訪問看護と介護 21巻11号 (2016年11月)

特集 新卒看護師がいきいきと育ち、働けるわけ

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全国で地域包括ケアの構築が進められているなか、その担い手の中心となる訪問看護師の数が、いまだ圧倒的に不足しています。一方で、新卒者の訪問看護師希望は実際にはもっとあるにもかかわらず、結果としてほとんど実現できていない現状があります。本特集では、新卒訪問看護師の育成に成功しているケアプロ株式会社の取り組みを中心に紹介し、どのようにすれば新卒訪問看護師を育成できるのかを、教育する側、雇用する側、新卒者本人それぞれの視点からひも解いていきます。

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 「訪問看護師になるなら、病院での経験を積んでから」という、それまでほとんどの人が疑わなかった“常識”。それを検証し直し、新卒訪問看護師を育成する取り組みが始まっている。

 時代が変われば、不要、不可能と言われていたことも必要になり、可能にもなる。社会の変化に伴うニーズをとらえながら、少しずつ仲間を増やし実践を続けてきた、ケアプロ株式会社代表取締役で、新卒訪問看護師の育成をめざす組織「きらきら訪問ナース研究会」共同代表でもある川添高志に、新卒訪問看護師のもつ可能性や、採用や育成の障壁を越えるためのヒントをうかがった。

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 新卒者が訪問看護の世界にダイレクトに就職し、育っていくために必要な教育は、病院とは異なる点も多いだろう。また、訪問看護ステーションでの新卒採用は個別で行なわれていて、新卒訪問看護師のための教育プログラムのモデルもほぼなかった。

 そんな状況のもと、あえて新卒で訪問看護に挑戦したスタッフとともに、試行錯誤のなかでつくり上げてきた、教育プログラムとは、どのようなものなのだろうか。そして、その成果は? ケアプロ訪問看護ステーション東京で、専任の教育責任者を務める岡田理沙さんに伺った。

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 私は、新卒訪問看護師になって今年で4年目になります。ケアプロ訪問看護ステーション東京では、初めての新卒訪問看護師の採用でした。現在は、ターミナル期や難病の方などを中心として訪問看護、退院調整や初めて訪問看護を利用される方の契約業務、ステーションの運営に関わる所長代行業務を行なっています。また、初めての新卒訪問看護師ということで、新卒訪問看護師の教育プログラム開発、後輩の新卒看護師のプリセプター・教育担当なども行なっています。

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新卒採用が見送られてきた経営的な理由

 新卒者の採用は、訪問看護業界においては非常にハードルが高いといわれてきました。訪問看護を行なうために必要な臨床経験年数は3年、5年、10年と諸説ありますが、その背景には看護の質の問題と併せて、じつは経営的な理由があります。

 病院などにおいて看護師が上げることのできる主な収益は、看護師の人員配置基準を満たすことによるものです。新卒者を最も多く採用しているのは病院であり、看護師が新卒であってもベテランであっても、看護師数の基準を満たせば同額の報酬を得ることができます。

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介護現場の経験から看護をめざして

 私は社会人経験を経て、38歳で看護学校へ入学し、41歳で看護師になりました。昨年度、新卒訪問看護師として就職し2年目になります。

 私が訪問看護師になりたいと思ったきっかけは、13年間の介護現場のなかで関わらせていただいた恩師との出会いのなかにあります。恩師は全国にもたくさんある障害者団体(CIL)の代表を務めていました。代表は自ら難病を抱えながら、全国の重度心身障害者の自立支援や相談業務に携わっていました。私は恩師のもとで介護福祉士として在宅介護を行なっていました。そんななか、ALSの方の介護に携わり、人工呼吸器の取り扱いや吸引を実際に行なうようになり、「もっと知りたい! 学びたい!」と思うようになりました。

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全国新卒訪問看護師の会とは

 全国新卒訪問看護師の会(Fresh Visiting Nurse. net)は、2015年1月に発足した、日本初の新卒訪問看護師による当事者団体です。私自身が新卒訪問看護師として働き始めた経験より、新卒訪問看護師や育成者、学生などとのネットワークを形成し、交流・情報交換・研究などを行なうことを目的に発足しました。2016年9月現在、新卒訪問看護師や訪問看護師になりたい学生など合計50名が参加し、勉強会や交流会などを企画運営しています(写真)。

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 2016年3月、『地域で育てる新卒訪問看護師のための包括的人財育成ガイド』が刊行されました。

 「新卒でいきなり訪問看護なんて……」という声がまだまだ少なくないなか、このガイドは新卒訪問看護師育成のイノベーションのきっかけになるのか。ガイドをとりまとめた「きらきら訪問ナース研究会」共同代表の山田雅子教授に話を聞きました。

巻頭インタビュー ケアのヒュッテ・9

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温泉・リゾート地として有名な神奈川県箱根町の自然豊かな山中で、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護などのほか、保険外サービスである外出支援にも力を入れるアコモケアサービス(株)。なぜ、外出支援が必要なのか? また、外出支援や看多機だからこそできることとは? 松木満里子さんに話を聞いた。

連載 地域包括ケアのまちを歩く—コミュニティデザインの視点で読み解くケアのまちづくり・第3回

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既存の大規模特別養護老人ホーム(以下、特養)の型から“逸脱”する道を選んだ高齢者総合ケアセンターこぶし園。「普通の暮らしをめざす」。そんな活動を支える根っこには何があるのか——。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・86

オシドリが飛んでくる町へ 秋山 正子
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 山陰地方は高齢化が進む一方で、人口減少が危惧され、今後ニーズが増すであろう在宅看護を担う人材も少なく、募集してもなかなか応募者がいないという実態があります。そんな状況を憂いて、鳥取大学医学部附属病院は、県の「地域医療介護総合確保基金」を用いて、「在宅医療推進のための看護師育成支援事業」を立ち上げました。同院のなかに在宅医療推進室を設置し、地域の在宅看護・訪問看護を充実するための活動を2015年度から始めています。

 「T-HOC(Tottori-Home Oriented Care)」といわれる同事業では、活動の一環として、日野町と協働で「ひのセミナー」を開催しています。これは同事業の養成コースの受講生(多くは病院の臨床看護師)のみならず、地元のケアマネジャーや訪問看護師、さらに一部を市民公開として地域住民も参加できるイベントになっています。私はこのイベントで企画されている特別講演の講師として呼ばれ、先日、日野町まで行ってきました。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第11回

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 2018年度からはじまる第7次医療計画の在宅医療分野の記載内容を検討している厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(以下、在宅医療WG)」は9月2日、見直しの方向をまとめた。現状を把握して課題を抽出するための「指標」の項目を見直すことで一致し、厚労省は「24時間体制をとる訪問看護ステーションの数」を新たな指標の1つにあげた。

 前回お伝えしたとおり、第7次医療計画の策定に向け、厚労省は医療計画の作成指針等を今年度中に定める予定だ。厚労省は作成指針の見直しについて、「医療計画の見直し等に関する検討会」で議論を進めている。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第68回

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 本連載は次回が最終回。最終回直前の特別企画として、約6年間、岡崎家を描き続けてくださった日野あかねさんと語り合いました。

カラーグラフ 終える命 つなぐいのち・第20回

白衣を脱いだドクター花戸 國森 康弘
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※本連載は、本文のみ無料でお読みいただけます。

 写真は、冊子版でのみご覧いただけます。

 「ご飯が食べられなくなったら、どうしますか?」

 外来、訪問診療や往診先で、よく尋ねる。この質問は簡単なようで、とても重い。聞かれた本人は、「ええ、どうしよう……。これから私、どうなるの」と不安で混乱するかもしれない。家族は「おばあちゃん、もう死んでしまうのか」と悲哀に揺れうる。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第6回

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 今回も引き続き、事例をもとにオマハシステムを活用した問題の特定、つまりアセスメントと介入と計画をケアプラン記録として訪問看護計画書にどうつなげるのかがわかるように紹介していきます。

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今月の5冊

ニュース—看護と介護のこのひと月

Information 学会・研究会情報

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 小林 , 小池
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新卒訪問看護師の就業・定着の課題として、①病院就職が普通だというイメージ、②就職情報の少なさ、③周囲の反対、④就職後の教育、⑤つながりや共感などが挙げられていました。これらの課題は、医療・介護が必要な患者の退院時の課題とも重なる要素だと思いました。①既存のイメージ、②情報不足、③周囲の反対、④知識・技術習得のための教育支援、⑤つながりや共感。これらは新たな道に踏み出すにあたって、共通する課題なのかもしれません。近年の在宅移行支援の発展・充実と同様に、新卒訪問看護師の就業・定着の課題への支援についても急速に発展していくように思います。…小林

今号の連載『ウチの場合はこうなんです!』では、岡崎さんが当事者家族の立場から地域で支援を受けることの“ままならなさ”を述べています。あらためて、「その人らしい暮らしを地域で支える」には、あらゆる考えを重ね、丁寧に練り上げていく必要があると気付かされます。●連載『地域包括ケアのまちを歩く』では3号にわたって、施設解体に踏み切り、地域での暮らしの支援を志した「高齢者総合ケアセンターこぶし園」に迫りました。この「こぶし園」シリーズは今号でひと区切り。次号からはまた異なる地域・実践者の皆さんと山崎さんとの対話をお届けしていきます。冒頭の“ままならなさ”、それを解消するヒントは、各地の実践に求めたいと考えています。…小池

基本情報

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訪問看護と介護
21巻11号 (2016年11月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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