保健婦雑誌 37巻7号 (1981年7月)

特集 健康で住みよい町づくり,村づくりを

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録

ごあいさつ 山本 裕子
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 第13回自治体に働く保健婦のつどいが,名古屋で開かれますことを,皆さまとともに喜びあいたいと思います。

 この名古屋は,全国から50人の保健婦が集まって産声をあげた思い出多い所です。

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 出発の地名古屋にもどって開催された第13回自治体に働く保健婦のつどいは,豪雪による交通マヒにもかかわらず1,000名を超える保健婦の参加をえて,ここに無事終了しました。

 分科会では,厚生省の切捨の方向が出される中で,年々参加者も増えた結核問題で,保健婦のとりくみの重要性を確認したこと,乳幼児の分科会では技術のみの追求でなく,地域の子供達の発達をどう守るかまで話しあいが発展できた等,数多くの分科会で討議の内容を昨年よりも一歩前進をさせる成果を生み出すことができました。又,保健所・保健センターの分科会では,千葉市にみられるように大都市でも保健所を作らず,保健センターにかえる等の危険な動きのある中で,"保健所増設"のため,先進的に運動をすすめている岡山市の活動に学ぶことを確認しました。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 基調講演

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 現在,日本の経済は不景気だと言われております。もっとも,この不景気というのは,わりあいになだらかにきて,ことし(56年)の春,あるいは秋くらいには,またなだらかに回復していくだろうと言われています。ごくなだらかな不景気が,いつの間にか忍び寄ってきて,いつの間にか立ち去っていくだろう。この間,経団連の会長さんでしたか,日本の財界の総大将という方が「これからの春闘に対して,できるなら賃上げはゼロに済ましてもらいたい。この不景気を乗り切るまでは,賃上げはゼロに済ませてもらいたい。景気がよくなれば,ボーナスくらいは少しよけい出すようなことも考えるので,いまは我慢をしてもらいたい。」という発言をされています。不景気という面にこだわって言えば,"経営者の方"がそう言うのも,1つの流れかもしれません。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 基調報告

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1.つどいの成果

 保健婦のつどいは13回を迎え,誕生の地である名古屋に帰ってまいりました。第1回の集いを名古屋で開いた時は,50人の集まりでした。その時お世話をしていただいた前田黎生さんは定年退職をされ,今回名古屋でお世話くださる実行委員の方々は,途中から参加された若い方々です。13年の年月は多くの保健婦をつどいに参加させ,考え,行動する仲間をふやしてきたと思います。

 これまでにつどいが果たした役割を考えますと,1つに,"仕事を科学的に考えてみる"ということがあげられると思います。乳幼児健診をみなおし,質の高い健診を行うために"発達保障"の学習が,横浜,東京,京都,大阪だけでなく,群馬,長野,福岡などへも広がり,実践されています。精神衛生は群馬の実践が,全国へつどいを通じて飛び火をしていきました。難病についてはつどいで学び試行錯誤しながら実践しているという北海道の報告があるように,保健婦の自発的なとりくみがはじめられています。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 分科会

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2つの事例紹介

 司会 長野と北海道の方から事例をいただいていますから,その事例の報告を受けて問題を深めていきたいと思います。では,最初に長野の信濃町の事例をお願いします。

公害と保健婦の活動 中川 武夫
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川崎市における取り組み

 報告(かけはしの会) 川崎市の中では,南部と北部が非常に取り組みが進んでいます。最近はNO2の問題とか,環境基準値の緩和による問題,また実際ケースとかかわる中で,前駆症状がないままに,突然呼吸困難の発作に襲われる等,症状の出方も変化してきています。この実態を踏まえて,川崎市における患者さんの経過とか,現状の問題点は次のようになります。

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漢方と健康保険

 昭和39年に,初めて生薬が60種類程健康保険に入りました。漢方の煎じ薬の材料になる生薬が保険で使えるようになって,漢方治療を健康保険でやっていた方もいましたが,薬価基準の値段が安く,例えば朝鮮人参がその当時薬価基準で1グラム7円だったんですが,市場で買いますと20円位するといった状況でした。20円で買って7円で出さなければならない。そういう事情もありまして,保険でやる先生はほとんどありませんでした。それが,いわゆる漢方ブームが定着する中で取上げざるを得なくなってきました。

 そういう状況の中で,昭和51年の9月にエキス剤つまり,インスタント漢方薬が50種程健康保険に採用されました。インスタント—コーヒーの技術が進んできて,漢方薬も煎じたものをエキス剤にする技術が大変発達してきて,インスタントでもかなりいいものができるようになりました。その後53年の4月に大幅に追加され,昭和56年1月現在90種類程のエキス剤が健康保険で使われるようになりました。その後,又新たに40種程のエキス剤の申請が出まして,それが56年中には通るのではないかと思います。それが通りますと全部で140種類位になります。大体その位あれば,一般診療には間に合います。漢方エキス剤がほぼ出そろったわけです。

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 司会 まずレポートの発表から入りたいと思います。

老人問題と保健婦活動 大友 信勝
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 司会 老人問題は,高齢化社会に向けて脚光を浴びている問題ですし,実際に地域では重要な,非常に身近な問題として,私たちの仕事の中に入り込んでいます。実際にそれをどのようにやっているのか,それからどういう問題があるのか,私たちはどう対処したらいいのか,またはどのようにやってきたか,そしてどういう問題が残っているのかという点について,情報交換をして,どう老人問題にかかわっていったらよいかが明らかになるような分科会になればと思います。

 事例がいくつか出ていますので,報告の方を先にしていただいた方がよいと思います。よろしくお願いします。

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難病と保健婦の活動

◇難病に対する取り組みの実態

 (名古屋市):保健所としての取り組みはされていないがほってはおけないので自主的に活動を始めている。しかし,患者の方がよく勉強をしていて,保健婦が何をしたらよいのかわからずに苦しい。

自由交流会から
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<合成洗剤問題を考える交流会>

 健康とのかかわりで保健婦はどのような観点をもつ必要があるのか,どのようにとりくむべきかを柱に,すでにとりくんでいるところの実践報告を受けながら交流を進めました。

 ◆参加者の合成洗剤に対するとりくみをみると次下の4つに分けられました。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 実践講座

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 私は看護の歴史についてはいままでにいくらか学んできましたが,今回の依頼をうけたとき,木下安子さんに"保健婦の歴史ってどんなものがあるのか"と聞いたくらいで,保健婦の活動の中身を知っているわけでもないので,とんちんかんな話をするかもしれません。

 さきほどから皆さんのお話を伺っていますと,皆さんはいま保健婦の活動に何らかの問題を感じている,あるいは保健婦活動が1つの転換期に差しかかっていると感じていて,若い方は先輩の歩みから何かを学び取ろうとしている,またずっと長いこと活動してこられた方は自分の記録を残す必要を感じている,いずれもが現在保健婦の活動が転換期に差しかかっていて,将来を展望するために歴史を綴る必要を感じておられるようです。それだけおわかりになっていれば,もう私が言うことはないんですけれども,私は歴史学の専攻者であり,皆さんはそうではないということで,歴史とは何かという話をして,皆さんが自分の考えをまとめる上で,いささか参考にしていただこうかと思います。

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 小林 保健所行政・保健婦行政はほんとに厳しい時代になってまいりました。今年度予算におきましても,防衛費などはすごく増大したのに,保健衛生とか福祉面では非常に貧弱な予算になっています。昨年末,私たちは補助金問題でみんなと一緒にそのままおいておくようにという運動を展開したような状態も続いております。

 その中で,やはり健康問題におきましても,私たちが日ごろ行っています健康についての良心的な運動が,健康産業などの手先に使われたりというようなことは皆様ご存じかと思います。国民の食品,健康用具,家庭用具におきましても,資本の利潤の手がぐうっと伸びているときに,ほんとの私たちの健康づくり政策とはどういうものなんだろうかということについて,日ごろ悩んでいるわけです。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 基礎講座

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働いている人の生活を知る

 司会 この基礎講座では≪地域で働く人々の健康をみつめる≫というテーマで勉強したいと思います。先生のお話を聞く前に,この集いの基礎講座に労働問題を取上げた意義について,述べてみたいと思います。

 この集いは≪自治体に働く保健婦の集い≫です。つまり,自治体に働いている皆さん方が,住民とのかかわりの中でどういう保健活動をするのかということを勉強するのがねらいであります。しかし,地域にいる保健婦は,働いている人の現場を割合に知らないのではないかと思うのです。このことは,79年に名古屋で社会医学研究学会が開かれた時に,本日の講師である山田先生を中心に大都市における中高年齢者の死亡が非常に高いということが問題になり,いろいろと討論されました。働いている中高年齢者は社会保障制度があっても,健康保険があっても,毎日の仕事に追われて,地域に保健医療機関があっても,それを全く利用していないことが指摘されました。

"組織づくり"を活動の基盤にすえて 第13回自治体に働く保健婦のつどい集録 記念講演

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はじめに

 私の人生55年の過程で,保健婦活動は35年目を迎えました。私自身の保健婦活動を歴史的に眺めてみる機会を与えられ,その上,多くの保健婦の皆様の前で,お話しができることを光栄に思います。

 この集いに私が始めて参加したのは,昭和46年に開催された第3回の集いであり,場所はこの愛知県でした。以後この集いから学んだことが多くありましたので,今回この愛知県でお話しができることは,私にとって意義深く,喜びでございます。

基本情報

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保健婦雑誌
37巻7号 (1981年7月)
電子版ISSN:2185-4041 印刷版ISSN:0047-1844 医学書院

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