JOHNS 41巻3号 (2025年3月発行)

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特集　耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の手術手技トレーニング

序　企画にあたって折舘　伸彦 41巻3号 , 2025年3月 , pp.261-261

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　手術手技の高度化・多様化に伴い，手術手技向上のためのトレーニングの有用性については論を俟たない。今後，その必要性はますます高まっていくであろう。さらに手術支援器具，新規デバイスなどの開発，社会実装においても要求が広がり，手術手技トレーニングの果たす役割がますます広く多様に変化していくことが想定される。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は外科的要素を多く有する領域なので，このような事情が当然当てはまる。さらに，耳鼻咽喉科・頭頸部外科の手術は骨・軟骨の硬組織によって術野が制限されるものが多く，また頭頸部を走行する血管・神経を温存しつつ安全に行わなければならない。以前の手術手技修練の中心は“on the job training”であったが，医療安全を担保することが時として困難であり，研修医にとっても指導医にとっても，大きな壁の1つであった。そのような状況下では手術手技トレーニングの果たす役割がより一層重要となり，本特集を企画する原動力となった。ここで紹介する手術手技トレーニングの多くは現実にはcadaver surgical training（CST）である。

東京慈恵会医科大学内視鏡下鼻内手術の研修会―鼻副鼻腔・頭蓋底領域におけるCSTおよび世界各国のCSTの紹介― 大村　和弘 41巻3号 , 2025年3月 , pp.263-266

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はじめに

　東京慈恵会医科大学では，年一度内視鏡下鼻内手術研修会と耳の手術研修会を解剖学講座と耳鼻咽喉科展望の後援で実施している。内視鏡下鼻内手術研修会は2025年2月で第33回となり，毎年解剖実習1日，手術見学1日，講義1日という形で多数の参加者とともに講師も勉強させていただいている。固定方法に関しては今までは，ホルマリン法での固定のご遺体であったが，近年はThiel法での固定を取り入れ，より生体再現性の高い実習が可能となってきている。

藤田医科大学TORSアドバンスコース九鬼　伴樹 , 清水　顕 , 藤原　和典 , 楯谷　一郎 41巻3号 , 2025年3月 , pp.267-271

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はじめに

　頭頸部領域（経口手術に限る）が2018年にda Vinci Surgical System（以下ダヴィンチ）の適応となり，それに伴い，日本頭頸部外科学会により頭頸部ロボット支援手術に関する指針や教育プログラムが整備された。教育プログラムは，

1）企業が主導する器械の使用方法についてのトレーニング

2）日本頭頸部外科学会が主導するtransoral robotic surgery（TORS）の手術手技に関するトレーニング

の2つに大別されている。2）についてはカダバーを用いたTORSアドバンスコースの受講が必須であり，当学カダバーサージカルトレーニングセンターにおいて毎月実施されている^1）。

京都大学クリニカルアナトミーラボ―臨床解剖実習，ワークショップ，セミナー― 十名　洋介 41巻3号 , 2025年3月 , pp.272-274

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CSTの歴史

　医学教育目的でのご献体の使用については死体解剖保存法による法的根拠により所定の要件の下で実施可能であった一方で，卒後教育としてのCST（cadaver surgical training）についてはわが国では法的な根拠が乏しい状態であったが，2012年に「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が日本外科学会と日本解剖学会の連名で公開され，ご献体の卒後教育への利用に関する基盤が作成された^1）。このガイドラインにより，複雑で難解な解剖の領域に対する医師・歯科医師の手術手技実習に対する法的・倫理的な根拠となり，多数の施設でCSTが行われるようになっている。CSTによるご献体の使用目的には，基本的な手術手技や侵襲的手技の習得，高度な技術を要する手術手技の習得，ならびに研究段階の手術手技や新規の手術手技，医療機器の開発などが含まれる。

鳥取大学手術手技トレーニング藤原　和典 41巻3号 , 2025年3月 , pp.275-277

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キャダバートレーニング

　神経・筋や結合織の剝離，血管走行の同定，深部での骨削除，病変の剝離摘出といった手技を実践的に習得し，解剖に習熟することが必要だが，実臨床での研鑽は修正不能な合併症をきたす危険性があるため，指導医のコントロール次第では実際の手術現場での症例経験数が不足することもあり，献体を用いたトレーニングにおいて補完することは有効な手段である。そのため，今後の医学のさらなる発展・医療の安全に資する献体を用いた実習で臨床医が高度な臨床解剖を学び，手術技術を修練し，新たな手術手技を研究開発できる教育研究施設が必要である。

新潟大学手術解剖セミナー山岸　達矢 41巻3号 , 2025年3月 , pp.278-282

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セミナーの変遷

　本セミナーの起源は2000年に遡る。本学第一解剖学教室（現肉眼解剖学教室）の熊木克治先生の御協力を得て，当科耳グループが側頭骨の顕微解剖理解を深める目的で側頭骨解剖実習を有志で始めた。その後，専攻医から専門医取得前後の学年を指導する形で学内限定の側頭骨解剖実習として継続してきた。

広島大学臨床解剖教育コース石野　岳志 41巻3号 , 2025年3月 , pp.283-286

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はじめに

　頭頸部領域における解剖実習の実施においては，各施設で運用や実施内容が大きく異なっていることが想定される。広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学ではどのように実習を行っているか，実際の運用と実施内容について記載する。

大阪大学における遺体を用いた手術手技研修佐藤　崇 41巻3号 , 2025年3月 , pp.288-290

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遺体を用いた手術手技研修の目的

　医学の発展と医療の安全のためには，医師が臨床解剖を継続的に学び，最新の手術・検査技術に習熟し，新たな手術手技を研究開発できる環境が必要である。臨床解剖学的知識の習得と手術手技向上のため，ご遺体を用いた手術手技研修（cadaver surgical training：CST）を実施し，医師の手術修練のみならず，新規外科治療の検索や新たな手術器の開発につなげることを目的としている。

浜松医科大学耳科手術アプローチ実習中西　啓 41巻3号 , 2025年3月 , pp.291-294

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はじめに

　耳科手術では，薄くて脆弱な外耳道皮膚や鼓膜の操作，中頭蓋窩や後頭蓋窩で囲まれた狭い領域を削開する操作が必要になる。側頭骨には耳小骨，顔面神経，半規管などの重要構造物があり，実際に手術操作を行う前に，外耳道皮膚や鼓膜の薄さ，重要構造物などの位置関係を3次元的に把握する必要がある。そのために，実際に手術操作を行う前に，ヒト側頭骨やヒト側頭骨3Dプリンタモデルを用いた手術実習を行うことが望ましい。

東北大学献体遺体を用いたサージカルトレーニング東　賢二郎 41巻3号 , 2025年3月 , pp.295-297

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はじめに

　医療技術の進歩は目覚ましく，耳鼻咽喉頭頸部外科領域においても経口腔でのロボット支援下手術や舌下神経電気刺激療法など新しい術式が次々と生まれている。それに伴い，医師も新規技術の獲得をしていかなければならないが，医療安全の観点からon the job trainingによる技術獲得は難しくなっている。そのような現状の中，東北大学では2013年度から献体遺体を用いたサージカルトレーニング（cadaver surgical training：CST）を行ってきた。

岡山耳鼻咽喉・頭頸部外科解剖研究会村井　綾 , 安藤　瑞生 41巻3号 , 2025年3月 , pp.299-302

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はじめに

　岡山耳鼻咽喉・頭頸部外科解剖研究会は，岡山大学大学院医歯薬学総合研究科人体構成学教室のご協力のもと，医師の手術技術向上のための臨床応用解剖実習として開催され，今年で23回目の開催となった。発足当初期の担当者の尽力により，実際の手術機材を用いた実習を初回研究会から実現している。厚生労働省の「複雑で難解な解剖の領域では遺体を使用した手術手技実習が有効であり，日本においても実施することが求められている」という現状に多くの外科系診療科が賛同し^1），医療安全や医療手技研修へのニーズの高まりにより，このような解剖実習が広く開催されるようになってきた。耳鼻咽喉・頭頸部外科領域はまさに“複雑で難解な解剖の領域”に相当し，長年に渡って臨床応用解剖実習が行われている理由となっている。

東京医科大学ご遺体を用いた手術手技研修丸山　諒 41巻3号 , 2025年3月 , pp.303-305

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はじめに

　従来の解剖学の教科書はもちろんのこと，近年は手術指南書や手術動画などの充実により学びやすい環境は整っている。しかし，手術を施行するにあたり，机上の知識だけでは不十分な点も多く，解剖体を用いて実際に手を動かして手術手技を学ぶことは重要である。本学では人体構造学分野の下，救急・災害医学分野，麻酔科学分野，脳神経外科学分野，口腔外科学分野，形成外科学分野，消化器外科学分野，呼吸器外科学分野，整形外科学分野，耳鼻咽喉科学分野がサージカルトレーニングを実施している。今年度より乳腺科学分野も新規に参入し，本学全体として手術手技向上に努めている。

福島県立医科大学手術手技実習室野　重之 41巻3号 , 2025年3月 , pp.307-310

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はじめに

　日本では長く外科系医師の手術手技トレーニングはon the job trainingによるところが大きかった。2012年に日本外科学会と日本解剖学会の連名により「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」（以下ガイドライン）が公表され，“社会的に見て正当な”遺体の使用である限りは死体損壊罪が成立しないと考えられるようになり，カダバーサージカルトレーニング（cadaver surgical training：CST）は広く普及するようになった^1,2）。少し前のデータではあるが，全国82大学へのGoogle Formを用いた無記名オンラインアンケート（回収率82％，62大学）では，献体を用いたCSTは43大学（64％）で実施されており，耳科手術は38大学，鼻科手術は34大学，頭頸部外科手術は26大学，音声・嚥下手術は13大学である^3）。

山梨大学頭頸部手術手技セミナー櫻井　大樹 41巻3号 , 2025年3月 , pp.311-313

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はじめに

　山梨大学では，医学部内にCST（cadaver surgical training）センターが設置されたことを機に，耳鼻咽喉科・頭頸部外科においても手術手技研修を開始している。実際の研修開始にあたり，手術で必要な器材を整え，プログラムの作成や講師の招聘，講義の準備などを整え実施してきた。当大学のCSTセンターの規模から実習可能な人数が限られており，参加者は医局員と関連病院からの募集にとどめている。規模の小さな手術手技研修ではあるが，これまで山梨大学の耳鼻咽喉科・頭頸部外科で行ってきた手術手技セミナーについて紹介する。

関西医科大学手術研修会藤澤　琢郎 , 八木　正夫 , 岩井　大 , 中野　洋輔 , 北田　容章 41巻3号 , 2025年3月 , pp.314-316

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はじめに

　耳鼻咽喉科・頭頸部外科医は手術手技を修得するまでに多くの経験を積む必要がある。これまでは，実際の手術に参加し指導医の手術手技を観察したり，あるいは指導医の指導のもと実際に自分自身で手術を行ったりする，on the jobトレーニングにより技術修得がなされてきた。一方で，このon the jobトレーニングは，患者安全性の観点やトレーニングの機会，そして反復性などの観点から，最近ではoff the jobトレーニングを効果的に組み合わせる必要が生じている。

獨協医科大学内視鏡手術研修会常見　泰弘 , 中山　次久 41巻3号 , 2025年3月 , pp.317-320

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はじめに

　cadaver surgical training（CST）である本学の内視鏡手術研修会は，2010年に初めて開催され，今年度は，「鼻副鼻腔・頭蓋底内視鏡手術研修会」として第13回目の研修会が行われた（図1）。本学解剖学講座のご協力のもと，「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」^1）に則り，解剖実習室にて行われるが，例年12月の土・日・月曜日の3日間で，実習コース16名，見学コース15名程度の募集を行う。最初の2日間は解剖実習室でご献体（実習コース受講生2人につき1体のご献体）を用いた実習を行い，最終日は手術室での手術見学（5症例程度）を行う。

名古屋市立大学内視鏡下鼻副鼻腔手術解剖実習讃岐　徹治 41巻3号 , 2025年3月 , pp.321-324

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はじめに

　近年，内視鏡下副鼻腔手術の適応は医療技術の進歩に伴い，頭蓋底，眼窩内へと拡大している。そして安全な内視鏡下副鼻腔手術を行う上で，解剖学的に危険な部位を把握し，手術手技の上達を測る必要があり，全国で鼻内視鏡手術研修会が開催されている。

徳島大学手術手技トレーニング蔭山　麻美 , 佐藤　豪 41巻3号 , 2025年3月 , pp.325-328

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はじめに

　近年，内視鏡技術や手術支援機器の発展により手術の低侵襲化が進み，より複雑で専門性の高い技術が求められるようになってきている。これまので手術教育は，医学書やビデオを用いた座学と臨床現場で上級医から学ぶ，“on the job training”による経験の伝達が主流であったが，十分なスキルを身につけるためには長い時間を要していた。さらに，頭頸部手術は複雑な解剖と狭い術野のために繊細な技術を要することが多く，手術手技トレーニングが欠かせない。

慶應義塾大学手術手技セミナー西山　崇経 , 大石　直樹 41巻3号 , 2025年3月 , pp.329-332

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はじめに

　人工聴覚器の進歩によって，本体そのものや電極はより生体親和性が高くかつ高効率・高性能になってきている。しかし，機器の進歩とともに機器を取り扱う新たな手術手技を身に付ける必要があり，実際の症例で行う前にトレーニングを行う必要がある。また耳科手術における側頭骨削開を伴う手術は，解剖学的指標を同定することの難しさや危険部位を想定しながら十分な視野を展開する必要があり，手術手技を向上させるためには，実際に側頭骨削開を行いながら術中・術後のフィードバックを行うことが重要と考えている。

神戸大学臨床解剖セミナー藤田　岳 , 井之口　豪 41巻3号 , 2025年3月 , pp.333-336

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はじめに

　神戸大学では厚生労働省2018年度実践的手術手技向上研修実施機関設備整備事業の採択などを経て，2019年4月に本トレーニングの実施機関として神戸大学医学部附属臨床解剖トレーニングセンター（KCATC）が開設された。13の臨床系分野と肉眼解剖学担当分野で構成され，大学が定めた内規に従い，運営委員会とカダバーサージカルトレーニング（CST）実施委員会を組織して管理・運営を行っている（図1）。死体解剖保存法，献体法および「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」^1）に示される実施条件ならびに留意事項を遵守して，医学部解剖実習室で実習を行っている。

長崎大学における内視鏡下鼓室形成術技術習得を目指したCSTの取り組み佐藤　智生 , 熊井　良彦 41巻3号 , 2025年3月 , pp.337-340

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はじめに

　耳鼻咽喉科・頭頸部外科を含む外科系の各診療科では，それぞれの手術手技を習得するために，実際の臨床症例において数多くの経験を積む必要があり，それには一定の年限が必要である。同時にご遺体を活用した手術解剖実習による普段の技術向上が求められ，昨今はその重要性がますます高まっている。

EES Hands-on seminar in Yamagata―側頭骨3Dモデルを用いた耳科手術トレーニング― 伊藤　吏 41巻3号 , 2025年3月 , pp.341-346

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はじめに

　側頭骨は上方を中頭蓋窩，後方を後頭蓋窩，前下方を側頭下窩に面しており，内部には蝸牛や前庭・半規管といった感覚器や顔面神経，内耳神経など重要な神経，さらには脳血流を担う内頸動脈や内頸静脈を含んだ複雑な構造をとっている。また，中耳腔に存在する耳小骨はミリ単位の小さな構造物で，味覚を支配する細い鼓索神経は耳小骨連鎖をまたぐように走行しており，耳科手術で扱う側頭骨には，狭い領域の中に繊細な構造物が立体的に複雑に関係しながら存在している。

舌下神経電気刺激装置植え込み術に関わる解剖実習中島　逸男 41巻3号 , 2025年3月 , pp.347-350

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舌下神経電気刺激療法について

　舌下神経刺激療法（hypoglossal nerve stimu-lation：HNS）は閉塞性睡眠時無呼吸症（obstructive sleep apnea：OSA）の新規治療のひとつとして導入され^1），世界ではすでに約70,000人超の患者に刺激装置の植え込みがされており（2024年8月末時点），CPAP不認容な中等症から重症OSAにおける二次的な治療法として位置づけられている。

連載　古典あれこれ

マックス・ゴールドシュタインとacoustic method 富澤　晃文 41巻3号 , 2025年3月 , pp.352-356

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アメリカへの聴覚法の導入とCIDの創設

　マックス・ゴールドシュタイン（Max Aaron Goldstein：1870～1941）は，アメリカの聴覚障害児教育に聴能訓練法を導入したことで知られる耳鼻咽喉科医である（図1）。ヨーロッパ留学後にゴールドシュタインが取り入れた訓練法は，acoustic method（聴覚法）とよばれている。ここでは，1939年刊のacoustic methodを冠した著作から，その内容を紹介する（図2）^1）。

連載　ABR－深く理解し，正しく判定するために－

聴神経腫瘍とABR 細谷　誠 41巻3号 , 2025年3月 , pp.357-361

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聴神経腫瘍におけるABRの特徴

　聴神経腫瘍は第Ⅷ脳神経に発生する良性腫瘍であり，典型的には後迷路性難聴を呈する。聴神経腫瘍はABRの臨床応用上の重要な対象疾患であり，本疾患におけるABR波形の特徴は1970年代にはすでに報告されている^1,2）。現在の聴神経腫瘍診断のゴールデンスタンダードであるMRIの普及前にはABRは聴神経腫瘍診断における最も有用な検査の1つであった。聴神経腫瘍症例での教科書的なABR波形は，Ⅰ波を認めるがⅤ波消失，またはⅠ～Ⅴ波間（もしくはⅠ～Ⅲ波間）潜時の延長が特徴的であるとされている^2,3）。しかしながら，腫瘍のサイズや局在によらずABR波形の左右差が小さい症例から大きいものまで多彩な波形を呈しうることを知っておくことが重要である（図1）。

連載　わたしの研究歴

開発研究は楽し將積　日出夫 41巻3号 , 2025年3月 , pp.363-367

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はじめに

　わたしの研究歴は，1985年に始まる。富山医科薬科大学の4年生であった私に，当時，山田家政短期大学（現　名古屋文化短期大学）の助教授であり，お茶の研究者であった母から，「減脂茶である中国の“プーアル茶”と同じ後発酵茶であり富山県朝日町蛭谷のみで飲まれていた“ばたばた茶”というお茶を研究したい」という希望があった^1）。卒業までの3年間で，発酵に関する微生物の解明，健康診断のデータから蛭谷と隣集落住民との中性脂肪の比較，ラットに“ばたばた茶”を飲ませ，血清のコレステロール値を測定する動物実験を経験した。今でもお忙しい中で研究の手解きをいただいた細菌学・免疫学講座および保健医学講座の皆様には心から感謝している。

留学のすすめ中田　誠一 41巻3号 , 2025年3月 , pp.368-374

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はじめに

　昨今，医師もご多分に漏れず，留学する人が少なくなったという話を各方面からちらほら聞く機会がある。確かに円安もあるし，あちらの生活は日本とまったく価値観が違う世界である。初めは苦労も多いかもしれない。でも，でも，である。

連載　症例をどうみるか

頸部縦隔膿瘍から両側声帯麻痺をきたした1例井口　元貴 , 大木　雅文 , 田中　是 , 菊地　茂 41巻3号 , 2025年3月 , pp.375-379

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はじめに

　反回神経麻痺の病因は，悪性腫瘍（25.2～38.1％），術後性（10.4～51.2％），特発性（16.8～26.8％）が多く，その他の病因は少ない^1）。その他の病因には脳神経疾患，外傷，心疾患，ウイルスが含まれる。細菌を起因とした反回神経麻痺は稀であり，多くは結核によるものである^2）。頸部縦隔膿瘍による反回神経麻痺は極めて稀である^3～8）。今回，頸部縦隔膿瘍による両側反回神経麻痺症例を経験したので報告する。

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目次 41巻3号 , 2025年3月 , pp.258-259

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バックナンバー 41巻3号 , 2025年3月 , pp.266-266

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学会・研究会予定 41巻3号 , 2025年3月 , pp.287-287

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学会・研究会予定 41巻3号 , 2025年3月 , pp.362-362

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次号予告 41巻3号 , 2025年3月 , pp.380-380

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JOHNS
41巻3号
(2025年3月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0910-6820 東京医学社

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JOHNS 41巻3号 (2025年3月発行)

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の手術手技トレーニング

連載 古典あれこれ

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