィットのバランスを考慮して治療を行なうことが非常に難しく,その判断は慎重に行なわなければいけません。

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病院と自宅の間にある,“家庭的な居場所”としてのマギーズ東京。訪れるがん経験者の中で,乳がん患者は約3割を占めるそうです。マギーズ東京でのスタッフ,また若年乳がん患者会の世話人を務める筆者が,乳がん患者の思いと抱える課題をまとめてくださいました。

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スピーチ後編を翻訳するにあたって

 「妊婦健診で出会った妊婦の出産に立ち会いたいけれど,3交替勤務だからできない。職場の助産師全員でバースプランを共有しているつもりだけれど,初めて会う産婦の望む出産をどれだけわかっているのだろうか。でも,職場にはこの気持ちを理解してくれる人がいない。職場の管理体制を変えることはできない。もうどうしたらよいのかわからない」と心を痛めている人もいるだろう。職場の管理体制に従えば,産婦の気持ちをないがしろにすることになる。

 あなたがそのような苦しみを感じているとしたら,それは,あなたが助産師として正しい道に向かおうとしているからだ。先月号から引き続いて紹介するジョーン・ドンリー(Joan Donley)のスピーチ「助産師か,さもなくばモアか?」は,あなたが助産師として正しい道を進むヒントを与えてくれるに違いない。

連載 私たちの仕事場・24

医療法人真心会 南草津野村病院
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安全の中でさまざまな要望に応える

 医療法人真心会南草津野村病院(以下,当院)は,1997年,JR南草津駅前に滋賀県内初の38床の産婦人科専門病院として開設されました。南草津は,京都や大阪のベッドタウンとして,また立命館大学や龍谷大学の学生の街として駅の利用者数も県内一で,若い世代が多い地域です。地域のみなさんに満足していただけるように,名前の通り「まごころのこもった医療」をコンセプトに,スタッフ一同頑張っています。

 当院では,低リスクから中リスクの分娩に対応しています。異常なく妊娠経過をたどる妊婦さんにとって,「お産は危険なもの」という認識は薄れつつあるように感じます。母子が無事にお産を終えることは奇跡ではないかと思うのですが,安全は当然のものになってきました。安全に配慮しつつ,自然な流れでお産をしたい方,いろいろな要望がある方,無痛分娩を希望される方,不安で不安で仕方ない方など,さまざまな妊婦さんを受け入れられる病院を理想としています。

連載 宝物,教えてください・25

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 27年前の夏,台風に近いような強い雨が降っていた。私が初めて分娩介助をさせていただいたAさんは,お2人目の出産のため入院した。ご主人は海外出張中。1人で出産に臨むAさんをどのようにケアすべきか,私はない知恵をふりしぼっていた記憶がある。Aさんはとても順調な経過で,かわいい女の子が誕生した。今思えば,その時のベテラン指導者は,私を緊張させることなく声掛けを促し,私の介助に自然に手を添えた。

 それから25年。再びAさんにお会いする機会があり,当時学生だった私が送ったお祝いのメッセージカードをとっておいてくださったことを知った。私はそのことに心から感謝した。ただ,もっと強く感じたのは,子どもを産むことのもつ意味,助産師として出産にかかわることの意味を,自分なりに理解していたつもりだったけれど,甘かったのでは?という思いだった。

連載 ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート・2

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はじめに

 埼玉県内の自治体主催両親学級に「産後劇」を取り入れている助産師さんがいます。健康増進センターで行なわれる両親学級を担当する桜井裕子さんと,子育て支援センターの両親学級を担当する松本宏美さんです。

 2人とも,2017年度から自身が担当する両親学級に「産後劇」を導入したのですが,その経緯について,まずは産後劇誕生のきっかけとなった助産師会のイベントのことをうかがいました。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・34

帝京大学助産学専攻科
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沿革と環境

 帝京大学は2016年に創立50周年を迎え,総合大学としてさらなる発展を目指しています。東京都区北西部に位置する板橋キャンパスには医療系の3学部が集結し,隣接する医学部附属病院のもと,現代医療に欠かせないチーム医療を実践的に学べる環境です。附属病院には総合周産期母子医療センターが整備され,ハイリスクに対応できる高度医療を担っています。

 3学部のうち医療技術学部看護学科が開設されたのは2005年でした。開設当初より助産師教育は看護学科の選択課程に位置付けられ,2008年度より49名の修了生を送り出しました。修了生は附属病院はじめ全国各地で助産師として活躍しています。

連載 りれー随筆・397

高校授業と生命倫理 斉藤 友紀子
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 高校生向けの生命倫理の授業を請け負った。きっかけは,高校教師をしている友人からの突然の呼び出しだった。

 「助産師として相談にのってほしい。メールや電話ではなく,内容は直接会ってから」と言う。「生徒さんが妊娠した類の相談かな? 高校教師は,そんな時どういう指導・サポートをしているのだろうか?」などと想像を膨らませつつ,待ち合わせ場所へ向かった。

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次号予告・編集後記

基本情報

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助産雑誌
72巻2号 (2018年2月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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