検査と技術 45巻7号 (2017年7月)

病気のはなし

尿路結石 白川 浩希
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Point

●尿路結石はわが国では戦後,食生活の欧米化に伴い増加傾向にある泌尿器科疾患である.

●10mm以下の小さな結石は自然排石の可能性が高いが,自然排石しない結石に対しては治療が必要となる.

●最近,メタボリックシンドロームと尿路結石の関連が指摘されており,バランスの取れた食生活と十分な水分摂取が再発予防に有効とされている.

技術講座 生理

シリーズ ペースメーカ心電図の見方・1

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Point

●心臓植え込み型電気的デバイス〔ペースメーカ,植え込み型除細動器(ICD),心臓再同期療法(CRT)〕でみられる心電図をペースメーカ心電図という.

●徐脈治療に使用するペースメーカの仕組みと設定モードの3文字の意味を理解しよう.知っておきたいペースメーカの設定モードはAAI,VVI,DDDの3つ.

●ペースメーカの設定条件で大切なのは“設定レート(どのくらいの頻度で電気刺激するのか):心拍数”.

●ペースメーカが必要となる患者さんによくある症状はめまい,失神,労作時の息切れ.その原因となる不整脈をおさえよう.

技術講座 管理・その他

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Point

●遺伝学的検査情報の取り扱いに関する法令,指針,ガイドラインには省,学会,団体などが策定・作成したものがあり,遵守しなければならない.

●個人情報保護のため,遺伝情報にアクセスする医療者に十分な教育・研修を行うこと,遺伝情報のアクセス権限を設けることが重要である.

●医療施設,研究施設,衛生検査所によって遺伝学的検査情報の取り扱いについての留意点は異なる部分があり,関係している指針,ガイドラインに記載されている.

技術講座 微生物

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Point

●ボツリヌス症には食餌性ボツリヌス症,創傷ボツリヌス症,乳児ボツリヌス症,成人腸管定着ボツリヌス症があり,それぞれの診断に適した検体採取が必要である.

●C. botulinumの分離には嫌気培養が必要で,卵黄を含む培地を用いてリパーゼ反応を指標にして釣菌するとよい.便検体ではエタノール処理も有効である.

●最終的な菌種確定と診断には毒素産生の証明と毒素型の決定が必要であるが,自施設では困難な場合が多い.

●二種病原体であるため取り扱いに注意を要する.分離同定時,所持,運搬に際して届け出が必須である.

技術講座 病理

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Point

●常染色体劣性遺伝性疾患のウイルソン(Wilson)病や,原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis)など胆汁排泄障害を引き起こす種々の肝胆道系疾患においては,銅が肝組織内に沈着することが知られている.

●組織内の銅証明法にはいくつかの方法があり,銅を証明するロダニン法やルベアン酸法などの他,銅結合性蛋白を証明するオルセイン染色法やビクトリア(Victoria)青染色法などがある.

●アルミニウムは飲食物などとともにごく微量摂取されるが,正常であれば消化管からは便とともに,腎臓からは尿として排出される.しかし,腎不全などの場合体内に取り込まれたアルミニウムが腎機能の低下により尿として体外に排泄できないため,体内へ蓄積する.

●組織内アルミニウム証明法としてアルミノン法などがある.

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はじめに

 Escherichia albertiiは,腸内細菌科に属するグラム陰性,通性嫌気性の非運動性桿菌で,当初,Hafnia alveiとして分離・同定されていた菌である.しかし,Huysら1)は分離されていた菌株がH. alveiとは異なる菌種であることを明らかにし,2003年にEscherichia属の新種として正式に命名された.なお,albertiiの名称は最初にこの菌をバングラデシュで報告した微生物学者John Albertに由来している.

 自然界におけるE. albertiiの分布は不明な点が多いが,これまでヒト以外にトリ,ブタ,ネコなどからも分離されており,特にトリでは病原性を示すことが報告されている.また,近年ではE. albertiiによる集団食中毒がたびたび発生しており,食品だけでなく水が原因と考えられる比較的大規模な事例も報告されていることから2),注意すべき菌種の一つとなっている.

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はじめに

 2017年2月,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の補助診断法として,尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin:NGAL)検査に診療報酬点数が付与され,いよいよ保険診療内での測定が可能となった.先だつ2015年6月に,尿中NGALの測定法は厚生労働省による製造販売承認を得ていた.尿中NGALは重症AKIの早期診断法として注目されている.

 2004年にAKIのRIFLE分類(risk,injury,failure,loss,end-stage kidney disease)が論文化されて以降,“急性腎不全”の早期診断の重要性が認識されるようになった.血清クレアチニンの軽度上昇あるいは乏尿の持続をAKIとして診断するようになったのである.同じころにNGAL,L型脂肪酸結合蛋白(liver-type fatty acid binding protein:L-FABP),KIM-1(kidney injury molecule-1)などの腎障害の新規尿中バイオマーカーが見つかったことから,これらの臨床での有用性も検討されはじめた.“急性腎不全”の早期診断を目的としてAKIの概念が登場したのだが,尿中NGALによりさらにAKIの早期診断が可能であることがわかってきた.

過去問deセルフチェック!

心電図検査
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 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説
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 心電図波形を見ると,Ⅱ,Ⅲ,aVFなどの誘導に,①のこぎり刃のような波形がみられ,②R-R間隔が規則的であることがわかる(図).このような心電図は心房粗動と呼ばれている.

 心房粗動ではP波が消失し,粗動波(F波)と呼ばれるのこぎり刃状の波形が毎分220〜340でみられる.これは,正常では洞結節から毎分60〜100のペースで刺激が出ているのに対し,心房粗動では右心房内を電気的興奮が規則正しく旋回する(マクロリエントリー)ことによって粗動波が発生するからである.心房興奮に対して一定の割合で心室が応答すると心拍は規則正しくなるが,心室応答が変化する場合は心房細動のように不規則となる.

疾患と検査値の推移

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Point

●多発性骨髄腫の診断には,血液・尿検査以外に画像診断が必須である.

●予後予測には主に国際病期分類(ISS)が用いられ,血清アルブミンおよびβ2ミクログロブリン測定が必要である.

●改訂版ISSでは,高リスク染色体異常と血清LDHの測定が加わっている.

●治療効果判定には,M蛋白量のみならず,骨髄検査および画像診断が必須である.

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 編集室:本日は,どうぞよろしくお願いいたします.私は先ほど,初めてこちらのお料理をいただきましたが,本当においしかったです.まず,山藤先生,この店,コート・ドールや斉須シェフとのつながりについて教えてください.

 山藤:はい,まずはシェフ,本当においしい料理をご馳走様でした.今日は張り切って蝶ネクタイできています(笑).いまここでシェフと対談しているのは実は不思議な縁でして,以前,医学書院の別の雑誌で臨床検査技師教育に関しての執筆依頼があったんですね.その際に,編集担当の方が私の書いた文章を読んで,「斉須シェフの本『調理場という戦場』を読んだときのことを思い出しました」と言われたんです.大変失礼ながら私はこの店も斉須シェフも存じ上げていなくて,早速買ってその日のうちに一気に読み上げたのですが,ここ数年読んだ本の中で一番共感し,感動しました.その日のうちにお店の予約をし,次の日にここに来たんです.そしてお食事をいただき,あまりのおいしさに驚き,書籍にサインもいただきました.その後,大好きな店として通っています.書籍はそもそもベストセラーで著名な本なのですが,うちの法人の職員たちにも読ませ,その感想をシェフに返したりもしています.今回たまたま医学書院でまた違う連載をしているところで,編集室のほうから,「サービス業の方の話も参考になるので,ぜひやりましょう」と提案いただき,今回こういうインタビューができるというのは,すごく縁と幸せを感じています.本日は,ざっくばらんなところで,ぜひお願いします.

連載 生理検査のアーチファクト・6

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心電図のアーチファクトとは

 心電図のアーチファクトは①筋電図,②基線の動揺,③交流障害の大きく3つに分けられる(表1).アーチファクトは“人工産物”であり,①と②の多くは患者側に発生要因があり,③に関しては検査者側に主な発生要因が存在する.近年は,機器の進歩により以前に比べてアーチファクトの出現(特に交流障害)が減ってはいるものの,原因を把握しておくことで早急な対応が可能になる.アーチファクトが出現すると,必要な情報が見えなくなる,間違った情報になるという2点に注意しなくてはならない.最悪の場合は医療事故につながる可能性があるので,危険なことだと認識してほしい.

 今回から5回にわたり,心電図検査のアーチファクトについて紹介する.第1回目は,心電図に関係する検査種別のなかでアーチファクトが発生する頻度が最も高い,運動負荷心電図を提示する.今回の症例も含め,アーチファクトについていろいろ考えていただければと思う.

臨床検査のピットフォール

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はじめに

 組織標本を作製する過程において,組織検体に骨,歯,石灰化病変のような硬組織が含まれている場合,そのままでは切り出しやミクロトームでの薄切は非常に困難である.そこで,酸などにより組織内の炭酸カルシウムをカルシウム塩に分解し,あらかじめ切り出しや薄切が可能な硬さまで変化させておく必要がある.このように石灰化組織から石灰を除去する操作を脱灰といい,脱灰操作に求められる条件としては,組織検体の膨化・収縮・溶解などの変性が起こらず,染色性に影響がないことが挙げられる.

 現在,病理検査室で行われている脱灰法には,無機酸である塩酸や硝酸,有機酸であるギ酸などを単独で用いる方法と,プランク・リュクロ(Plank-Rychlo)液のように有機酸と無機酸を混合したものを用いる方法の他に,EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)やクエン酸などのキレート剤を用いる方法があるが,脱灰操作を用いた場合の欠点として,HE(hematoxylin-eosin)染色でのヘマトキシリンの染色性の低下や,免疫組織化学染色での抗原性失活による発色感度の減弱などが報告されている1,2).しかし,脱灰操作による核酸品質への影響に関する報告3〜5)は少ないことから,薄切時に利用される表面脱灰法を用い,これらが核酸品質に与える影響について考えてみたい.

ワンポイントアドバイス

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はじめに

 miRNA(micro ribonucleic acid)は細胞の分化や病気の進展にかかわる遺伝子および蛋白質発現を制御する重要な役割を果たしていることが明らかとなり,特異的なmiRNAが診断マーカーや分子標的治療および予後の指標と考えられはじめている1)

 miRNAの発現はmicroarray解析や定量RT-PCR(reverse transcription polymerase chain reaction)法を用いて調べられることが多いが,これらの手法には,組織形態との関連や発現局在は反映されていない.筆者らはmiRNA発現の局在や組織形態との関連について検討するため,Exiqon社のLNA(locked nucleic acid)プローブを用いて,ISH(in situ hybridization)法によりmiRNAを検出している2)

臨床医からの質問に答える

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はじめに

 赤血球沈降速度(erythrocyte sedimentation rate:ESR)(以下,赤沈)は,炎症性疾患のスクリーニング検査としてはすでにその意義を終えている1)が,慢性炎症性疾患の重篤度判定や治療効果評価には現在でも有用な検査である2).特に膠原病などのリウマチ性疾患では病態の評価,活動性の指標として臨床的意義は大きい.

 赤沈検査は手技こそ単純であるものの,そのメカニズムは複雑であり,さまざまな要因によって測定値が大きく変動する.特に検体保存の影響は大きいため,注意が必要である.

 本稿では検体の保存による変化とその原因について解説する.

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Q ニューモシスチス肺炎が疑われる気管支洗浄液検体の処理方法と診断について教えてください.

A ニューモシスチス肺炎とは,真菌の一種であるPneumocystis jirovecii(ニューモシスチス・イロベチイ)を病原微生物とする肺炎のことをいいます.HIV(human immunodeficiency virus)症例による日和見感染症が有名ですが,非HIV症例(悪性腫瘍の化学療法施行患者,リウマチなどで免疫抑制剤やステロイド投与中の患者など)における日和見感染症としても重要視されています.なお,以前は原虫と考えられるPneumocystis carinii(ニューモシスチス・カリニ)が原因とされ,カリニ肺炎と呼ばれていました.

ラボクイズ

一般検査 井上 佳

6月号の解答と解説 静野 健一

INFORMATION

第39回第2種ME技術実力検定試験

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『臨床検査』7月号のお知らせ

あとがき・次号予告 大楠 清文
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 7月号をお届けします.月日がたつのは早いもので,本号がお手元に届く頃はすでに今年も半年が過ぎようとしています.皆さまは今年の前半をどのように過ごされたでしょうか? 前回の「あとがき」担当は昨年11月号で「今年話題となった感染症トップ5」を取り上げました.今回も時期的にちょうど今年の折り返し地点にさしかかりますので,再び「感染症ネタ」をご紹介します.

 今年に入っても昨年から話題となっている「梅毒」の流行に歯止めがかからず,過去最高のペースで患者数が増加しています.また「麻疹」も昨年に,コンサート会場や関西国際空港を中心とした集団感染が大きな話題となりましたが,今年も全国各地での発生が報告されています.麻疹は空気で感染が伝播する非常に感染力の強いウイルス感染症です.麻疹の治療薬はないので,ワクチンで免疫を作って予防することが基本です.われわれ医療従事者が,まずは感染することがないように率先してワクチンによる対策をとっておくことが重要です.実際,山形県で発生した麻疹の集団感染では,その発端となった患者を診察した研修医が麻疹に感染したケースがありました.

基本情報

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検査と技術
45巻7号 (2017年7月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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