胃と腸 37巻11号 (2002年10月)

今月の主題 消化管のvirtual endoscopy

序説

消化管のvirtual endoscopy 小野 裕之
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 本号の主題は消化管のvirtual endoscopy(VE)である.筆者自身は,この分野については全く素人の内視鏡医であり,“今はまだ研究段階だろう.だが,将来的にVEは内視鏡やX線造影検査を凌駕するのだろうか?するとすれば10年後か?20年後か?”と首をかしげるばかりであった.しかし,MRCPの出現によりERCP症例が明らかに減少した例を引くまでもなく,患者にとって,また検査をオーダーする医師にとって“楽に,侵襲が少なく検査できる”という利点は大きい.VEが上部消化管内視鏡や大腸内視鏡,注腸検査に比べて本当に低侵襲かどうかはともかく,そのイメージは先行している.

 VEについては他誌でもしばしば取り上げられ,コンピュータで再構築された美麗な3D画像が綺羅星のごとく呈示されている.正直に申し上げると,限られた非常によい条件下でなければこのような画像は得られないのではないだろうか?と考えていた.しかし,multidetector CTの出現や,文字通り日進月歩で速くなるコンピュータ環境は,早晩virtual endoscopyを日常臨床で気軽に使用可能なmodalityと為さしめる可能性を秘めている.実際にスクリーニング検査として臨床応用が検討されてもいる.

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要旨 最初の報告からほぼ10年を経た現在,米国では,VCが大腸癌スクリーニングの手法として現実味を持って語られるようになってきている.本稿では,なぜ特に米国でVCがスクリーニングの手法として注目されはじめているのかを,大腸癌を取り巻く社会・医療状況を通して考察する.また,VCの利用に関する米国での現状と将来課題に関しても考察する.

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要旨 CT colonographyによる大腸小病変の発見能および表面型病変の描出性について検討した.注腸で病変が指摘された54症例を対象にして,CT colonography,大腸鏡および注腸X線検査の診断能を比較した.大腸鏡で確認できた病変79病変中,CTで描出できたのは72病変(91%)であった.しかし,0.5cm以下でCTによって指摘した135病変中大腸鏡で確認できたのは43病変(32%)で偽陽性が多数みられた.大腸表面型病変の描出については大きさ1.0cmのⅡc型早期癌が明瞭に描出できた.CT colonographyは臨床応用がまだ始まったばかりであるが,今後,装置の改良のみならず画像処理やコンピュータ支援診断などソフト面の進歩も期待できるので,近い将来,注腸や大腸鏡と並んで大腸スクリーニング検査の一環を担う可能性がある.

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要旨 multidetector-row CT(MDCT)を利用した腸管の三次元表示法であるCT colonography(virtual colonoscopy法)での大腸癌の存在診断は表面型病変で61.5%の描出率であった.また,注腸二重造影像に近似したdouble-contrast CT colonography像での病変の側面変形像の描出率は85%であり,深達度sm2・3癌の正診率は89.3%で,内視鏡切除のための深達度診断の指標としては有用であった.CT colonographyは,撮影時間は短時間で苦痛が少なく,体位変換が困難な患者でも検査が可能で,各種の表示法を組み合わせると,1回のスキャンで大腸癌の存在診断,病期診断をすることができ,診断・治療の効率化に有用である.

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要旨 multidetector CT(MD-CT)を用いたCT colonography(CT-C)の現状について報告した.現時点でも,CT-Cはわが国ではColon fiber(CF)やX線検査と同等の診断能はない.特に隆起病変の病変の形態を見る場合にその診断能は低下する.しかし適応をうまく限れば補助検査としては有効な検査となりうる.本法の最適な利用法はCFやX線検査が施行困難な症例であろう.当科では盲腸まで挿入困難なTCFの支援検査,術後癒着や狭窄例,悪性腫瘍治療経過観察例などに施行している.しかしCT-Cは同時に得られるaxial,sagittal,coronal画像など管腔外の情報を得られる点では他のモダリティを凌駕しており一概には“不要”とは言えない.

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要旨 virtual endoscopy(VE)は主として大腸の腫瘍性病変を発見するための非侵襲的方法として発達してきた.CT機器の進歩により有力な検査方法となりつつある.しかし,炎症性疾患にはaxial CTは多用されるもののVEの有用性は確立されておらず,むしろX線造影や内視鏡検査の優位性が再確認されている.Crohn病(CD)は多様で,潰瘍と隆起(敷石像)に加え狭窄や瘻孔が頻発する.また,腸壁の肥厚,炎症性腫瘤,脂肪織の炎症・増大や膿瘍などの腸管外の合併症を伴うことが多い.これらの病変のうちどの病変にVEが有用であるのか自験例と文献例を総説的に解析した.今回,自験例の成績からCDの大腸狭窄性病変に対しVEが有用であることが確認されたが,ルーチン検査とはなりえない事実も指摘される.CD病変にはaxial CTによる評価が多く検討されているが,VEによるCD病変の検討は数少ない.しかも,VEによるCD病変の診断精度は高くないとされている.更なるCT機器の進歩によりCDの潰瘍性病変の診断手順が確立されるとVEが多用される可能性はある.

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要旨 多列検出器型CTにより早期胃癌のCTによる三次元的描出能は飛躍的に向上した.将来的には等方向ボクセルに近いデータを取得できるために,ゆがみの少ない高分解能の三次元画像と多方向断層像を獲得できる.これにより早期胃癌は存在診断だけでなく潰瘍瘢痕との鑑別や両者の合併の診断までも,他の検査と同様に行うことができると考えられる.大腸に比べ胃の内視鏡は比較的簡便に行うことができるため,一般的にはCTによる胃の三次元診断はいまだ補助的検査の域を出ないと思われているが,症例の蓄積とハード,ソフトウェアの性能向上により三次元画像だけでなく,二次元的にも第3の胃の診断手技となる可能性が示唆される.

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要旨 CTやMRで得られる大量のデータをコンピュータで再構成して光学内視鏡のような画像で診断する仮想内視鏡(virtual endoscopy)は,従来の光学内視鏡とは全く異なる多くの可能性があるが,なかでも低侵襲性であることからスクリーニングへの応用が期待されている.特に,大腸癌では二次検診で行われる注腸X線造影検査や光学内視鏡検査の苦痛度が高いことから,欧米では将来の臨床応用に向けたrandomized control trial(RCT)や医療費用に関する具体的な分析が始まっている.胃癌については,X線二重造影法の確立に加え精密検査としての内視鏡検査が被検者へそれほど大きな負担とならないこともあり,スクリーニングへの応用は非現実的である.しかしながら,病変描出能は胃癌でも進行癌では問題なく,早期癌についてもⅡaなどの隆起性病変は光学内視鏡と比べて遜色ない画像が描出できることがretrospectiveな検討で示唆されている.病変の描出といった観点から問題が残っているのはⅡbなどの表面型や周辺粘膜の変化を伴わないⅡcなどの陥凹性病変である.CTによる胃癌診断では,深達度について粘膜表面からの画像からだけではなく,断層像からも多くの情報が得られるので光学内視鏡よりも有利であると言える.今後,RCTで本法のsensitivityやspecificityを客観的に明らかにする必要がある.

関連話題

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要旨 胆膵疾患のスクリーニングとして超音波検査やMRCPが施行される.ヘリカルCTやコンピュータ技術の進歩により気管,大血管および腸管などのCT virtual endoscopyが可能となった.胆道・膵臓におけるCT virtual endoscopyの有用性については,今後さらに検討を要するが,胆道や膵管の奇形の評価に期待できる.膵管については,詳細な分岐形態の診断に有用と思われるが,造影法に工夫が必要である.胆道・膵臓におけるCT virtual endoscopyは,端緒についたところであるが,今後デジタル技術の進歩により期待される分野である.さらに超音波やMRCPに代わるスクリーニング法となるか否かについては,今後検討されるべき課題と考える.

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要旨 症例は49歳,女性.主訴は浮遊感.貧血と下血にて紹介入院となった.下部消化管内視鏡検査(CF)にて大腸と回腸末端部に新鮮血を認めたが,病変は認めなかった.小腸の検索のため,CFにて腸管内に送気されているためCF直後に腹部3D-CTを行った.長径約9cmの腫瘍を認め,virtual endoscopy(VE)にて腫瘍の一部が回腸内腔に突出し,その頂部に陥凹を認めた.以上より,回腸の粘膜下腫瘍および同部位からの出血を疑い,出血が持続したため同日に手術した.Bauhin弁より口側約50cmの回腸にGIST(uncommitted type)を認めた.小腸から出血を呈した腫瘍の診断にVEが有用であった.

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要旨 大腸内視鏡が通過しない狭窄を来したS状結腸癌に対して,全大腸の描出をマルチスライスCTによるvirtual endoscopy像とCT enema像にて行い,術中大腸内視鏡所見と切除標本と対比した.マルチスライスCTによる三次元画像は前処置や解像度に問題が残るが,内視鏡が通過困難な症例の口側病変の描出が可能であり,そのCT enema像は注腸X線像にほぼ匹敵し,さらにはvirtual endoscopy像により腫瘍の全体像の把握が容易に行えるなど,今までにない画像が得られる.三次元画像は新しい情報であり,従来にない利用方法も考えられ,内視鏡検査や注腸造影検査に並ぶ検査法として確立される可能性が高い.

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要旨 症例は85歳,男性.下部消化管内視鏡で全周性の2型大腸癌を認め,CTによる大腸検査(以下3D-CT colonography)では,①上行結腸中部に4.5cmにわたる全周性の狭窄を認め,②狭窄は口側,肛門側ともに立ち上がり明瞭で,③狭窄部に深い潰瘍性病変を伴い,④病変の口側には他病変を認めず,⑤病変の腹壁への浸潤あるいは癒着が示唆された.3D-CT colonographyが病変の詳細な把握に有用であった1例を経験したので報告する.

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 丸山(司会) 本日は猛暑の中をお集まりいただきましてありがとうございます.人選は私だけではなく,いろいろな先生がやってくださったのですが,この5人の方々を選ばせていただきました.あまり公正ではないのですが,日本を代表するメーカーからもということで東芝の方にも出席していただくことにしました.

 virtual endoscopyのことで何で私が,と思われそうですので少しいきさつを説明します.1994年3月にアメリカ消化器放射線学会(Society of Gastrointestinal Radiologists)が,ハワイのマウイ島で開催されました.そのときの学会長がNorth CarolinaにあるBowman Gray Medical School放射線科教授でDavid Gelfandという人でした,その下にD.L.Viningという若い医師がいまして,non invasive colonoscopy using helical CT scanning and virtual realityという発表をしました.このときモデルはGelfand自身です,“おれの腸を見てくれ”というようなもので,1日中TVで流れていました.これは将来,ものになることはないだろう,と思いました.内視鏡と注腸検査をしのぐものか,同等のものか,という判断はできなかったのですが,それでも物珍しさがありました.この種のテクノロジーの進歩というのはそれまでの仕事の積み重ねられた上にあるのではなくて,不連続に進歩するというところがありますから,何かいいことがあるかもしれないというので東芝さんにお願いをして,900Sという,今では前世紀の遺物みたいなCTですが,これと,無理やり1台借り出したwork stationを使って仕事をし始めました.と言っても私自身ではなくて小倉敏裕君(癌研附属病院放射線診断科)という,シカゴ大学にも留学してPh.D.の資格を持っている技師さんですが,彼がいろいろやってくれて,英文の発表も含めて論文を書きました.そして現在があります.田中先生はvirtual endoscopyなど興味がないという,内視鏡1本やりの若手のエースです.

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 〔患者〕 64歳,女性.主訴は特になし.2000年11月高血圧で通院していた近医で胃の内視鏡検査を勧められ,抗凝固剤内服中であったことから,同年11月(生検なし)と2001年1月(生検施行)の2回検査された.前庭部前壁にⅡa+Ⅱc型早期胃癌を指摘され,2001年2月精査加療目的で当科を紹介された.

 〔胃X線所見〕 空気量少量の前壁造影では,立ち上がり明瞭な中央に陥凹を有する扁平隆起性病変を認め,2本のひだがあたかもbridging fold状に流入していた(Fig.1a).空気量中等量で腹部を枕で圧迫して撮影した前壁造影では,隆起の丈が減少し全体的に平坦化した.隆起(透亮像)部分には非病変部より連続する繊襲がみられ,中心部に広く淡い陥凹を示すバリウム斑がみられた.陥凹の境界線はいわゆる蚕食像を示し,外側に棘状にのび出した像も認められ陥凹部が癌であることが示唆された.陥凹内の口側大彎寄りには透亮像を認める以外は比較的無構i造であった(Fig.1b).病変自体の伸展は良好であった.

早期胃癌研究会

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 2002年5月の早期胃癌研究会は,5月15日(水)に一ツ橋ホールで開催された.司会は八尾恒良(福岡大学筑紫病院消化器科)と武藤徹一郎(癌研究会附属病院)が担当した.ミニレクチャーは吉田操(東京都立墨東病院)が「食道隆起性病変の鑑別診断一癌の診断に必要な知識」と題して行った.

 〔第1例〕 Helicobacter pylori(Hp)陽性の66歳,女性.胃悪性リンパ腫(症例提供:福井県立病院外科 海崎泰治).

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 2002年6月の早期胃癌研究会は6月19日(水)に一ッ橋ホールで開催され,馬場保昌(早期胃癌検診協会),山野泰穂(秋田赤十字病院消化器病センター)が司会を担当した。ミニレクチャーは「いわゆる単純性潰瘍の治療について」と題して松川正明(昭和大学豊洲病院消化器科)が行った.

 〔第1例〕 41歳,女性.異所性胃粘膜下囊腫(症例提供:高知医科大学第1内科 田所剛久).

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 2002年7月の早期胃癌研究会は7月17日(水)に東商ホールで開催された.司会は小野裕之(静岡がんセンター内視鏡科)と芳野純治(藤田保健衛生大学第二病院内科)が担当した.ミニレクチャーは工藤進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)が「大腸のconventional内視鏡とは」と題して行った.

 〔第1例〕 71歳,女性.顆粒細胞腫に合併した食道0-Ⅱc癌(症例提供:岐阜大学放射線科 後藤裕夫).

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要旨 患者は62歳,女性.排便時出血を主訴に当センターを初診した.大腸内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に大きさ約25mmの結節集簇様病変を認めた.病変は丈が低く均一な結節からなる部分と,それと連続して丈が高く発赤調で著明な緊満感を有する部分より構成されていた。緊満感を有する部分では分葉傾向が消失し,頂部に白苔を伴った浅い小陥凹を認めた.内視鏡所見からは表面構造を比較的保ちながら粘膜下層へ深部浸潤した大腸癌と診断した。注腸X線検査では,病変はS状結腸の大きさ25mmの立ち上がりが明瞭な隆起性病変として描出され,表面には大小不均一な結節を認め,大きな結節の頂部に不整形の浅い陥凹を示すバリウム斑がみられた.側面像では弧状変形を呈していた.超音波細径プローブ所見を加味し,病変は丈の高い緊満感を有する部分において粘膜下層に深部浸潤した癌と最終診断し,S状結腸切除術を施行した.病理組織学的には丈の高い緊満感を有する部分で深達度mpへ浸潤した高分化腺癌であった.また丈の低い均一な結節部分では癌は粘膜内にとどまっており,adenomaの成分はみられなかった.本例は比較的表面構造を保ちながら深達度mpまで深部浸潤した癌であり,大腸癌の発育進展を考えるうえで興味ある症例と思われ報告した.

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欧文目次

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 一般に薬剤の代謝過程において,腎臓は肝臓とともに重要な排泄経路である,特に腎臓では,糸球体濾過の他に尿細管における再吸収・分泌というメカニズムが排泄を複雑にしており,薬剤によって排泄の実態が異なっていると考えられる.したがって,専門医といえる私達でも,十分理解していない点が少なくない.

 腎で排泄される薬剤については,腎機能低下とともに血中濃度が異常に上昇し,副作用を引き起こす危険があることや,排泄の過程で主に尿細管・問質系に障害を及ぼす恐れについて考慮しなければならない.最近,このような問題が重視されており,実際の診療において薬剤の投与量を定める場合,常に念頭に置く必要が出てきた.このため,各薬剤ごとに,腎機能と投与量の関係を示した成書もいくつか出版されている.しかし,これらでは詳細な内容は示されずに,単に投与量を羅列するに終わっていることも多い.また,新しい薬剤についての記載が少なく,使用したい薬剤の情報がしばしば得られない.

書評「IVRマニュアル」 岡崎 正敏
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 臨床の現場でinterventional radiology(以下IVR)は,重要な近代医療部門として内外で認知されるところまできている.

 本邦における全国レベルでのIVR勉強会は,1982年日本血管造影IVR研究会発足以来,1995年学会と移行し,20年が経過している.

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 2002年9月18日(水),東商ホールで行われた早期胃癌研究会の席上,第8回白壁賞と第27回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が行われた.第8回白壁賞は吉田操・他「食道癌の深達度診断内視鏡像からみた深達度診断」(胃と腸36:295-306,2001),第27回村上記念「胃と腸」賞は渡辺英伸・他「虫垂・盲腸Crohn病の病理学的特徴と鑑別診断」(胃と腸36:183-194,2001)と松本主之・他「潰瘍性大腸炎診断基準の問題点―非連続性病変の面から」(胃と腸36:507-515,2001)に贈られた.渡辺氏は第7回の「胃と腸」賞を「原発性の空・回腸腫瘍の病理―肉眼形態と組織像の対比」で受賞しており,2度目の受賞となった.

 研究会司会の川口実氏(国際医療福祉大学附属熱海病院内科)から,まず白壁賞受賞者の発表があり,受賞者代表として吉田氏(都立駒込病院,現:都立墨東病院)が紹介された.本賞は,故白壁彦夫氏のご業績をたたえて,消化管の形態・診断学の進歩と普及に寄与した論文に贈られるもので,「胃と腸」に掲載された論文に加え,応募論文も選考の対象となる.今回は「胃と腸」36巻に掲載された全論文と応募のあった英文論文1篇が選考対象となった.

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 早期胃癌研究会は,財団法人日本対がん協会(会長:杉村隆国立がんセンター名誉総長)から,平成14年度日本対がん協会賞を受賞した.

 日本対がん協会賞は日本対がん協会創立10周年を記念して1968年に作られ,今年で35回目を迎える.がん検診の指導やシステム開発,第一線の検診・診断活動,がん予防知識の普及や啓発活動などに功績があった方々や団体が対象になる.個人は毎年2人から数人,団体は1ないし複数団体が選ばれる.

編集後記 大谷 吉秀
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 内視鏡検査がわが国の早期癌の診断に大きく貢献していることは誰もが認めるところであるが,virtual endoscopy(VE)がこれを凌駕する時代が来るのかどうかをテーマに,VE,CT colonographyの描出能や将来性,さらに最先端をいく米国からスクリーニングにおけるvirtual colonoscopyの現状について,それぞれ第一人者の方々に原稿を寄せていただいた.multidetector-row CT(MDCT)の登場により,三次元画像の分解能が著しく向上したことが詳しく紹介されているが,さらに精度の向上が可能であること,表示方法をいろいろ工夫すれば平坦な病変の診断能の向上が期待できることなど,VEの将来は明るい.

 今回の企画ではVEのスクリーニングでの使用に主眼を置いた.スクリーニングの成功に影響を与える最終的な要因は被験者の受容性であり,現状のVEでは前処置や空気による腸管の拡張が必要で,楽な検査と言えるかどうか未知数である(吉田論文).被験者にどれだけやさしい検査法かが問われているわけで,この点は消化器病診断学のみでなく,医療界全般に求められている思想であろう.このような大きな潮流の中で,人々の幸福に貢献できる手段の1つにVEがなりうるかどうか,多少なりとも浮き彫りにできたのではないかと考えている.読者の方々のご批判をいただければ幸いである.MRCPの登場でERCPの件数が減少しつつあるように,近い将来VEが普及して,内視鏡検査に情熱を傾ける若いドクターが減ってしまう可能性を危惧するのは,小生だけであろうか.

基本情報

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胃と腸
37巻11号 (2002年10月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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