胃と腸 22巻3号 (1987年3月)

今月の主題 直腸・肛門部病変の新しい診かた

序説

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 「胃と腸」で直腸・肛門部病変が取り上げられるのは今回で2度目になる.前回はちょうど10年前の12巻3号であったから,奇しくもこの10年間の進歩の跡を本特集号でお届けすることになった.決して10年周期を意図したわけではないのであるが,そろそろこの辺で直腸・肛門の特集を組んではという気運が自然に生まれてきたのにはそれだけの意味がある.それはこの特集の内容の質と量を10年前のそれと比較してみれば自ずと明らかになるであろう.

 筆者が指摘するまでもなく,この道の専門家によって常々指摘されているように,直腸・肛門部病変は上部消化管,他の消化器病変に比べて軽んぜられ疎まれてきた.患者のみならず消化器を専門とする医師にさえも,この部位の診療は好まれず,できれば避けて通ろうとされたものである.その傾向は一部の例外はあるにしても,現在でも大して変わっていないと思われる.このため,少々失礼な言い方をすれば,胃腸疾患には精通していても,直腸・肛門疾患はあまり得手ではない消化器専門家が無しとしないのではないかと推察される.しかしながら,本特集の内容を見ればわかるように,直腸・肛門部には実に様々な病変が存在するのである.そればかりでなく,幾つかの,10年前には知られていなかった病変まで見出されている.軽んじていた分野にまだわかっていないことが沢山ある.これらの病変はその存在さえ知っていれば診断は容易であり,ただそれだけで日常診療における有用性は多大なものがある.特徴的な痔瘻の所見から,Crohn病を直ちに疑うことができるのはその好例であろう.

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要旨 直腸下部と肛門管の一部の内視鏡的観察について述べた.他の分節と同様に挿入時,抜去時ともに観察すべきであるが,ファイバースコープや電子内視鏡による通常観察には限界があった.そのために反転観察を追加した.反転手技はほぼ全例に施行しえたが,癌浸潤,浮腫や線維化のために展開が不良な例では不能であり,また肛門括約機能の低下例では不十分となった.通常,後壁を除いて良好な観察が得られた.大部分の疾患で反転観察は有用であったが,Crohn病では意義が少なかった.また,この部のポリープや癌からの生検やポリペクトミーには肛門鏡を活用するほうが簡便であった.色素法は有用となろうが,この部においては更に検討が必要となろう.

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要旨 肛門領域に最も多くみられる病変は言うまでもなく,痔核,痔瘻,裂肛の三者である.そしてその診察法はほとんど確立されている.しかしこれらの疾患と紛らわしい肛門疾患も決して少なくない.そこで肛門診察に際し常に念頭に置くべき幾つかの疾患について記載し“知らないための誤診”を避ける一助としたい.

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要旨 Crohn病に合併した肛門部病変について,東京女子医科大学消化器病センターの症例を中心に検討した.Crohn病に肛門部病変を合併した頻度は,筆者らの施設では55%で肛門部病変中71%が痔瘻であった.肛門部病変を合併した患者の61%(Crohn病全体の34%)がCrohn病診断以前に肛門部病変を認めていた.若年者に痔瘻があるときは,積極的な大腸・小腸の検索,病変部の生検が必要である.また,過去に局所手術を受けた24例中8例(33%)が完治をみなかった.手術による合併症は認めなかった.局所手術に関しては,積極的意見,消極的意見の両方があるが,肛門部病変の自然長期予後は悪くはないので,術後の再発率,便失禁,狭窄などの合併症発生の危険を考え合わせると,手術は慎重に行われるべきである.

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要旨 全身性疾患での直腸・肛門部病変は診断と治療の両面で重要である.診断ではアミロイドーシスの確定には直腸生検が必須である.その際,アミロイドの沈着は血管壁が主体であるため粘膜下層を含めた採取が診断能を高める.アミロイドーシスの内視鏡所見は発赤・びらんなどの所見を呈するとの報告もあるが,教室例では10例中9例に異常がなかった.白血病や骨髄腫などでは免疫能の低下や制癌剤による骨髄抑制のため感染の危険や凝固系の異常による出血などがみられるが,特に肛門周囲膿瘍からの敗血症は致命的なことが多く予防が重要である.直腸の悪性リンパ腫や結核性の直腸・肛門病変では頻度の少なさから診断・治療の遅れを来す恐れがあり,注意深い観察が不可欠である.

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要旨 肛門癌を大腸癌取扱い規約が定義する肛門管癌とすると,われわれの施設で1960~1979年の20年間に42例が切除された.これは同期間に切除された全直腸肛門管癌の6.6%(42/639)に相当した.肛門の解剖は複雑であり,これを反映して肛門管癌の組織像は多種多彩である.そのうちで最も頻度の高いものは直腸型腺癌(22例52%)であり,次いで扁平上皮癌(類基底細胞癌も含む)(9例21%),痔瘻に伴う腺癌(7例17%)であり,その他の癌は極めてまれであった.直腸型腺癌は直腸(Rb)癌の一型とも考えられるが鼠径リンパ節転移率が高いことなどから直腸(Rb)癌から独立させる意味があると考えられた.類基底細胞癌は角化傾向を示すことが多く,今回は扁平上皮癌の一型として扱った.扁平上皮癌を角化傾向の程度で,高,中,低分化型に分けると,予後(術後5年生存率)は高分化型が最も不良であった.痔瘻に伴う腺癌はほとんどが粘液癌であり,その予後は他の型の癌に比し良好であった.Cullingらの粘液染色を用いたところ,7例中5例は癌細胞の粘液が直腸型であり,他の2例は直腸型か肛門腺型か判別できなかった.そのほか悪性黒色腫も含め肛門に発生する種々の癌について,その組織診断および組織発生の問題について考察した.

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要旨 肛門は平滑筋と横紋筋の両括約筋により構成されており,したがってその神経支配も自律神経と体制神経により司られている。肛門機能不全症は,それぞれの括約筋,支配神経の障害および相互の協調作用の欠如により発生する.したがって,肛門機能不全症を診断するに当たって,これらの解剖関係を考えながら,患者の主訴,肛門の理学的所見より,いずれの括約筋,または神経の障害によるものか判断し,肛門内圧検査,筋電図学的検査などの生理学的検査や,更に括約筋そのものの病理学的変化を知るため,病理組織化学的手法を加えて詳細に病態を把握し,後の的確な治療法を決定できるように診断せねばならない.

主題 肛門部病変のトピックス

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要旨 急性出血性直腸潰瘍13例について,臨床像と内視鏡の特徴について述べた.急性出血性直腸潰瘍は重症基礎疾患を有する高齢者に,突然無痛性の新鮮下血で発症する急性の直腸潰瘍である.基礎疾患としては脳血管障害8例(脱水症,肺炎合併各1例)大腿骨頸部骨折に肺炎合併2例,心不全に肺炎合併1例,血液疾患に肺炎合併1例,糖尿病性ケトアシドーシス1例の13例で脳血管障害に合併することが多く,基礎疾患に肺炎を合併した重症例が4例あった.原因は脳血管障害および重症基礎疾患に起因するストレス潰瘍説が有力と考えられた.内視鏡所見の特徴は歯状線直上の下部直腸に限局する浅い不整形,地図状ないし帯状の横軸に長い潰瘍で管腔の1/3周ないし全周に達する点にある.治療は全身状態と関係するが,止血さえ得られると潰瘍の経過は良好である,最近,血管露出例の2例に対し,アルコール止血を行ったが著効を示した.

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要旨 直腸の粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome; MPS)35症例を用いて,その組織像の経時的変化,肉眼型分類および各肉眼型の特徴と移行について検討した.MPS組織像の特徴は,初期に血管の変化(血管期)として現れ,次いで特有とされる線維筋症(線維筋症期)として表現された.病巣の肉眼型は平坦型(8病巣),隆起型(18),潰瘍型(7),深在囊胞性大腸炎型(CCP)(3)に分類された.隆起型は直腸末梢部に70%以上と好発し,潰瘍型はすべてそれより上部の直腸に発生した,顕微鏡的CCP型は潰瘍型に43%,隆起型に11%みられ,肉眼的CCP3例は前駆潰瘍を伴っていなかった.平坦型MPSは直腸末梢部のものと,それより上方のものとで病態に差がみられた.MPSは直腸内での発生部位によって,その形態や推移を異にし,隆起型と潰瘍型では病態が全く異なることを明らかにした.

肛門部皮膚病変 大原 国章
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要旨 外科臨床で遭遇することのある皮膚病変として腫瘍性疾患のうちでPaget病とBowen病を,ウイルス性疾患のうちでBowenoid papulosisと尖圭コンジローマを取り上げた.Paget病は紅斑,びらん面を呈し,病巣の範囲は予想以上に広く,広範囲切除が必要であるが肛門機能保全とのジレンマがつきまとう.Bowen病の場合はこれに比べるとより小範囲の切除で間に合う.近年注目されるようになったBowenoid papulosisの病理組織はBowen病と同様であるが,その本態はヒト乳頭腫ウイルス(HPV l6)による感染症と考えられており,保存的治療でよいことを述べた.もう1つのウイルス感染症(HPV 6,11)である尖圭コンジローマは直腸内にも病変の及ぶことがあり注意を要する.

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要旨 患者は15歳男性.主訴は血便,残便感である.直腸鏡および大腸内視鏡検査では肛門管直上の下部直腸に全周性のポリープ様隆起性病変を認めた.生検にて非腫瘍性腺管の増生と,粘膜固有層に平滑筋線維を認めた.直腸の孤立性潰瘍症候群の診断にて,経肛門的に病変部を切除した.切除標本の検索にて,非腫瘍性腺管の絨毛状の増生,びらん,fibromuscular obliterationなどが認められ,直腸孤立性潰瘍症候群と診断した.ポリープ状の隆起性病変を呈する本症の場合には,内視鏡所見では腺腫や癌との鑑別が問題となり,的確な診断を下すには,生検組織における上記の所見が重要なポイントとなる.

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要旨 62歳の女性で前脊髄動脈症候群の治療中に大量の下血を繰り返したために,RI‐アンギオグラフィーおよび下腸間膜動脈造影を施行して出血部位を確認しえた出血性直腸潰瘍の1例を経験した.保存的治療で一応止血されたが,出血を繰り返す可能性があることと,大便失禁があることから直腸切断術ならびに永久的人工肛門造設術を施行した.切除標本では歯状線に接して全周性に帯状のUl-Ⅲの潰瘍がみられ,更に約4cm口側の右側前壁に粘膜集中像を伴う1.8×0.5cm大のUl-Ⅱの潰瘍がみられた.組織学的には前者の潰瘍底縁の一部に再生粘膜上皮がみられ,後者では単純性潰瘍の像がみられた.

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要旨 約1年来,排便ごとに便に鮮血が付着することを主訴とした75歳女性(農業)に,直腸およびS状結腸下部に多発する小型丘状,一部に中央陥凹を有する2~8mm程度の白色~黄色浮腫状・易出血性の結節隆起病変を認めた.病理診断にて,非特異型の慢性炎症で,消化管にはまれなmalakoplakiaとされた.また大腸(上行・横行・下行・S状結腸・直腸)に散在した有茎性・亜有茎性の6個のtubular adenomaとS状結腸に1個のjuvenile polypを認め,内視鏡的ポリープ切除を施行した.臨床経過上,比較的良好な経過を示し,結節隆起は漸次減少し,1年半後には消失し症状も改善した.3年8か月の今日まで再発をみず,2年11か月間にsalazopyrin1.5g/日を投与した.

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要旨 肛門梅毒の2症例を報告した.第1例は梅毒第2期に発生する丘疹すなわち扁平コンジローマで,第2例は肛門性交の結果発生した初期硬結で,梅毒性裂肛とも称すべきものである.特に第2例は近年増加している同性愛者であって,その病像は極めて特異である.非梅毒性の裂肛と鑑別を要するため局所所見を詳述した.また,原因菌であるTreponema Pallidumの検出についてはParker ink法が優秀であることを述べ,その注意を記した.肛門梅毒は日常診療の中で散見される疾患であり,将来増加すると思われるので慎重な観察が必要である.

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要旨 肛門鏡の写真撮影装置を考案した.光学視管,カメラは関節鏡に用いられたものをそのまま利用した.撮影装置はワンタッチで肛門鏡に接続可能で,片手操作で簡単に鮮鋭な写真撮影が可能であった.しかし,撮影された写真が小さいなどの欠点があった.今後,光学視管の径を大きくするなどの改良を加えれば,より一層良好な写真撮影ができよう。また,肛門病変の写真は多人数による病変の客観的検討やfollow-up studyに有用で,直腸肛門病学の進歩に貢献すると思われる.

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 colitis cystica profundaは若年者に多く,血便を主訴として発見される大腸の比較的まれな良性疾患である.その多くは直腸前壁に発生する.鑑別診断としては悪性疾患,特にmucinous adenocarcinomaとの鑑別が大切である.筆者らは最近大腸癌と鑑別を要した1例を経験したので報告する.

早期胃癌研究会

1987年2月の例会から 丸山 雅一
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 1987年2月度の早期胃癌研究会は2月18日(司会担当 白壁彦夫)に開催された.今回より本研究会における症例検討の要約を記すことになった.この目的は,雑誌「胃と腸」への掲載の有無にかかわらず,出題された症例の検討内容を記録することにより,研究会参加者全員に研究会の内容を再度記憶にとどめてもらうことにある.そして「胃と腸」に採用にならなかった症例については,少なくとも研究会で討論された事実を記載することによって症例提供者へ敬意を表すると共に,捲土重来を期す決意を新たにしてもらえるであろう.

 今回の内容の大部分は筆者の簡単なメモと記憶に頼って書いたので誤りはあるかもしれないが,ご了承願いたい.

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要旨 症例は22歳女性,約1か月間の血性下痢,下腹部痛を主訴に来院,潰瘍性大腸炎が疑われた.薬剤治療で緩解に至ったが,3か月後再燃.ステロイド療法にもかかわらず,横行結腸に瘻孔を形成し,大腸Crohn病が疑われ,結腸亜全摘術が施行された.S状結腸から横行結腸には浅い潰瘍,炎症性ポリープ,大豆大までの半球状隆起が存在した.組織学的にはマラコプラキア細胞の集蔟巣が主に炎症性ポリープ,半球状隆起の粘膜固有層,粘膜下層に存在した.潰瘍底にもマラコプラキア細胞が散在性に存在した.

病理学講座 消化器疾患の切除標本―取り扱い方から組織診断まで(3)

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 Ⅰ.固定液に入れるまでの間に,切除標本に生じる人工産物あるいは損傷について

 切除した臓器を固定液に入れるまでに,その臓器の一部分あるいは全体に,人工的変化を生じさせぬように注意しなければならない.臓器が切除されてから固定までの間に,どのような人々の手を経て,どのように取り扱われるかは施設により異なり,その間に自己消化,乾燥,暴力による損傷が起こる可能性が秘められている.切除胃の詳細な組織学的検索を行った,かの有名なKonjetznyは,lebenswarmの状態,すなわち体温がまだ保存されている状態で固定夜に入れ,完壁な組織学的標本を作製していた.固定までの手続きの1例を挙げると,虎の門病院や駒込病院では,切除あるいは剔出された臓器は直ちに病理検査室に送られ,消化管の場合は病理医師によって切り開かれ,その病変は直接術者に示されるか,インターフォンによって術者に伝えられ,必要に応じて断端浸潤の有無を知るために,その部位の凍結切片が迅速に作製されている.このようなシステムを保持するためには,敦練した病理医師と良い施設が必要である.また聞くところによると,かつて千葉大学の診断グループの医師が行ったごとく,重要な症例の場合には内科の診断を行った医師が手術室まて出掛けて行き,切除された胃を切り開いて術者に示した後,写真撮影を行って固定するというやり方もあり,病変の性状や拡がりについて,あらかじめ執知している医師がこれを行うことは一理ある.しかし,すべての症例をこのやり方で処理するというシステムを確立することは難しい.

 以下,固定までの間に介在してくるいろいろの手続きとその際に人工産物の生ずるおそれについて述べる.

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 まず,注腸の良いX線写真が撮れるかどうかは,前処置の良否にかかっていると言ってもよい.それとX線装置の性能も必要条件である.

 ルーチンの検査法について,筆者らは研修医に対して,2段階に分けて教育している.第1段階は,全大腸を盲点なく二重造影像として撮影すること,第2段階は,検査中に透視を活用して,造影剤の流れを前壁側と後壁側に分けて観察して,微細な病変を探したり,存在診断だけでなく質的な診断までできるような写真を撮ることである.ここでは,主として第1段階について述べる.

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欧文目次

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 平松先生御兄弟は,京一先生は私の東大時代に,また慶博先生は筑波大学時代に御一緒に仕事をさせていただいたという関係で,御両人ともよく存じあげている仲である.

 この御兄弟が力を合わせて一書を成されたということは誠に御同慶にたえない.

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 Healing and relapse of reflux esophagitis during treatment with ranitidine: Koelz HR, Birchler R, et al (Gastroenterology 91: 1189-1205, 1986)

 逆流性食道炎は,公認された定義がないこと,治癒再発の影響因子が多いにもかかわらず,いずれの研究も対象症例が少ないこと,慢性再発性にもかかわらず長期経過観察がされていないことにより,現在でも,その経過,特にH2受容体拮抗剤の長期投与による再発防止効果については不明である.

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 本書は,小児の日常診療を行ううえでこの上なく重要と思われる主要症候または疾患,111項目を取り上げ,その各々について診断,検査,治療および管理を行う場合,いかに筋道を立てて組織的に体系的に考えを進めて行ったらよいかを,本書の最大の特徴であるいわゆるデシジョン・ツリー(decision making,意思決定のための枝分かれ図とでも言おうか)を用いて明確に示したものである.

したがって,これから小児科を専攻しようとする若き医学徒および小児科医以外の医師は,本書を通じて小児の診療を行ううえでの正統的かつ合理的な思考過程を習得できるし,一方また小児科専門医は,本書を通読することにより,既存の知識を整理し,それらを一層有機的に有効に活用することが可能となるものと思われる.小児の診療に携わるすべての医師に本書を推薦する所以である.

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Recent results of multimodal therapy of gastric lymphoma: Shiu MH, Nisce LZ, et al (Cancer 58: 1389-1399, 1986)

 原発性胃リンパ腫の取り扱いは1970年以降,(1)内視鏡診断,(2)拡大胃切除の回避と術後早期の補助療法,(3)高線量広範囲の放射線照射,(4)多剤併用化学療法の導入,により大きく変貌し治療成績も向上してきた.著者らは1971~1982年の原発性胃リンパ腫46例について,診断治療の進歩による成果を検討した.病期分類(Ann Arbor)はⅠ-E20例,Ⅱ-E9例,Ⅳ17例で,深達度はm~sm8例,pm11例,s以上19例,不明8例であった.

編集後記 渡辺 英伸
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 本号は“直腸・肛門部病変の新しい診かた”として企画された.“新しい診かた”がどの論文にどれだけ盛り込まれているかは読者の判断に任せたい.

 直腸・肛門部病変の知識は消化器医に欠くべからざるものとなっていることは確かである.身近な疾患であり,全身疾患の一指標ともなりうる疾患であるにもかかわらず,場所的制約のため一般に関心が十分払われていなかったことは事実であろう.このため“見ざるため”の“知らざるため”の誤診が多くあった可能性はある.直腸・肛門部病変の既知の世界的知識・常識を知ることは確かに大切である.このことが新しいもの,新しいことを見出す糸口になるからである.

基本情報

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胃と腸
22巻3号 (1987年3月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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