早期胃癌研究会
1996年2月の例会から
樋渡 信夫
1
,
浜田 勉
2
1東北大学医学部第3内科
2社会保険中央総合病院消化器科
pp.652-653
発行日 1996年4月25日
Published Date 1996/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104138
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1996年2月の早期胃癌研究会は2月21日(水),樋渡信夫(東北大学医学部第3内科)と浜田勉(社会保険中央総合病院消化器科)の司会で行われた.
〔第1例〕64歳,女性.serrated adenomaを伴った陥凹型由来進行大腸癌(症例提供:順天堂大学消化器内科 寺井 毅).
便潜血検査陽性のため,精検を受診し,横行結腸の異常を指摘され来院した症例である.読影は今村(札幌厚生病院消化器内科)が担当した.X線では,横行結腸に中心陥凹を有する立ち上がりがなだらかな腫瘤がみられ,側面像では台形状変形がみられるものの,陥凹底は平滑で,硬さもみられず(Fig.1a),肉眼形態はⅡa+Ⅱcが固有筋層レベルまで浸潤した悪性リンパ腫を最も疑った.内視鏡では,粘膜下腫瘍様のなだらかな隆起の頂に発赤がみられ,更に口側にポリープを認め(Fig.1b),炎症性腫瘤を疑った.工藤(秋田日赤胃腸センター)は,pit patternから,奥の隆起は.上皮性腫瘍,発赤面では癌が露出していて周りは正常粘膜で覆われており,ひだ集中像と併せて粘膜下層を中心に浸潤した癌の所見と読んだ.中野(藤田保健衛生大消化器内科)はX線で奥のポリープが描出されていたことを指摘し,Ⅱcを主体とした癌で,柔らかさがあることから表面と浸潤部の組織型に違いがあることを推測した.
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