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急性腎障害マーカーとしての尿中NGAL
森 潔
1,2
,
田中 聡
3
,
森 典子
3
1静岡県立総合病院腎臓研究科
2静岡県立大学薬学部分子臨床薬理学
3静岡県立総合病院腎臓内科
pp.724-727
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206893
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はじめに
2017年2月,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の補助診断法として,尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin:NGAL)検査に診療報酬点数が付与され,いよいよ保険診療内での測定が可能となった.先だつ2015年6月に,尿中NGALの測定法は厚生労働省による製造販売承認を得ていた.尿中NGALは重症AKIの早期診断法として注目されている.
2004年にAKIのRIFLE分類(risk,injury,failure,loss,end-stage kidney disease)が論文化されて以降,“急性腎不全”の早期診断の重要性が認識されるようになった.血清クレアチニンの軽度上昇あるいは乏尿の持続をAKIとして診断するようになったのである.同じころにNGAL,L型脂肪酸結合蛋白(liver-type fatty acid binding protein:L-FABP),KIM-1(kidney injury molecule-1)などの腎障害の新規尿中バイオマーカーが見つかったことから,これらの臨床での有用性も検討されはじめた.“急性腎不全”の早期診断を目的としてAKIの概念が登場したのだが,尿中NGALによりさらにAKIの早期診断が可能であることがわかってきた.
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