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編集後記
大谷 吉秀
pp.1496
発行日 2002年10月25日
Published Date 2002/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104584
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内視鏡検査がわが国の早期癌の診断に大きく貢献していることは誰もが認めるところであるが,virtual endoscopy(VE)がこれを凌駕する時代が来るのかどうかをテーマに,VE,CT colonographyの描出能や将来性,さらに最先端をいく米国からスクリーニングにおけるvirtual colonoscopyの現状について,それぞれ第一人者の方々に原稿を寄せていただいた.multidetector-row CT(MDCT)の登場により,三次元画像の分解能が著しく向上したことが詳しく紹介されているが,さらに精度の向上が可能であること,表示方法をいろいろ工夫すれば平坦な病変の診断能の向上が期待できることなど,VEの将来は明るい.
今回の企画ではVEのスクリーニングでの使用に主眼を置いた.スクリーニングの成功に影響を与える最終的な要因は被験者の受容性であり,現状のVEでは前処置や空気による腸管の拡張が必要で,楽な検査と言えるかどうか未知数である(吉田論文).被験者にどれだけやさしい検査法かが問われているわけで,この点は消化器病診断学のみでなく,医療界全般に求められている思想であろう.このような大きな潮流の中で,人々の幸福に貢献できる手段の1つにVEがなりうるかどうか,多少なりとも浮き彫りにできたのではないかと考えている.読者の方々のご批判をいただければ幸いである.MRCPの登場でERCPの件数が減少しつつあるように,近い将来VEが普及して,内視鏡検査に情熱を傾ける若いドクターが減ってしまう可能性を危惧するのは,小生だけであろうか.
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