書評
—McCaffery, M. 中西睦子訳—Nursing Management of the Patient with Pain―痛みをもつ患者の看護
登坂 有子
1
1虎の門病院
pp.181
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205694
- 有料閲覧
- 文献概要
めざましい医学の進歩は苦痛を取り除くためにも大きくその役割を果たしてはいるが,一方綿密な診断,治療が行われる時には,その行為の1つ1つに伴う苦痛や不安も複雑で,かつその頻度も増してきているといえよう。又,医療が行われる場は患者を中心にしているとはいっても,多面的な医療内容や診療体系の専門分化の中で,患者は細分化され,その統合が困難な状況に置かれている。体と心の結びつきは観念的に理解できていても,総合体としてとらえることにあまりにも未熟であり,医学的アプローチに片寄ってしまっていることも事実である。極言すれば,そこに看護の独自性の稀薄な面を痛感するのである。
だからこそ最も患者の身近かにある看護婦が,痛みや不安の看護に真剣に取り組まなければならないのではないだろうか。そんな時,患者に密着して書かれた"痛みをもつ患者の看護"が翻訳出版されたことに大きな喜びを感ずる。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.