胃と腸 27巻11号 (1992年11月)

今月の主題 大腸pm癌

序説

  • 文献概要を表示

深達度と浸潤パターン

 大腸の各層構造の中では固有筋層は最も厚い層である.したがって,癌浸潤の最深部を深達度と定義するだけでは,その多様性を表現できない.言い方を換えると,単に深達度というコンセプトでpm癌を考えたのでは事の本質を見失うのではないか.あくまでも,癌の厚さを浸潤パターンと見なして,病変群を類型化し,臨床診断と治療の有り方を検討すべきではないのか.

 X線診断の立場から言うと,pm癌による変形はあまりにも多様性に富んでいる(Fig.1)1).ということは,pm癌の深達度は診断できないということである.これは,筆者が既に記載している1).しかし,側面像における変形と深達度の関係を分析したこの仕事の目的は早期癌の診断の可能性に向けられすぎていたために,pm癌の場合の変形が何故このように多彩であるのかということについては,1つの解答を得ていたにもかかわらず,それを書き留めておく余裕がなかった.また,その解答に基づいて,pm癌の病変を整理しておくことを怠ってしまった.

  • 文献概要を表示

要旨 全国大腸癌登録調査報告第1号から4号および第6号(大腸癌研究会刊,1985~1990年)に記載された18,749例の大腸癌(1974-1982年に治療された症例)の臨床情報に基づき,大腸pm癌の概況を述べた.pm癌の頻度は13.5%(2,527例)で,同母集団のm・sm癌合計1,268例の2倍に当たる.部位別にみると,下行結腸より口側では5%,S状結腸では10%,直腸では20%である.5年生存率は,結腸pm癌77.8(±3.4)%,直腸pm癌742(±22)%である.リンパ節転移を持つ頻度は,結腸では20%(n112.4%,n2以上7.6%),直腸では,26.7%(n118%,n2以上8.7%)であった.1974年から1982年の間に,pm癌が大腸癌全症例に対して占める割合は変化していない.

  • 文献概要を表示

要旨 大腸pm癌の病理学的特徴を明らかにするために,結腸癌(52病変)と直腸癌(100病変)で,それぞれ,癌巣の固有筋層への深達度が内輪筋層までのpm癌(pm-C癌)と外縦走筋層に達するpm癌(pm-L癌)とに分けて臨床病理学的に分析し,また,わずかに固有筋層を越えて浸潤するSS1(a1)癌と比較検討した.pm癌では,直腸が全症例の2/3を占めて,結腸より腫瘍径・リンパ節転移率が大きく,直腸のpm-L癌が最も悪性度が高かった.しかし,固有筋層を越えることによって急に生物学的悪性度が増すことはなく,特に結腸のSS1癌はpm癌とほぼ同列に扱ってもよいものと思われた.また,pm癌にしばしば認められる潰瘍底の浅い半隆起型病変を,潰瘍型と診断されたものの中から“中間型”として選び,腫瘤型および深い潰瘍型と比較検討した.従来の腫瘤型と潰瘍型の分類では,pm-Cのレベルで既に潰瘍型が過半数を占めたが,“中間型”を設けることによって進行癌の形態変化は深達度と共に緩やかに深い潰瘍型へ移行し,その過程に結腸と直腸とで差があることが示唆された.また,“中間型”と深い潰瘍型のリンパ節転移率は,有意に後者のほうが高かった.

  • 文献概要を表示

要旨 大腸pm癌のX線像を隆起型と陥凹型に分けてsm癌と比較検討した.側面像を無変形,楔状,弓状,Ω状,半円状,台形状変形の6型に分類すると,隆起型のsm1,2では無変形からΩ状変形を,sm3からpm2では弓状から半円状変形を,pm3になると半円状以上の変形を呈し,半円状変形はpm以上の浸潤を示す隆起型癌の特徴と考えられた.陥凹型のsm癌では楔状からΩ状変形を,pm2,3ではほとんどが半円状ないしは台形状変形を示し,apple-core signはpm2以深,特にpm3以深を示唆する所見と考えられた.側面像の腫瘍径,高さ,変形像の幅および高さを計測した結果,隆起型では変形高,変形幅,変形幅/側面高が,陥凹型では変形幅と変形高/側面高が深達度診断の有用な指標となると思われた.

  • 文献概要を表示

要旨 大腸pm癌の内視鏡所見の特徴を内視鏡観察されたpm癌56例(男性:24例,女性:32例)を対象として検討した.pm癌の全大腸癌に占める頻度は5.2%であった.部位別頻度では直腸57.1%であり,sm癌(32.8%),ss(a1)癌(35.6%)に比し直腸に多い.pm癌は長径34.4±12.2mmでsm癌18.3±9.2mm,ss(a1)癌51.3±15.1mmと有意の差(ρ<0.01)を認めた.pm癌の肉眼型は隆起型,平皿型,平皿陥凹型,隆起潰瘍型,潰瘍型,分類不能型の6型に分類され,平皿陥凹型が43%と最も多い.pm癌は陥凹・潰瘍を伴うものが86%と多く,sm癌の14%と差がある.腫瘍に対する陥凹・潰瘍の面積比はpm癌21.5%,ss(a1)癌39.7%と有意の差(ρ<0.01)を認めた.

  • 文献概要を表示

要旨 1990年6月から1992年9月までの間に,当院で超音波内視鏡が行われた直腸癌患者136例の壁深達度の正診率は,全体で84%,組織学的深達度別では,m:80%,sm:80%,pm:69%,ss,s,a1,a2:91%,si,ai:78%であり,pm癌の正診率が最も不良であった.リンパ節転移の正診率は,全体で74%,pm癌では65%であった.pm癌の26例で超音波内視鏡,直腸指診,注腸造影,CT,MRIの診断能を比較すると,壁深達度の正診率は,それぞれ69%,58%,40%,48%,50%であり,超音波内視鏡の成績が最も良好であった.リンパ節転移の正診率は,注腸造影を除き,それぞれ65%,73%,83%,86%であったが,sensitivityは,それぞれ43%,0%,33%,50%であり,MRIおよび超音波内視鏡の成績が最も良好であった.

  • 文献概要を表示

要旨 MR画像は,超音波内視鏡と同様にT2強調画像にて正常腸管壁の層構造を描出できる.また,大腸癌のMR画像は,腫瘍の発育様式や腫瘍の病理組織成分により異なるが,固有筋層に浸潤した癌の診断は,T2強調画像で高信号を示す粘膜下層の断裂が重要な所見である.筋層内に浸潤した癌の所見は,筋層の断裂,筋層の肥厚,腫瘍による筋層の置換,T2強調画像における筋層内のやや高信号を示す腫瘤に要約される.固有筋層を越えた癌の診断には,T1強調画像における腸管壁外側縁の不整な突出,ならびにT2強調画像における固有筋層外縦層の断裂が最も信頼できる所見である.MR画像は,超音波内視鏡と同様に治療法の選択に結びついた癌の深達度に役に立つ可能性が示唆された.

  • 文献概要を表示

要旨 最近ではリンパ節転移の術前診断が可能である.そこでリンパ節転移を含めた術前の所見から直腸pm癌の治療方針を検討した.自験直腸pm癌のうちリンパ節転移例の5年生存率は58.7%,肛門癌の5年生存率は75.8%,中分化腺癌の5年生存率は83.5%であり,これらは再発の危険因子と考えられた.一方これらの因子でないもの,すなわちリンパ節転移がなく,高分化腺癌で,RsとRaとRbの直腸pm癌の5年生存率は96.5%であるので,R3でかつ自律神経温存手術の適応としてよい.この場合でも,Rbでは骨盤神経叢は温存して側方リンパ節を郭清する.リンパ節転移例,中分化腺癌,肛門部癌では自律神経を温存せずに側方リンパ節を郭清し,R3の手術を行う.

  • 文献概要を表示

 〔患者〕52歳,女性.現病歴:下痢を主訴に近医を受診し,注腸X線検査にてS状結腸の小透亮像を指摘され,当科に紹介された.内視鏡検査で,S状結腸と下行結腸に平坦型の早期癌が見つかり,精密注腸X線検査で下行結腸部の微小病変をよく描出できたので呈示する.

  • 文献概要を表示

 〔患者〕67歳,女性.25歳ごろから気管支喘息,40歳ごろから肺線維症,肺気腫で治療中であったが,1か月前から食欲不振と腹部膨満感,2週間前から右側腹部鈍痛を自覚するようになった.

用語の使い方・使われ方

  • 文献概要を表示

 潰瘍性大腸炎の活動期にみられる下掘れ状の潰瘍が,注腸造影で側面ニッシェとして描出された場合に広く使用されている用語である.したがって,二重造影像よりも充満像のほうが描出されやすい.側面ニッシェの起始部は狭く,頂部のほうが幅広いという特徴を有する(Fig.1).組織学的には潰瘍の深さはUl-Ⅱであり,粘膜筋板を破った潰瘍性変化が粘膜下層で水平方向に伸展するため下掘れ状となる.

 カラーボタン様潰瘍は潰瘍性大腸炎にpathognomonicな所見ではない.腸型Behget病,Crohn病,感染性大腸炎(結核,サルモネラ腸炎,細菌性赤痢,アメーバ赤痢)など他の炎症性大腸疾患でも,下掘れ傾向の潰瘍が側面像としてX線上描出されればこの用語は使われる.その際,潰瘍の配列は疾患によって若干異なる.すなわち,潰瘍性大腸炎では両側性かつ対称性に分布するのに対し,Crohn病や腸型Behçet病では非対称性の配列を示す(Fig.2).

  • 文献概要を表示

 胃角に限らず,“変形”と称する異常所見は,病変の存在を示す間接所見であるか,ないしは,病変の一部を表すものと定義できます.胃角そのものに病変が存在するときには,その病変の性状によって胃角は変形します.また,病変が胃角の近傍に存在するときには,その病変の線維化と収縮によって影響を受け,胃角は変形を来します.

 胃角の変形が重要視されたのは,二重造影法がその方法論を確立する以前であったことは確かであり,現在,胃角の評価は異常所見をより広角的に描出できる二重造影像に依存する傾向があります.しかし,一方では,胃角は二重造影の盲点であることも覚えておくことが必要です.

Coffee Break

  • 文献概要を表示

 癌腫は“上皮から発生した悪性腫瘍”と定義されていて,現在,広く世界で用いられている共通用語となっている.それは大腸の癌についても同様である.

 ところが,大腸癌は粘膜から発生するにもかかわらず,欧米では,たとえ組織学的に明らかな癌である異型腺管群が粘膜内に存在していても,それを“癌”とはしない.“異型度著明な腺管群の粘膜下組織浸潤をもって癌とする”という癌組織診断基準が一般的に流布しているためである.どうしてそのように定義されているのかというと,粘膜内癌を“癌”と診断すると過度の手術がなされるからという.しかし,それは粘膜切除ですむことであり,癌すなわち拡大手術を意味するものではない.

海外だより

ドイツ留学体験記(3) 木村 理
  • 文献概要を表示

倹約(Sparsamkeit)

 1991年5月中旬,ニューオーリンズで開催されたAGA(アメリカ消化器病学会)での発表を兼ねて,Mössner教授を含むMedizinische Poliklinikのドイツ人医師4人とアメリカを旅行する機会に恵まれた,フランクフルトからマイアミに飛び,NASAのスペースシャトル打ち上げ場,オーランドのWalt Disney Landを見,メキシコ湾で泳いでからニューオーリンズへ向かい,学会が終わった後はKey Westまで足を延ばす,しめて13日間の旅行である.

 この旅行では,ドイツ人のいろいろな生活態度を目の当たりにすることができ,またお互いの信頼感も増し,大変に有意義な体験となった.中でも印象的だったのはドイッ人の倹約的態度である.ドイツ人は倹約ということを非常に重要視するわけで,既にこちらに来てから,何度も見てきたことではあったが,アメリカ旅行では,はっきり言って度肝を抜かれたというのが本当のところである.

  • 文献概要を表示

要旨 患者は25歳,女性.下腹部膨満にて近医を受診,同部に腫瘤を指摘され当院に紹介入院.下腹部に小児頭大の腫瘤を触知し,小腸X線検査で腫瘤部に一致して空腸に約10cmにわたる全周性潰瘍を認めた.腹部超音波・CTでは壁が著明に肥厚し,管腔の拡張した腸管像として認められた.小腸原発悪性リンパ腫と診断し手術を施行,空腸病変部と浸潤のみられたS状結腸および腫大した両側卵巣を切除した.病理組織像ではびまん性に増殖したリンパ芽球様腫瘍細胞の間に食食細胞が散在するstarry sky像を呈し,Burkittリンパ腫と診断した.

  • 文献概要を表示

要旨 患者は39歳,男性.検診で胃ポリープを指摘され精査目的にて人院.X線・内視鏡検査で胃体部を中心に1cm以下の小ポリープの多発が認められ,生検にてカルチノイドとの診断を得た.内分泌学的検査において高ガストリン血症(2,400pg/ml)がみられ,24時間胃内pHモニタリングでは昼夜を問わず持続的なpH上昇が認められたことから,A型胃炎に伴う多発性胃カルチノイドとの診断にて胃全摘術およびリンパ節郭清を行った.組織学的には,胃底腺の著明な萎縮をみる粘膜を背景として,カルチノイド腫瘍および内分泌細胞微小胞巣の増生が認められたことより,高ガストリン血症のtrophic actionによりenterochromaffin-like cellの過形成,腫瘍化が起きた症例であると考えられた.

  • 文献概要を表示

要旨 患者は23歳,女性.39℃台の発熱,1日十数行の下痢,左上腹部痛を主訴として来院.注腸造影にてS状結腸口側~上行結腸のほぼ中央部までhaustraの消失と,びまん性に潰瘍の多発を認めた.検査成績では短期問に進行する貧血,低蛋白血症,電解質異常と高度の炎症所見を認めた.保存的療法に反応せず,腹部単純写真にて横行結腸~下行結腸に一致すると思われる鉛管状のガス像を認めた.その径は短期間に増大し,toxic dilatationを合併した潰瘍性大腸炎(UC)との鑑別に苦慮した.しかし,発症は急激であり,X線・内視鏡上,直腸の所見は軽微であることより,サルモネラ腸炎を含む感染性腸炎を疑い抗生物質を投与した.投与直前の便培養によりSalmonella typhimuriumが検出され,サルモネラ腸炎と確診した.本例は,大腸潰瘍の治癒に3か月以上を要しており,本邦報告中最も重症の症例と考えられた.

--------------------

欧文目次

  • 文献概要を表示

 Distal colonic hyperplastic polyps do not predictproximal adenomas in asymptomatic average risk subjects: Rex DK, et al (Gastroenterology 102: 217-319, 1992)

 年齢が50-75歳で,便潜血陰性で大腸のスクリーニング内視鏡検査を受けた482人の無症状平均的リスク者で,遠位大腸に存在する過形成性ポリープの意義について検討した.

  • 文献概要を表示

 癌の臨床における診断や治療法の有用性は,長い間の努力に基づく診療実績から評価されるべきものである.そのことを考えると,この10年間に肝癌の臨床において達成された数々の業績,またその進歩には目を見張るものがある.しかも,その多くは世界に先がけてわが国の研究者の手によって推し進められてきたものである.

 長年の念願であった肝癌の早期診断も,画像診断や腫瘍マーカーの応用によって今では現実のものとして実践されている.また,それと同時に新しい非手術的治療法が開発され,更には主流とされてきた手術療法にも様々の工夫が凝らされ,治療全体として目覚ましい進歩がみられている.

  • 文献概要を表示

 Colorectal carcinoma associated with ulcerative colitis: A study of prognostic indicators: Heimunn TM, et al (Am J Surg 164: 13-17, 1992)

 長期に持続する潰瘍性大腸炎は大腸癌へ進展しがちであることはよく知られている.そして,潰瘍性大腸炎に発症した大腸癌は通常の大腸癌といくらか異なり,しばしば多中心性で平坦で辺縁が蛇行していて不明瞭であることが多い.組織学的にはしばしば印環細胞や膠質成分を含む低分化腺癌であり,小さいうちに壁に深く浸潤し,リンパ節転移をすることが多く,一般に予後不良である.

  • 文献概要を表示

 Flow-cytometric and histological progression to malignancy in Barrett's esophagus: prospective endoscopic surveillance of a cohort: Redio BJ, et al (Gastroenterology 102: 1212-1219, 1992)

 Barrett食道は,重層扁平上皮に覆われた下部食道がほぼ全周性に,ある幅をもって化生円柱上皮に置き換わった病態で,発生に関しては慢性の胃液逆流がその一因として考えられている.また,Barrett食道円柱上皮に由来する食道腺癌の報告例も数多くみられ,癌の合併を予知することは臨床的に重要である.そこで著者らは,Barrett食道の悪性化へのprogressionの可能性を推し量る指標としてflow-cytometryを用い,生検組織所見と対比しつつ細胞工学的な解析を行った.

  • 文献概要を表示

 放射線医学は現代医学の全領域に必須の学問であり,これを1冊の書にまとめることは極めて困難であるが,1982年に有水・高島両教授の編集でうまくまとめられたのが本書の初版である.学生達もバイブル的に所持し,ポリクリでは,「この本にはこのように記載してあります」と指摘されたりしたものである.

 その第1版の序文では“国家試験に合格して研修医に至るまで手離せない教科書”を基本方針の第1に挙げている.第4版にもこの方針が貫かれており,研修医はもちろん,実地医家や放射線科専門医でも知識のrefreshや整理のためにも役立つよう編纂されている.すなわち,本書の内容が陳腐化することなく放射線医学の最近の進歩に追随するよう,第一線の専門家によって執筆されているが,最新情報を網羅するために執筆者の入れ換えをするなどの思い切った配慮がなされている.

  • 文献概要を表示

 Sulindac causes regression of rectal polyps in familial adenomatous polyposis: Labayle D,et al (Gastroenterology 101: 635-639,1991)

 癌化への進展が避けられない家族性大腸ポリポーシスでは,予防的に結腸切除および空腸直腸吻合術を施行することが正当化されている.しかしそれでも空腸直腸吻合術後の直腸癌の累積発生率は5年後に5%,23年後には59%にまで達する.そのため患者は術後も定期的にポリープをホットバイオプシーするか,スネアーで切除するか,レーザーで焼灼する必要がある.

  • 文献概要を表示

 Benign and malignant colorectal strictures in ulcerative colitis: Gumaste V, et al (Gut 33: 938-941, 1992)

 1959年から1981年の問に入院した1,156人の潰瘍性大腸炎の患者で,59人(5%)に70か所の狭窄を認めた.そのうち17病変(24%)が悪性で,53病変が良性であった.いずれも生検あるいは切除標本で診断された.

「胃と腸」質問箱 新海 眞行 , 馬場 保昌
  • 文献概要を表示

(質問)患者は45歳,男性,主訴は空腹時心窩部痛.ルーチン胃X線検査で胃体中部後壁に透亮像(Fig.1矢印)を認め,病変部をバリウムでよく洗った後,透亮像の中に髭状の伸び出しを呈する不整形の陰影斑を描出(Fig.2),未分化型Ⅱcの所見と考え,胃内視鏡検査(Fig.3)を行いましたが,生検は癌陰性と判定されました.更に1か月後の胃X線検査(Fig.4)でも透亮像の中に不整陰影斑が描出され,インジゴカルミン撒布の色素内視鏡(Fig.5)で病変部より生検を行いましたが再び癌陰性と判定されました.そこで,癌研内科の馬場保昌先生に,次の2点について質問いたします.

編集後記 牛尾 恭輔
  • 文献概要を表示

 最近,X線CTやMRI,EUSといった画像検査法の進歩によって,大腸癌の深達度や進展度の診断が日常的に行われるようになってきた.しかしその中で,固有筋層は最も厚く,筋組織という比較的密な組織であるためか,pm癌の深達度診断は最も難しい.一方,大腸癌の発育・進展を"中間癌"ともいうべきpm癌の視点から見てみようという気運も生じてきた.そこで,まずpm癌の実態を知り,次にこの2つの課題に挑戦しようと企画されたものが本号である.これまでの見解に1歩も2歩も踏み込んだ内容が認められる.

基本情報

05362180.27.11.jpg
胃と腸
27巻11号 (1992年11月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月9日~9月15日
)