Heart View 24巻3号 (2020年3月発行)

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特集　肺高血圧症診療 up to date最新の知見を診療に活かすために

企画にあたって大郷　剛 24巻3号 , 2020年3月 , pp.195-195

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診る1

ニース国際シンポジウムを踏まえた肺高血圧症の診断佐藤　徹 24巻3号 , 2020年3月 , pp.196-201

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2018年にニースで第6回肺高血圧症世界会議（5年に１度）が開催され，現状のガイドラインの改訂，刷新などに関する提案が発表された。これはあらかじめ世界の肺高血圧症専門家から選ばれたtask force member が１年前から議論して作成されたもので，その結果は，Eur Respir J. 2019の24号に執筆されている1）。そのなかで肺高血圧症の診断に関する新基準と新しい分類を解説する。

診る2

ニース国際シンポジウムを踏まえた肺動脈性肺高血圧症の診断プロセス青木　竜男 , 大郷　剛 24巻3号 , 2020年3月 , pp.202-206

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2018年にフランスのニースで行われた，肺高血圧症の国際シンポジウムで取り上げられた肺高血圧症の診断プロセスに関するトピックスを現行のガイドラインと比較しながら紹介したい。

診る3

日本の最新肺高血圧症ガイドライン改訂における重要なポイント片岡　雅晴 24巻3号 , 2020年3月 , pp.207-212

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肺高血圧症はこの約10年間で診断・治療法が劇的に変化した。新規薬剤や多種多様な投与方法が開発されている。また，肺動脈バルーン形成術に代表されるように，わが国で発展を遂げて海外へ発信された治療法もある。このような状況から，最新のガイドライン（2017年改訂版）では，わが国における実際の肺高血圧症診療内容を反映したものとなるよう改訂された。

診る4

【Expertise】肺高血圧症の病理大郷　恵子 , 植田　初江 , 大郷　剛 24巻3号 , 2020年3月 , pp.213-220

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肺高血圧症は，病態と血行動態，肺血管の病理組織像から臨床的に5群に分類され最適な治療方針が異なる。病理学的には肺動脈性肺高血圧症でみられる病変の理解が基本となるが，肺静脈病変や血栓塞栓性病変も理解しておくことが望ましい。

診る5

【Expertise】肺高血圧症における右心機能の評価浅野　遼太郎 , 大郷　剛 24巻3号 , 2020年3月 , pp.221-226

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肺高血圧症は根本的には肺血管の疾患であるが，後負荷増加に伴う右心機能変化が運動耐容能や予後を大きく左右する。しかし，右室特有の形態や収縮様式のために，一断面をもって右心機能を正確に評価することは困難で，歴史的に右房圧や心拍出量などの間接的指標で評価せざるを得なかった。しかし，近年の心臓MRI の進歩によって右室の形態評価，機能評価，さらには組織性状評価まで可能となりつつあり，心臓MRI を用いた右心機能評価は，肺高血圧症診療において不可欠なものとなっている。

識る6

肺高血圧症における予後評価（リスク分類）を臨床にどう活かすか古川　明日香 , 田村　雄一 24巻3号 , 2020年3月 , pp.227-233

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肺動脈性肺高血圧症の予後改善のためには，標準化されたリスク分類と治療アルゴリズムが重要であると考えられる。これまで諸外国で提案されてきた指標，わが国の治療戦略，そして2018年にニースの第6回肺高血圧症ワールド・シンポジウム（6th WSPH）で提唱された指標を含めて概説する。

識る7

膠原病性PAH の早期診断白井　悠一郎 24巻3号 , 2020年3月 , pp.234-238

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選択的肺血管拡張薬の登場により，肺動脈性肺高血圧症（pulmonary arterial hypertension：PAH）診療は飛躍的発展を遂げたが，膠原病（connective tissue disease：CTD）に伴うPAH の長期成績はまだ不十分である。さらなる治療成績向上のためには早期診断・治療介入が重要である。本稿ではCTD-PAH の早期診断について概説する。

識る8

慢性血栓塞栓性肺高血圧症の診断阿部　弘太郎 , 細川　和也 , 筒井　裕之 24巻3号 , 2020年3月 , pp.239-244

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近年，慢性血栓塞栓性肺高血圧症（CTEPH）に対する薬物治療やわが国から発信された経皮的バルーン肺動脈形成術の進歩により，ほとんどのCTEPH が治療できる時代となった。CTEPH を見逃さず早期に診断することが重要である。

識る9

【Expertise】左心疾患に関連した肺高血圧症の診断杉村　宏一郎 , 下川　宏明 24巻3号 , 2020年3月 , pp.245-248

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左心系心疾患（LHD）による肺高血圧症（PH-LHD）は，肺高血圧症（PH）において約50％と最も頻度が高いことが知られている。PH の機序としては左心系心疾患に起因する上昇した左房圧の圧伝搬によるが，慢性的な圧上昇に伴い肺動脈性肺高血圧症（PAH）に認められるような肺血管の組織的変化が加わり，さらなる肺動脈圧の上昇をきたす。しかし，PH-LHD に対する肺血管拡張薬の有効性が臨床試験において示されておらず，PAHへの誤分類は，多剤併用が主流であるPAH 治療において，間違った治療戦略につながる可能性があるため，PH-LHD とPAH の正確な鑑別診断が求められている。本稿においては，診断を中心にニースにおける第6回国際会議でも話題になった点について触れながら議論を進めたい。

識る10

【Expertise】呼吸器に関連した肺高血圧症の診断田邉　信宏 24巻3号 , 2020年3月 , pp.249-254

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慢性呼吸器疾患では，低酸素血症の進行，重症化に伴い肺高血圧症（pulmonary hypertesnon：PH）を合併する。そのなかで，比較的換気障害が軽度にもかかわらず重症のPH を呈することがある。診断には，心エコーによるスクリーニングが有用であるが，確定診断は右心カテーテルによる。画像，換気機能，肺拡散能，運動時呼吸循環予備能から病態を理解したうえで管理を行うことが重要である。

識る11

【Expertise】肺動脈性肺高血圧症の病因佐藤　公雄 , 下川　宏明 24巻3号 , 2020年3月 , pp.255-260

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肺動脈性肺高血圧症（pulmonary arterial hypertension：PAH）は初期症状を見逃されることも多い重症疾患である。PAH の早期診断のためのバイオマーカーはない。重症患者を救う手段は肺移植であるが，ドナー数は限られている。病期の進んだ症例では肺血管拡張薬を使用しても予後不良であることから，本質的治療薬の開発が待ち望まれている。

治す12

肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬の最新知見（初期併用療法のエビデンス）波多野　将 24巻3号 , 2020年3月 , pp.261-267

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最新の肺高血圧症治療ガイドラインにおいては，肺動脈性肺高血圧症（PAH）に対する初期併用療法の重要性が特に強調されている。中リスクまでの患者であれば初期経口併用療法が，高リスクの患者であれば静注/ 皮下注薬を含む初期併用療法が行われる。ただし，高齢の患者においては左心疾患の要素や肺疾患の要素を併せもっていることが多いため，このような患者に対しては安易に初期併用療法を行うべきではない。

治す13

慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する最新の肺動脈形成術内藤　貴教 , 下川原　裕人 , 松原　広己 24巻3号 , 2020年3月 , pp.268-275

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慢性血栓塞栓性肺高血圧症（chronic thromboembolic pulmonary hypertension：CTPEH）は，抗凝固療法を6カ月以上継続した後でも器質化血栓が肺動脈内に残存し，平均肺動脈圧（mPAP）が25mmHg 以上の肺高血圧を合併している状態である。CTEPH に対しては肺動脈血栓内膜摘除術（pulmonaryendarterectomy：PEA）が第一選択の治療法である。一方，CTEPH に対するバルーン肺動脈形成術（balloonpulmonary angioplasty：BPA）は，デバイスの改良・技術の向上による有効性・安全性がわが国で確立し），PEA に匹敵する治療法となり，急速に世界に普及しつつある。

治す14

肺高血圧症基礎研究からの新規治療の展望中岡　良和 24巻3号 , 2020年3月 , pp.276-282

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肺動脈性肺高血圧症（pulmonary arterial hypertension：PAH）の発症には遺伝的素因に加えて，何らかの外的刺激（セカンドヒット）が必要と考えられ，PAH 病態を促進するセカンドヒットとしてinterleukin-6（IL-6）やinterleukin-1b（IL-1b）のような炎症性サイトカインが注目されている。本稿では，PAH 病態形成における炎症性サイトカインの役割と，炎症性サイトカインを標的とした新規の治療法の可能性を述べる。

治す15

【Expertise】CTEPH の外科治療荻野　均 24巻3号 , 2020年3月 , pp.283-287

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肺動脈内膜摘除術（pulmonary endarterectomy：PEA）が慢性血栓塞栓性肺高血圧症（chronic thromboembolic pulmonary：CTEPH）の唯一の根治的治療法であり，第一選択として著しい成績の向上をみている。これに最近の肺動脈バルーン拡張術や薬物治療を加えたハイブリッド治療が今後の新たな展開である。

治す16

【Expertise】肺高血圧症に対する肺移植伊達　洋至 24巻3号 , 2020年3月 , pp.288-291

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肺高血圧症に対する薬物療法は近年急速に進化したが，薬物療法が無効な症例もあり，肺移植は最後の治療手段と位置づけられている。

連載　英語による自信がもてる学会発表の技術　プレゼンの方法からパワポの作り方まで

第5回　Chapter 2 スライド・ポスターを作成しよう　2

メインスライドを決める　一番大事な結果は何か？図で見せるか？表で見せるか？上嶋　徳久 , 加藤　祐子 24巻3号 , 2020年3月 , pp.292-296

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PowerPointでの作成において，まずメインになる結果をどれにするか，それをどのように見せるかをまず決めてしまうと作りやすいと思います。これを図で見せるか，数字で見せるか，表で見せるかをまず決定し，その次にこの結果をどの順番で見せるかを考えます。

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目次 24巻3号 , 2020年3月 , pp.194-194

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infomation 24巻3号 , 2020年3月 , pp.297-297

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次号予告／バックナンバー 24巻3号 , 2020年3月 , pp.298-298

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奥付 24巻3号 , 2020年3月 , pp.299-299

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基本情報

Heart View
24巻3号
(2020年3月発行)

電子版ISSN：2423-964X 印刷版ISSN：1342-6591 メジカルビュー社

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