臨床皮膚科 43巻12号 (1989年11月)

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症 例 78歳,男性

初 診 昭和62年5月15日

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 白色結合織母斑のみられたプリングル病の2例について報告した.症例1(49歳,男子)は,腰臀部に白色のshagreen patchがみられ,症例2(43歳,女子)は,躯幹・四肢に白色丘疹が播種状にみられた.これらの結合織母斑の脱色素斑は,組織学的,電顕的検索から,メラノサイトの数の減少に由来するもので,メラノサイトそのものの異常によるものではなく,結合織の形成異常に付随して生じたものと推測した.また,白色結合織母斑とプリングル病にみられる白斑との関連性についても考察し,両者は全く同一の機序によって生じたものと推論した.

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 Hallopeau型増殖性天疱瘡を2例経験した.症例1は典型例,症例2は皮疹分布が特異であったが,2症例とも蛍光抗体法陽性で組織学的に表皮内好酸球性膿瘍および棘融解像が観察された.本疾患の内外報告例をまとめてみたところ,口腔内初発例が多く,本邦では男女同数,欧米では女性に好発することがわかった.また,本疾患は増殖性膿皮症と混同されることが多いので,自験例ならびに報告例について免疫組織学的知見も合わせ種々検討を加えた.

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 高IgE症候群の4歳の男児例を報告した.臨床的には慢性湿疹様の皮疹を呈し,皮膚・肺に反復する黄色ブドウ球菌の感染が認められ,皮膚びらん面および咽頭粘液より黄色ブドウ球菌が分離同定された.免疫学的には血清IgEおよびIgGの高値,pan T細胞とsuppressor T細胞の減少,活性化T細胞の増加およびhelper/suppressor比の増加が,好中球機能ではchemotaxisの低下およびleukotorien産生能の増加が認められた.IgE-RAST検査では卵白,ミルクで陰性,ダニ,ハウスダスト,アスペルギルス,カンジダにて陽性を呈した.抗原特異的IgE抗体はカンジダ,ダニにおいて陽性を示した.最後に,本症とアトピー性皮膚炎との異同および好中球機能と病像形成との関連について考察した.

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 46歳,女性.頭頂部の萎縮,陥凹性脱毛斑を主訴に来院組織学的に,毛包上部周囲のリンパ球浸潤に始まり,毛包の消失,真皮の著明な線維化へと至る所見を認めた.なお,一見正常な毛包下部周囲に弾力線維の増生を認めたことからfibrosing alopeciaとの,電顕的にプライウッド構造を認めたことからmorpheaとの異同が問題となる.

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 67歳,男,両下腿および腹部に水疱,小丘疹を伴う紅斑が出現.水疱部の皮膚生検にて真皮上層および血管周囲に顆粒状の沈着物が帯状に認められ,チオフラビンT染色にて蛍光を発した.ダイロン染色,コンゴーレッド染色にても陽性を示した.皮膚および腎糸球体の電顕所見では,ともにアミロイド細線維を認めた.免疫学的検査では,IgGλ型のM蛋白血症を認めた.全身性原発性アミロイドーシスの皮膚症状として水疱形成を伴ったものと診断した.

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 銀杏大量摂取後に発症した53歳男性,落葉状天疱瘡の症例を報告した.病初期には日光による皮疹の誘発,増悪が見られた.経過中,病理組織学上二段構造の水疱,すなわち,その中央部では表皮下層と角化層に水疱形成が見られ,また辺縁部では表皮中層に水疱裂隙が認められた.治療はプレドニン120mg内服とエンドキサン,シオゾール併用にて初めて軽快傾向を示した.

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 75歳,男性.経口糖尿病薬であるglymidine sodium内服開始2カ月後に日光暴露により裸露部に紅斑が出現した.UVA, UVBの最少紅斑量は著明に低下し,同剤の内服照射試験は陽性で,投与中止により臨床症状の改善がみられ再燃はなかった.しかし,薬剤光パッチテストは陰性であった.以上よりglymidine sodiumによる日光過敏型薬疹と診断した.

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要約 57歳,男.両側眼瞼部,眉間,両頬部,口唇周囲に半米粒大から小豆大に至る暗紫紅色の結節性病変が集簇ないし散在する.初診時,臨床的に顔面播種状粟粒性狼瘡と考えられたが,組織学的には乾酪壊死を認めない毛包中心性の類上皮細胞肉芽腫を示したこと,他臓器に結核病巣を認めなかったこと,テトラサイクリンの内服にて急速に皮疹の軽快を見たことを合わせ酒皶性痤瘡に基因するものと考えた.

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 両側性非対称性帯状疱疹の4例(74歳女,28歳男,3歳女,16歳男)を報告した.4症例の皮疹は典型的で容易に視診により帯状疱疹と診断しうるものであった.皮疹は数日間のずれをもって相離れた神経節領域に発症しており,4症例はすべて右側の皮疹が先行していた.発症年齢は4例中3例が小児期から青年期であり,通常の帯状疱疹と比較して若年者に多い傾向を示した.自験例は合併症や帯状疱疹後神経痛などの後遺症はいずれも認められず1から3週間で略治した.本邦報告例についても若千の考察を加えた.

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 66歳,男.10年前糖尿病を指摘されるも放置,初診の1カ月前,以前から右足底に存在したウオノメ様皮疹が化膿し,徐々に足背部まではれてくるようになった.初診時には右足関節部まで暗赤褐色に腫脹し,圧迫により握雪感をふれ,瘻孔より膿汁とともに泡沫状気体の排出が認められた.X線上足関節部にまで皮下ガス像がみられた.局所および血液培養にてBacteroides fragilisが検出され,non-clostridial gas gangreneと診断,治療は切開,洗浄,抗生剤,輸血,糖尿病のコントロールがついた後,下腿中央部で切断術施行.糖尿病患者の下肢に生じたnon-clostridial gas gangreneについて若干の文献的考察を行った.

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 73歳の家婦の右前腕に生じたTrichophyton violaceumによる体部白癬例を報告し,若干の考察を加えた.われわれが調べた限りでは,頭部白癬がなく体部白癬のみの例はわが国では,最近の18年間に14例のみであり,病変が上肢にみられたのは本例が2例目であった.Trichophyton violaceumは,分生子形成が難しい菌の一つであるが,われわれは,特殊肥沃培地でのスライド培養や走査型電顕を用いて,厚膜胞子のほかに小分生子を観察することができた.しかし,大分生子の確かなものはみられなかった.また,小分生子の表面はきわめて平滑で,小型の楕円形を示した.

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 59歳,女性.6年前の自動車車故で,フロントガラスが粉砕し,顔面,手足にふりかかり,以後,その部位よりガラス片が出てくるという訴えで,自傷行為を繰り返していた症例を経験した.入院後,抗生剤含有ステロイド軟膏他を塗布後,十分被覆し,皮疹は軽快した.神経科受診により,体感幻覚と診断された.家庭環境の変化,保険金支払いの等級上昇を希望していることが自傷行為に関係あるものと思われる.

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 76歳,男子にみられたeccrine porocarcinomaの1例を報告した.生下時より頭頂部に小豆大の小結節があり放置していたが,1年半前より徐々に増大し超鶏卵大となるとともに両頸部リンパ節を数個ずつ触知するようになった.腫瘤切除および右頸部リンパ節郭清術を施行した.組織学的に大小の管腔様構造を呈しながら,真皮内へ浸潤性増殖を示す表皮由来腫瘍細胞巣を認めた.管腔様構造内容物と管腔に内面する細胞の一部にCEA陽性所見を認めたが,S−100蛋白陰性であった.電顕学的に細胞質内に空胞形成,空胞内腔に面して微絨毛形成を認めた.また組織学的にリンパ節転移を確認した.

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 51歳,女性の左第5指DIP関節付近に生じたgiant cell tumor of tendon sheathの1例を組織学的および電顕的特徴を中心にまとめて報告した.外傷の既往はなく,初診1年前より出現した弾性硬の皮下腫瘤で,表面皮膚はやや褐色調を呈し,自覚症状はない.組織学的所見では,実質は,多核巨細胞をはじめとし組織球様細胞,線維芽細胞様細胞,筋線維芽細胞様細胞よりなり,ヘモジデリンの沈着もみられた.間質は膠原線維結合織よりなり,硝子様変化もところによりみられた.電顕像では,種々の構成細胞の同定には至らないが,巨細胞は細胞質に特徴的な構造を呈していた.

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 木村病の2例を報告した.症例1は33歳女性で,15年前より右上腕内側の皮下腫瘤があり,手掌大に増大した.症例2は47歳男性で,5年前より両側耳介周囲に鶏卵大の凹凸不整の隆起性局面があった.いずれも組織像では,真皮から皮下組織にかけてリンパ濾胞様構造を伴う好酸球,小円形細胞の多数の浸潤,血管の新生および肥満細胞の増生をみ,さらに症例1では濾胞様構造に一致してIgEが網状に存在した.一般検査では,2例とも末梢血好酸球数および血清IgE値の上昇を認めた.合併症状として,症例1ではクインケ浮腫,蕁麻疹,痒疹,症例2では喘息,痒疹を伴った.治療は2例ともプレドニゾロン30mg/日投与し,症例1では60Co照射を併用した.症例1では腫瘤は消失しているが,クインケ浮腫,蕁麻疹は時々出現し,症例2では現在もプレドニゾロン5mg/日投与中であるが,腫瘤は完全には消失していない.

基本情報

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臨床皮膚科
43巻12号 (1989年11月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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