Summary
日本の新規登録結核患者数は経年的に減少しているが,75歳以上の後期高齢者では平均寿命の延長もあるためか増加している。高齢者の肺結核は,特異的な症状を訴えることが少ない。また,空洞を形成しにくく,一般細菌による肺炎の合併や既存の肺病変による修飾が加わり,典型的な所見に乏しいとされている。また,併存症のために標準治療が行いにくいことや,抗結核薬による副作用が生じやすいことから,治療の継続が困難であることが多い。現在の新規登録結核患者のほとんどが高齢者であることを鑑みると,高齢者における肺結核の特徴および治療法について熟知する必要がある。