Coffee Break
大腸癌の組織診断基準を変えることの必然性
中村 恭一
pp.1314-1315
発行日 1992年11月25日
Published Date 1992/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110067
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癌腫は“上皮から発生した悪性腫瘍”と定義されていて,現在,広く世界で用いられている共通用語となっている.それは大腸の癌についても同様である.
ところが,大腸癌は粘膜から発生するにもかかわらず,欧米では,たとえ組織学的に明らかな癌である異型腺管群が粘膜内に存在していても,それを“癌”とはしない.“異型度著明な腺管群の粘膜下組織浸潤をもって癌とする”という癌組織診断基準が一般的に流布しているためである.どうしてそのように定義されているのかというと,粘膜内癌を“癌”と診断すると過度の手術がなされるからという.しかし,それは粘膜切除ですむことであり,癌すなわち拡大手術を意味するものではない.
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