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編集後記
浜田 勉
pp.682
発行日 1996年4月25日
Published Date 1996/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104145
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本号では,少なくとも長径×短径が5cm×5cm以上の表層拡大型(表拡型)早期胃癌を材料にして検討することを企画した.水平方向に浸潤する癌の特徴を浮き彫りにしようと,各筆者がそれぞれ解析に工夫している点を読み比べていただきたい.
表拡型には2つの視点があるだろう.1つは,多中心性発生かどうかである.辻(大阪府立成人病センター)は病理組織学的検討から胃型の癌が周囲の粘膜環境のもとで拡がったとしたが,森田(癌研)はsm癌の大きさ別の比率や形態から多中心性発生を支持している.今後,この点に焦点を置いた研究(apoptosis,ploidy patternなどの面も含めて)が必要と考えられる.2つめは表拡型早期胃癌が進行するとどうなるのかである.後藤田(国立がんセンター中央病院)の検討では進行癌との統計的比較で明らかな形態像を認めなかったが,杉山(藤田保健衛生大)が示した主題症例はそのヒントを示すものかもしれない.
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