特別記事
原因不明の慢性疼痛に対する行動療法
笠原 諭
1
1東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター
pp.44-61
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200434
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原因不明の慢性疼痛を持つ患者さんの現状
私は東京大学医学部附属病院で、慢性疼痛の患者さんの治療に携わっています。
身体に慢性的な痛みがあるけれども原因がわからず、長期間にわたって苦しんでおられる患者さんがいます。なかには10か所以上の専門医療機関を渡り歩いても身体的な異常が見つからず、さらに鎮痛薬も効かない人もいます。医療者は患者さんから、「この痛みさえ、この痛みさえ取ってくれればいいのです……」とすがりつかれるので、身体的な異常は見出せないままについつい追加の薬を処方してしまいます。一方で患者さんは、薬の副作用で眠気やふらつき、倦怠感、便秘、肥満などを来し、体調を崩していきます。そして痛みが長期化して家に引きこもりがちとなり、社会との接点を失い、うつや不安になってきます。
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