胃と腸 31巻5号 (1996年4月)

今月の主題 表層拡大型早期胃癌

序説

表層拡大型早期胃癌 吉田 茂昭
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 “癌は上皮内より発生し,無限の増殖能を獲得する.このため,時間の経過に伴って周囲組織を浸潤しながら早期癌から進行癌,更には全身癌へと進展し,遂には宿主の死に伴って消滅する”というのが癌の自然史についての一般的な理解である.この場合,実質臓器のように,問質が癌巣周囲を取り巻く環境下にあれば,増殖のベクトルは全方向に向かい癌巣は一般的に球状を呈する.しかし,消化管をはじめとする管腔臓器では管腔内に間質が存在しないため,多くの場合は間質に誘導されるように管腔壁の深部方向と水平方向に向かって浸潤し,その結果,主として二次平面的な肉眼所見を示すことになる.加えて,胃などのように消化液の分泌と消化運動が盛んに行われる環境下では,管腔側からの組織破壊も加わるため,管腔側への突出部分(三次元的形態)は更に修飾され,癌巣の肉眼形態としては他臓器ではみられないほど多彩な所見を呈する.

 この中で,表層拡大型はとりわけ二次平面的な発育進展を特徴とする癌であり,組織学的には“病巣の大きさの割に深達度の浅い癌”として,また,腫瘍生物学的には“深部浸潤傾向に乏しく側方浸潤を主体とする癌”として位置づけられている.この種の胃癌の存在は古くから知られており,その起源はStout(1942年)の“superficial spreading type of carcinoma of the stomach”の記載にまで遡ることができる.無論,当時は早期胃癌の概念はなく,深達度の定義はなされていないが,感覚的に深部浸潤に乏しいという意味で,mpを越えない15例(5例は早期胃癌に相当)を報告している.一方,わが国では早期胃癌の定義がなされたわずか8年後の1970年に,安井が側方浸潤を主体とする早期胃癌の存在を報告し,長径と短径の積が25cm2以上である早期胃癌を表層拡大型胃癌として明確に定義した.

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要旨 表層拡大型胃癌の特徴を検討するために,3,218例の胃癌手術例を用いて検討した.早期癌と進行癌の癌の大きさ別の頻度から,長径7cm以上の早期癌(147例,早期癌の9.9%)を表層拡大型と定義し,4cm未満の通常型と比較検討した.表層拡大型は,相対的に女性の比率が高く,若年者に多かった.肉眼型は集中(+)のⅡcが多く,組織型は印環細胞癌および低分化腺癌が多く,占拠部位は小彎を中心とした症例が大多数であった.更に典型的と思われる長径10cm以上の早期癌24例の詳細な検討では,肉脹型は陥凹型を主体とするⅡc様Ⅱb型と隆起型を主体とする粗大結節集簇型とに分類され,周辺では低い隆起を形成する傾向にあった.組織学的には,大多数の症例が胃型と腸型の混在する分化型癌と印環細胞癌との混合型あるいは印環細胞癌であった.肉眼所見と組織所見の対比では,印環細胞癌あるいは分化型のみから成る症例は肉眼的に境界明瞭であり,種々の組織型を呈する癌から成る症例は肉眼的に境界不明瞭であった.以上の結果から,表層拡大型胃癌は,腺窩上皮型癌や印環細胞癌を含む胃型の癌が周囲の粘膜環境と相まって小彎を中心に表層性に拡がった症例が大多数であり,臨床的には画像診断的および肉眼的にも境界不明瞭な症例が多く,注意が必要であると思われた.

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要旨 表層拡大型(表拡型)早期胃癌の定義は,癌の平均径が8cm以上で深達度がsmまでにとどまるものとした.1981年~1993年の13年間に癌研外科で切除された全胃癌3,690例に対する表拡型早期胃癌の頻度は0.79%(29例)である.表拡型癌29例を対象に臨床病理学的診断の立場から検討した.癌の主占拠部位別頻度では胃体部領域が最も多く21例(72%)であった.肉眼型別頻度は陥凹型が多く76%(22例)であった。Ⅱb合併は3例(10%)であった.癌組織型は未分化型が多く69%(20例)であった.深達度では粘膜下層(sm)が多く66%(19例)であった.背景粘膜の腸上皮化生程度では高度な例が多く45%(13例)であった.リンパ節転移は11例(38%)にみられた.術前の拡がり診断率は,X線検査90%,内視鏡検査79%であった.分化型と未分化型の混合型が12例(41%)を占めていたこと,癌の拡がり方が同心円状でなく奇異な形の拡がりを示した癌が6例(21%)であったことから,表拡型早期胃癌の多くは多中心性に発生した癌が互いに融合して,1つの癌巣を形成していることが考えられた.

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要旨 隆起型を示す表層拡大型早期癌の診断上の問題点について検討した.対象は1970年1月から1995年12月までに外科的切除された5cm×5cm以上の拡がりを持つ表層拡大型早期癌78例78病変である.同期間の早期胃癌切除例1,032例中の7.6%であったが,近年では5%以下に低下していた.組織型は分化型42例,未分化型36例,肉眼型は陥凹型56例,隆起型22例であった.隆起型の肉眼型をⅡa+Ⅱc型8例,隆起型4例,隆起陥凹混在型8例の3群に分けて検討した.深達度診断については,sm率がⅡa+Ⅱc型では100%,隆起陥凹混在型では50%と高いにもかかわらず,sm浸潤部を指摘することはX線上でも切除標本上でもできず,これらの病変では必ずsm癌と診断する必要があった.境界診断については,隆起陥凹混在型における口側境界の診断が不良で,この形態的特徴として8例中7例では隆起部分の口側に随伴Ⅱb様の平坦部分がみられ,しかも隆起部分よりも広い範囲に浸潤がみられた.

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要旨 1962年の当センター開設以来,1991年12月までに外科的に切除された胃癌7,398例中,m癌1,178例,sm癌974例,mp癌506例を腫瘍最大径によって25mm以下,26~50mm,51~75mm,76mm以上と4群に分け,各群の臨床病理像を比較検討した.最大径が51mm以上の早期胃癌を表層拡大(表拡)型早期癌と定義すると,それは全早期癌の15%を占め,その頻度は年々漸減していた.表拡型早期癌では,男女比が1.5と低く(早期癌2.5),M領域に多く,signet-ring cell carcinomaが多いことが特徴であり,76mm以上のmp癌も同様の性状を有していることから,両者間の強い結び付きが推定された.76mm以上のmp癌は,50mm以下のmp癌と比べてmp層への腫瘍浸潤範囲が狭く,38%が内視鏡的にもⅡcまたはⅡc類似進行癌と診断され,癌細胞が粘膜面を広範囲に拡がった後,少しずつ垂直方向へと浸潤してゆくと思われる.更に,表拡型早期癌はapoptosisが盛んで,血管新生因子b-FGFの発現に乏しく,このような生物学的性質が癌細胞の粘膜内進展に関与しているのかもしれない.

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要旨 表層拡大型早期胃癌は,単一の病巣として,小型の早期癌から連続的に移行型をたどることができる.それらは,粘膜病変が印環細胞癌の形態をとる未分化型癌の場合,ほとんどdiploidでpolyploidyの頻度も低いが,進行癌ではその約7割にaneuploidyが検出される.長径が2cm未満の進行癌は複数のmodeを持つaneuploidyを示すことが多く,DNAが特に不安定であることが示唆された.長径が2cm以上の進行癌では,polyploidyの頻度が早期癌並みに低いdiploid領域(早期病変の残存)がしばしばみられた.これらではaneuploidyの出現頻度は粘膜病変の大きさによって有意差がなく,diploidyからaneuploidyへの転化に伴う早期から進行期への進展(転化)はランダムに起こると考えられる.このような未分化型癌の進展様式からみると,確率的に生じるaneuploidyがたまたま長期間生じなかった場合に表層拡大型早期癌の形態をとるものと考えられる.

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要旨 患者は55歳,女性.検診の上部消化管X線検査で異常を指摘,内視鏡検査で早期胃癌と診断されて,治療目的で当院を受診した.入院後の胃X線検査および内視鏡検査では,胃体部から胃角部の前壁を中心に広範囲に浅い陥凹が拡がっており,生検で低分化腺癌を認めたため,表層拡大型のⅡcと診断され胃全摘術が施行された.切除胃肉眼標本では,胃角部を中心に体中部から幽門部の前後壁に拡がる9.5×83cm(ピンで固定後は10.0×9.2cm)の浅い陥凹が認められた.陥凹の境界は比較的明瞭で,陥凹底はやや白色調を呈し,また中央部に短い線状の潰瘍瘢痕を伴っていた.病理組織学的所見は,印環細胞癌で深達度はmであった.

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要旨 患者は75歳,男性.検診目的の胃X線検査で広範な扁平隆起性病変を認めた.X線上,隆起表面はいわゆる“soap-bubble”appearanceを呈し,胃壁の伸展性は保たれていた.内視鏡では,表面顆粒状ないし結節状の平盤状隆起が体上部から前庭部まで全周性に拡がっていた.生検診断はGroupⅢであったが,病変の形態から悪性を否定できず,胃全摘術を施行した.切除標本では19×11×0.7cmの平盤状隆起で,その表面は肉眼的に絨毛状の外観を呈していた.病理組織学的には,腺管絨毛腺腫を主体として一部に高分化腺癌を含んでおり,villous tumorと診断した.

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要旨 患者は77歳,男性.検診の胃X線および内視鏡検査で胃体部に広範な丈の低い隆起性病変を指摘された.色調は全体に褪色調で,15か所から施行した生検結果はGroup Ⅲであった.癌の合併を考慮し,手術を勧めたが拒否されたため,経過観察となった.病変は徐々に増大し,1年10か月後に生検でGroup Ⅴの結果が得られ,2年後に胃全摘術が施行された.切除胃肉眼所見では,噴門部から胃角部にかけて全周性に16.5×13cm大の丈の低い隆起を認めた.病変は局所的には胃腺腫に類似した形態を呈し,胃体中部後壁に小陥凹を認めた.組織学的には,高分化型管状腺癌が主体で,一部に中分化型管状腺癌を認めた.また,小陥凹部で粘膜下層に浸潤を認めたが,大部分は粘膜内にとどまっていた.

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要旨 患者は63歳,女性.1か月ほど前から食思不良を訴え,前医での胃内視鏡検査で異常を指摘され,当科に人院となった.X線所見におけるアレア像の変化,空気量を少なめにした仰臥位二重造影第2斜位像での噴門側の境界線の描出および内視鏡所見での粗ぞうな褪色調粘膜の範囲によって,体中部から前庭部にかけて胃角を中心とした広範に拡がる表層拡大型Ⅱc型胃癌と診断し,胃全摘術が行われた.切除胃肉眼所見では胃角部を中心に胃体中部から幽門前庭部にかけて浅いびらんを伴う境界の不明瞭な浅い不整な陥凹病変を12×7.5cmの範囲に認めた.病理組織診断は低分化型腺癌であった.大部分は粘膜内癌であったが,胃体部前壁にかけて粘膜下層内への浸潤がみられ,その部分でリンパ管浸潤と,ごく一部で固有筋層への浸潤を伴っていた.

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〔患者〕61歳,男性.8年前(1987年)に肝硬変による食道静脈瘤に対して,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を施行した.その後,定期的に内視鏡検査で経過観察していたところ,1995年11月,食道に病変を発見した.

〔食道内視鏡所見〕通常観察で上切歯列から27cmの6時方向に,2mm程度の微細血管が集まったような,わずかな発赤に気付いた.そのほかには,明らかな発赤やびらんは認められなかった(Fig.1).ヨード染色を行うと同部は約15mmの範囲で比較的境界明瞭な不整形の不染を呈した(Fig.2)。病巣中央部からFig.3のように生検を1個採取した.

早期胃癌研究会

1996年1月の例会から 長廻 紘
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 1996年1月の早期胃癌研究会は,1月17日(水),長廻紘(群馬県立がんセンター)の司会で行われた.

〔第1例〕54歳,女性.胃悪性リンパ腫,胃平滑筋肉腫(症例提供:多摩がん検診センター 東 馨).

 X線・内視鏡所見とも川口(東京医大4内)が読影した.X線所見では,非上皮性隆起が3個,うち2個が強いて言えばリンパ腫,残りが平滑筋腫であり,胃上部の大きな隆起はsm massive,その他は深達度不明と診断した.内視鏡所見では4つの隆起があり,リンパ腫ならびらん形成があってもおかしくない大きさだが,それがないのでSMTとしか言えないとした.馬場(癌研内科)がX線所見について,萎縮の少ない背景粘膜に,輪郭がいびつで表面が正常に近いSMTが多発しており,リンパ腫と診断できるとした.

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 1996年2月の早期胃癌研究会は2月21日(水),樋渡信夫(東北大学医学部第3内科)と浜田勉(社会保険中央総合病院消化器科)の司会で行われた.

〔第1例〕64歳,女性.serrated adenomaを伴った陥凹型由来進行大腸癌(症例提供:順天堂大学消化器内科 寺井 毅).

 便潜血検査陽性のため,精検を受診し,横行結腸の異常を指摘され来院した症例である.読影は今村(札幌厚生病院消化器内科)が担当した.X線では,横行結腸に中心陥凹を有する立ち上がりがなだらかな腫瘤がみられ,側面像では台形状変形がみられるものの,陥凹底は平滑で,硬さもみられず(Fig.1a),肉眼形態はⅡa+Ⅱcが固有筋層レベルまで浸潤した悪性リンパ腫を最も疑った.内視鏡では,粘膜下腫瘍様のなだらかな隆起の頂に発赤がみられ,更に口側にポリープを認め(Fig.1b),炎症性腫瘤を疑った.工藤(秋田日赤胃腸センター)は,pit patternから,奥の隆起は.上皮性腫瘍,発赤面では癌が露出していて周りは正常粘膜で覆われており,ひだ集中像と併せて粘膜下層を中心に浸潤した癌の所見と読んだ.中野(藤田保健衛生大消化器内科)はX線で奥のポリープが描出されていたことを指摘し,Ⅱcを主体とした癌で,柔らかさがあることから表面と浸潤部の組織型に違いがあることを推測した.

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要旨 患者は73歳の女性.心窩部不快感があり,胃・十二指腸X線検査および内視鏡検査で幽門部十二指腸球部の異常を指摘され来院した.内視鏡検査で幽門前庭部に白色調の平坦な隆起を認め,幽門輪は肥厚し,その一部に発赤した粘膜面が認められた.十二指腸球部にも粗大顆粒状で一部結節状の隆起を全周性連続性に認め,生検結果から腺腫内癌と診断し,十二指腸球部幽門側胃切除を施行した.切除標本では,病変は幽門輪を中心として,胃側に3.5cm,十二指腸側に3.5cm進展した広範な早期癌で,幽門輪の一部で粘膜下層(sm1)への浸潤を認めた,病変部には広範にp53が過剰発現しており,幽門輪を中心とする表層拡大型胃癌と診断した.

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要旨 患者は76歳,男性.便秘のため近医を受診し,注腸X線検査で異常を指摘されたため当科に紹介入院となった.注腸X線検査の正面像では,横行結腸右側部に皺襞集中を伴う直径約10mmの不整形陥凹性病変が認められ,その側面像はΩ状変形を呈していた.大腸内視鏡検査では,皺襞集中を伴い,中心がわずかに陥凹した発赤顆粒状病変が観察された.切除標本上,大きさ13×10mm,皺襞集中を伴い,発赤調のわずかに陥凹したⅡcであった.病理組織学的には,粘膜筋板を越えて粘膜下層中層に達する深達度sm2の高分化腺癌で,ly1,v0,n0であった.

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要旨 患者は64歳,女性.50歳時に胃癌で胃全摘術兼食道・十二指腸吻合術を施行された.1994年8月18日,前胸部のつかえ感を自覚し当科を受診した.門歯列から23cmの食道Iu部に著明な輪状狭窄を認め,入院後リジフレックスバルーンダイレーターで拡張術を施行した.拡張後の精査にて門歯列から23~28cmの食道Im部に全周性の不整発赤調の凹凸粘膜を認め,生検で中分化型腺癌と診断した.その肛門側食道は門歯列から35cmの吻合部まで均一な細顆粒状粘膜で覆われ,生検でBarrett上皮と診断した.同年9月27日,食道切除術を施行した.切除標本でも広範なBarrett上皮に発生した0-Ⅱa型腺癌(sm3,ly0,v1)と確認された.

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要旨 患者は61歳,女性.腹満感,嘔吐を主訴とし,結腸の精査目的に来院した.大腸内視鏡・注腸造影検査で下行結腸の閉塞性大腸癌と診断し,緊急手術を行った.横行結腸左半部の約11cmに及ぶ腸管壁全周の肥厚と硬化,漿膜面の顆粒状変化を認め,びまん浸潤型大腸癌と診断し,拡大右半結腸切除術を行った.しかし病理組織学的検索で癌細胞は認められず,粘膜下層の萎縮,粘膜下から筋層,更に漿膜下に及ぶ強い炎症性変化,著明な筋層の肥厚を認め,慢性持続型潰瘍性大腸炎と診断された.癌を伴わない潰瘍性大腸炎閉塞症例は極めてまれであり,本例は術後の再燃もなく順調に経過している.

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要旨 患者は62歳,男性.十二指腸潰瘍の内服治療中に,X線および内視鏡検査で十二指腸下行脚に隆起性病変を2個認めたため,当科入院となった.いずれの病変も表面平滑,正色調で軟らかく,表面粘膜の生検では炎症性細胞の浸潤した十二指腸粘膜であった.更に超音波内視鏡検査で粘膜下層に限局した低エコー病変として描出されたため,粘膜下嚢胞の診断で内視鏡下に穿刺吸引を行った.嚢胞内容物の細胞診ではBrunner腺上皮細胞が認められ,Brunner腺嚢胞と診断した.自他覚所見がなく,良性の嚢胞であることが明らかであったため,内視鏡的切除は行わなかった.

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欧文目次

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 CR(computed radiography)が出てから10年余りになる.当初は限られた施設でしか使われていなかったが,次第に普及してきた.これを導入している施設も増えるとともに,各地のメディカルセンターや,地域の中核病院を拠点に共同利用が行われるようになり,一般診療所の先生方にも広く利用できるようになってきた.

 CRの写真は,従来のフィルムと増感紙を組み合わせた方式(F/S方式)に比べて画像がきれいに見える,多少条件が悪い撮り方でもはっきりした写真をつくってくれるといった漠然とした知識はお持ちであろうが,その理論的背景や,長所・短所を十分に理解できている方は少ないと思われる.

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 今日のわが国の医療界が混迷を極めていることは,何人も首肯するところであろう.その原因はいろいろ挙げられようが,その根底に“医療費”問題が大きく横たわっていることは間違いない.

 国民のニーズを論ずるのはいい.医療と福祉の包括性を説くのもいい.高齢化社会を迎えて“介護保険”を企画するのも大切だ.しかしそこには常に,財源の頭打ちの問題が,阻害要因として大きく立ちはだかってくるのではないか.

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 「引用」の範囲を超えて他人の著作物を,自身の著作物へ取り込む場合(“転載”)には相手方(著作権者・出版社)の許諾が要ります.(許諾の条件として著作権使用料を請求される場合もあります)但し,「引用」の条件を満たして利用する場合は自由に利用できます.

「胃と腸」質問箱 小越 和栄
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質問 胃癌や胃潰瘍の病変の深さを読影する際の指標として,粘膜ひだの先端部の所見に注目することが常ですが,隣接するひだがくっついた状態に対して,英語では“fusion of the folds”と表現しているようです.日本語では“癒合”と言われたり,“融合”という用語が用いられたりして一定ではないようですが,両方の書葉に違いがあるのでしょうか使い分けなければならないのでしょうか.

(京都ST生)

編集後記 浜田 勉
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 本号では,少なくとも長径×短径が5cm×5cm以上の表層拡大型(表拡型)早期胃癌を材料にして検討することを企画した.水平方向に浸潤する癌の特徴を浮き彫りにしようと,各筆者がそれぞれ解析に工夫している点を読み比べていただきたい.

 表拡型には2つの視点があるだろう.1つは,多中心性発生かどうかである.辻(大阪府立成人病センター)は病理組織学的検討から胃型の癌が周囲の粘膜環境のもとで拡がったとしたが,森田(癌研)はsm癌の大きさ別の比率や形態から多中心性発生を支持している.今後,この点に焦点を置いた研究(apoptosis,ploidy patternなどの面も含めて)が必要と考えられる.2つめは表拡型早期胃癌が進行するとどうなるのかである.後藤田(国立がんセンター中央病院)の検討では進行癌との統計的比較で明らかな形態像を認めなかったが,杉山(藤田保健衛生大)が示した主題症例はそのヒントを示すものかもしれない.

基本情報

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胃と腸
31巻5号 (1996年4月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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