耳鼻咽喉科 56巻8号 (1984年8月)

目でみる耳鼻咽喉科

  • 文献概要を表示

 慢性鼓膜炎の診断は視診が第一である。軽症例では,鼓膜表面についた薄い痂皮(図1-A,2-A)を見落さず,これをとりて酸をつけるとびらんがはっきりする(図1-B,2-B)。鼓膜から外耳道にかけてある線状の痂皮(図3)の先端部には,必ずびらんがある。急性増悪例では外耳道に膿性耳漏があって中耳炎に似るが,多くは鼓膜穿孔がはっきりせず,びらんや肉芽が入られ,鼓膜はよく動く。鼓膜穿孔があっても,鼓膜表面のしめった感じをみたら,酸をつけると鼓膜炎が乱確かめられる(図4)。ときにひだの形成など鼓膜の変形がみられることがある(図5-A,B)。滲出性中耳炎で鼓膜切開のあと発症するこもあるので注意する(図6)。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 ペインクリニックで扱う疾患の中には,本来他科が扱う疾患も多く含まれている。突発性難聴もそうした疾患の一つで,従来より星状神経節ブロックが有効と考えられており,その意味ではペインクリニックの対象と考えられる疾患である。

 突発性難聴は,急激に発症する原因不明の感音性難聴で,vascular説,viral説等の種々の成因が考えられているが,最終病態としては内耳の循環障害に基づくhypoxiaと,それに結果する代謝障害との観点が有力である。現在行われている治療もこうした内耳の循環改善に重点が置かれ,血管拡張剤,循環促進剤,ビタミン剤等の薬物療法と高圧酸素療法等が主となっている。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 近年,頭頸部外科の専門医として耳鼻咽喉科医が認められるにつれ,当科で治療される甲状腺疾患の患者数も増加しつつある。我々の教室では,過去に1978年までの加療例141例の甲状腺疾患について臨床統計的観察を行っているが,その後の4年間の症例を加えた226名全例について,今回追跡調査を行い,臨床統計的に検討を加えたので,ここに報告する。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 最近,鼻科領域疾患において,慢性副鼻腔炎の罹患率の低下および,鼻アレルギーの増加が,話題になっている1)。そして,鼻アレルギーの治療上,アレルゲンの検索が,極めて重要な意味をもっている。その手段として,皮膚反応,特異的IgE検出のRASTなどが行われているが,鼻誘発反応は,アレルゲンの検索に,最も有効な検査であると思われる。現在,その方法および診断基準として,奥田によるもの2)が用いられているが,時として,客観性に欠ける傾向がある。

 今回我々は,鼻誘発反応時に,各症状の出現の観察と同時に,鼻腔抵抗を測定し,鼻腔抵抗が,より客観的診断の手段になりうるかについて検討し,興味ある傾向を認めたので,若干の文献的考察を含め報告する。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 1919年にLermoyez5)が初めて報告したレルモワイエ症候群の報告例は少なく,その病態に関しては,ほとんど明らかにされていない。今回,突発性難聴の疑いで入院させたところ,当科入院中にレルモワイエ症候群の初回めまい発作をおこした症例を経験した。従来から問題になっているめまい発作前後の症状の発現順序と,これを裏づける聴力検査および平衡機能検査所見の推移に関して,また種々の治療を試みた結果としての効果面からみたレルモワイエ症候群の発現機序や病態に関して,若干の考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

I.緒言

 頸静脈孔は側頭骨の頸静脈窩と後頭骨との間に形成される裂隙である。頭蓋内から外へと,同孔をIX,X,XIの各脳神経と内頸静脈が通過し,また下錐体静脈洞がみられる。同孔に隣接して,後内方には舌下神経管が開口し,前外方には頸動脈管がみられる。これら解剖学的関係で,頸静脈孔部の原発性病変,転移腫瘍,あるいは進展腫瘍により種々な臨床症状がもたらされる。それは病変の性質と範囲によって異なり,単一ないし多発性脳神経障害,および循環障害などである。味覚,嚥下,および発音障害など耳鼻咽喉科領域と密接な関係を有する諸症状を呈することもあって,その障害の特定は治療方針を決定する上で欠かせないものである。

 この場合,診断には脳神経学的検査の一環としてX線,血管造影,核医学検査などが行われているが,最近ではCTが汎用されるようになり,その有用性が指摘されている。しかし,頸静脈孔とその周辺構造は複雑で,常に良好なCT画像が得られるとは限らない。そこで,この点を中心に,頸静脈孔とその隣接部位のX線診断について検討したので報告する。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 アミロイドと呼ばれる線維性蛋白が組織間隙に沈着する疾患であるアミロイドーシスは,組織学的にある種の変性疾患と考えられているが,その発症病理は不明であり,従って診断や治療の面でも問題となる点が多く,厚生省特定疾患の一つとなっている。

 喉頭アミロイドーシスは,いわゆる喉頭良性腫瘍の1%にも満たない稀な疾患であり,治療としては切除手術がよく行われている。

  • 文献概要を表示

I.緒言

 聴神経腫瘍の初期のものが,「神経性難聴」あるいは「高血圧による耳鳴」などと診断され見逃されることが少なくなく,脳幹や小脳症状が出現して初めて本腫瘍であることが確認される場合が稀ではないことが指摘されている1)

 我々も,8年間にわたり,「耳鳴症」,「耳管狭窄症」として加療してきた症例が,結果的には聴神経腫瘍であったという大いに反省すべき経験をした。そこで,本腫瘍の早期診断を行う上での一資料ともなれば幸いと考え,経時的に行ったその症例の聴力検査成績の推移を中心に供覧し,我々の反省としたい。

  • 文献概要を表示

I.緒言

 他覚的耳鳴の原因としては血流の変化,筋肉性,血管性,顎関節によるものなどが挙げられるが,今回我々は,頸動脈の線維筋性形成異常症が原因と考えられる他覚的耳鳴症例を経験したので若干の考察を加え,報告する。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 deep neck infectionは抗生剤の出現以前は重篤な疾患で,症例数も数多くみられたが,抗生剤および他の化学療法剤の開発進歩によりその頻度は激減した。しかしながら,最近,再び耐性菌および嫌気性菌による症例あるいは糖尿病に合併した症例の報告がなされ,増加する傾向にある。

 我々は当科開設の昭和51年以来6例のdeepneck infectionを経験した。これら症例を通じて,今日におけるdeep neck infectionの問題点について考察を行った。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 近年のスギ花粉症患者の増加は全国的な傾向のようで,東海大学のある神奈川県でも顕著である。しかもその急激な増加はここ10年以内のもので,わが国の耳鼻咽喉科疾患の歴史においても特異なものと思われる。

 今のところスギ花粉症患者の年度別の実態については,まとまった報告がみられない。本研究の目的は,1979年と1982年のスギ花粉症患者の多かった年に調査を行い,患者増加の実態ならびに罹患率を明らかにすることにあり,その原因を文献的に考察した。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 リンパ節の正常構造の破壊と,類上皮細胞の集塊状増殖を特徴とする,いわゆる"Lennert's lymphoma"は比較的稀で,本邦では現在までに十数例の報告をみるにすぎない。Lennert's lymphomaではその定義をめぐって,独立疾患とみなすか,あるいは種々のリンパ増殖性疾患の亜型とみなすかで論議があり,未だ統一的見解のないのが現状である。

 筆者らは,頸部リンパ節に原発したいわゆる"Lennert's lymphoma"の1例に遭遇し,詳細な病理組織学的検索から,自験例はnon-Hodgkinリンパ腫に分類されるべきものと考えられた。

  • 文献概要を表示

 東海大学では,ドイツ民主共和国(東ドイツ,以下DDR)の首都ベルリンにあるフンボルト大学と交流協定を結んで,留学生や研究者の交換を行っている。モスクワ訪問のあと,一行3名がベルリンのシェーネフェルト空港で大学関係者の出迎えを受けたのは,1982年12月13日の午後であった。

基本情報

03869679.56.8.jpg
耳鼻咽喉科
56巻8号 (1984年8月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0386-9679 医学書院

文献閲覧数ランキング(
8月3日~8月9日
)