検査と技術 45巻6号 (2017年6月)

病気のはなし

痛風 谷口 敦夫 , 瀬戸 洋平
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Point

●痛風とは,関節内に形成された尿酸塩結晶に起因する関節炎を主徴とする疾患である.主要症状は母趾中足趾節(MTP)関節などに生じる急性関節炎であり,痛風発作と称される.痛風発作は間欠性であるが,その基礎病態である尿酸塩結晶の沈着は持続性であることが重要である.

●痛風はわが国で増加している.

●欧米の疫学調査で,痛風は心血管疾患,脳血管疾患,2型糖尿病,慢性腎臓病,尿路結石を発症するリスクが高いことが示されている.

●痛風特有の検査として,偏光顕微鏡を用いた尿酸塩結晶の証明がある.診断に大きな威力を発揮する.

●痛風の治療には,痛風関節炎の治療,痛風発作の予防,長期にわたる高尿酸血症の是正の3つの目標がある.生活指導は基礎療法として重要である.

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Point

●安全な手術を遂行するためには,高い専門性を前提とし,他職種と連携しあうチーム医療が重要となる.

●経頭蓋刺激は,刺激強度により刺激される部位が変化する.

●コントロール波形が低振幅の場合は注意を要する.

●手術操作による波形の変化を疑った場合は速やかに報告する.

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Point

●膵管癌,退形成性膵癌の多くは,Diff・Quik(ディフ・クイック)染色所見で細胞診断することが可能である.

●神経内分泌腫瘍(NET),腺房細胞癌,自己免疫性膵炎,膵充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)などは,Diff・Quik染色,Pap染色の細胞所見で疾患を疑い,免疫組織化学染色で確定診断するので,セルブロックに十分な細胞量を確保する必要がある.

●細胞検査士がオンサイトで標本作製,細胞判定することが診断率向上につながる.

●携帯端末を利用することで良性,悪性を判定できる症例がある.

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PD-1とは

 PD-1(CD279)は,50〜55kdのtypeⅠ膜貫通型糖蛋白で構成された,CD28ファミリーに属する免疫抑制性補助シグナル受容体であり,1992年に京都大学のIshidaら1)によって単離,同定された.PD-1は,主に活性化したT細胞に発現し,そのリガンドPD-L1(CD274,B7-H1)あるいはPD-L2(CD273,B7-H2)と結合すると,T細胞の抗原受容体からの信号を抑制し,T細胞機能を抑制する(図1)2).PD-L1は樹状細胞や血管,心筋,肺,胎盤などの正常細胞に幅広く発現しているが,PD-L2は樹状細胞に限定して発現している3)

過去問deセルフチェック!

血中薬物濃度測定(TDM)
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 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説
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問題1:1.は強心配糖体,2.は気管支拡張薬,4.は抗菌薬,5.は抗てんかん薬であり,TDMにより副作用のない効果的な治療を行う必要がある薬剤である.3.プレドニゾロンは合成副腎皮質ホルモン製剤であり,副腎皮質ホルモンは生体で合成されており,TDMの必要はない.

問題2:多くのTDMを要する薬剤は血清(血漿)を検査試料とするが,2.の免疫抑制薬は赤血球に侵入するため,全血を検査試料として用いる.免疫抑制薬にはシクロスポリンなどがある.

疾患と検査値の推移

急性膵炎 辻 喜久
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Point

●急性膵炎は重症化した場合,死亡率は現在でも決して低くない.

●予後を改善するためには,正確な診断と重症度評価に基づき,適切な初期治療をできるだけ早く開始することが重要と考えられている.

●発症早期の正確な重症化予測は容易ではない場合も多い.

●急性膵炎患者の多くは若い働き盛りの男女であり,悲惨な予後を回避するために,医療関係者の不断の努力が必要である.

連載 人の心に寄り添う医療人になる・17

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無意識を理解する

 山藤:この連載は「人の心に寄り添う医療人になる」というテーマなんですが,これまでに対談をしてきた方々とは皆,結局どう生きてきたかという,自分自身を掘り下げる話をたくさん突き詰めてきました.もしかしたらタイトルの印象からは「あれっ」と思った読者の方もいらっしゃるかと思いますが,僕は心身統一合氣道で学ぶ中でも,寄り添うという前提にはまず自分である,他者を思うという前提にはまず自分である,この自分というところをまず学ぶ,その結果,「人の心に寄り添う」ことになると感じています.先生,その辺りどうですか?

 藤平:「人の心がわからない」という人は,自分の心の状態もわかっていないことが多いですね.形のあるものばかりに目がいき,形のないものを忘れています.自分の心を大事にできない人は,人の心を大事にすることはできません.それは決して「自分のことだけを大事にする」という意味ではなくて,「自分の心に向き合う」ことであり,「自分の心の状態を正しく知る」ということなのです.

連載 生理検査のアーチファクト・5

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こんなアーチファクトを知っていますか?

 僧帽弁位生体弁の弁座付近に見える塊状エコーは疣腫(vegetation)でしょうか(図1)?

 このエコー画像だけを見れば,確かに生体弁の弁座に付着した疣腫に見える.もし,発熱症状がある患者であれば,感染性心内膜炎を疑うことは必至であろう.しかし,アーチファクトの可能性はないだろうか?

臨床検査のピットフォール

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はじめに

 細胞診検査では,パパニコロウ(Papanicolaou)染色の他にギムザ(Giemsa)染色が併用されることが多い.ギムザ染色は,血液・リンパ球系細胞の観察を目的として広く用いられているが,その他の検体においても種々の利点があり,細胞診断に有用な情報が得られることも多い.今回は,細胞診ギムザ染色標本でメタクロマジーを示す物質に焦点をあて,解説する.

ワンポイントアドバイス

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はじめに

 前回(45巻5号)では,12誘導心電図でみられた症例を参考に,QRS波の波形の特徴から,心室頻拍と心室内変行伝導を伴った上室頻拍との鑑別方法を紹介した.今回は,当院のホルター(Holter)心電図でみられた症例を参考に,ホルター心電図の観点から,心室頻拍と心室内変行伝導を伴った上室頻拍との鑑別方法を紹介する.

臨床医からの質問に答える

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はじめに

 肺拡散能力検査は,肺胞から肺胞毛細血管膜を通って血液中に至るまでのガスの拡散しやすさを評価する呼吸機能検査である.本来は酸素の拡散を測りたいが,それは難しいため,指標とするガスには一酸化炭素(CO)を用いて,一酸化炭素肺拡散能力(diffusing capacity of the lung for carbon monoxide:DLco)を測定している.

 DLcoの測定方法は,1回呼吸法(single breath method),恒常状態法(steady state method),再呼吸法(rebreathing method),連続呼気採取法(intrabreath method)などがある.このうち1回呼吸法は測定時間が短く,測定値のバラツキも少ないという理由から,現在最も普及している.

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Q HPLC法によるHbA1c測定において,変異ヘモグロビンを正確に検出するコツを教えてください.

A 日常の臨床検査におけるHbA1c(hemoglobin A1c)測定によく用いられるHPLC(high performance liquid chromatography)法では,そのクロマトグラムに異常なピークが観察されることがあります.その原因の多くは変異ヘモグロビン(hemoglobin:Hb)によるものであることは皆さんよくご承知のことと思いますが,この度のご質問に一言でお答えするとしたら,「HbA1c測定用HPLCで変異Hbを正確に検出することは不可能です」となります.これについては本誌36巻1号(2008年1月)の「臨床医からの質問に答える」のコーナーで詳しく述べています1)が,あらためてわかりやすく解説したいと思います.

オピニオン

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医療全般のなかで臨床検査技師が担っている役割

 私は長年臨床検査技師教育に携わってきたが,そうした私の経験から臨床検査技師教育に何が必要かについて言及するとすれば,極めて単純ではあるが“時代の要求する人材の供給”である.衛生検査技師から始まった臨床検査技師の歴史を教育サイドから見てきて,私は,医療現場において,臨床検査技師は,医師と同じようなレベルで病院内全体の流れを的確に判断できる人材として,抜群の能力を有していると判断している.

 病院の大きな業務は,患者の診断と治療であるが,そのどの段階においても臨床検査データが必須の要素である.臨床検査技師はいまや化学検査,生理検査,病理検査,MRIや内視鏡検査まで,ほとんど全ての検査に携わることができる.したがって,院内で訓練を積めば,患者の健康状態の判断が医師と同じような範疇でできる.臨床検査技師にこのような能力があることは,大学病院などの医療技術部長の多くを臨床検査技師が担っているという事実から推測できる.私は,このように院内の重要な部門のまとめ役になることを想定して教育を行うことが,臨床検査技師教育に大切なことの一つと考えている.

ラボクイズ

微生物検査 静野 健一

5月号の解答と解説 内田 文也

書評

感染対策40の鉄則 吉田 眞紀子
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「鉄則」が自分のものになるまで何度も読み返したい

 文字通り,一字一句見逃せず無駄な言葉が一つもない,真剣勝負の感染対策の本が発刊された.「感染対策の本」は,既に多数出版されており,その中には良書も少なくない.しかし,本書は,これまでのいかなる書籍とも立ち位置がまったく異なる,まさに“Only One”の書である.

 筆者は,聖路加国際病院QIセンター感染管理室に所属し,日々現場で感染対策を実践しておられる坂本史衣さん.公衆衛生学修士(MPH),感染制御・疫学認定機構による認定(CIC)に裏打ちされる疫学と感染対策の実践者である.

INFORMATION

第47回平衡機能検査技術講習会

『臨床検査』6月号のお知らせ

あとがき・次号予告 横田 浩充
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 現在,3月末です.この時期,大学では卒業式も終わり一段落ですが,新年度の準備に加え,新4年生は就職活動開始で進路相談などの職務が増えています.最終学年の学生は卒論研究と進路,国試の準備も重なり,心配ごとが多い訳です.自身が学生の頃は就職活動も短期決戦でしたので気楽に構えておりましたが,社会のサイクルは変わったものだと感じています.さて,桜の開花が確認されましたが,寒暖の差が激しく春が待ち遠しいところで,第63回臨床検査技師国家試験の合格発表がありました.新卒の合格率は89.9%と高位安定しており,問題の難易度も含めて例年並みの結果と判断されました.当方でもこちらは暖かい春がやって来ました.

基本情報

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検査と技術
45巻6号 (2017年6月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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