- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
国内の食品の安全性の確保のための努力は行政・業界を挙げて行われているが,国内での食中毒の発生は,なかなか減少傾向がみられない.しかも,ある研究1)によれば,実際の感染症被害は届け出数よりもはるかに多く,高齢化に伴い食中毒リスクが高まることも懸念されている.また,ここ数年ガラスや金属などの危害性のある異物混入やアレルゲン表示の欠落,期限表示の誤記などによる食品回収事例も増加傾向にある.さらに,近年の食品流通のさらなる国際化や,食品製造の現場での外国人労働者の増加,訪日外国人観光客の増加,さらには東京オリンピック・パラリンピックの開催などを見据えると,わが国の食品衛生管理の水準が,国際的にみても遜色のないものであることを国内外に示していく必要性が高まっている.そこで,すべての食品等事業者において自主管理の推進を図るため,定められた衛生管理基準に従って,一般衛生管理およびHACCP手法による衛生管理とそれを実施することなどを求める方向で食品衛生法の改正が検討されている.衛生管理の基準については,HACCPの7原則を満たすことが基本であるが,小規模事業者,飲食店,販売業などの一定の業種などについては,食品の特性や事業者の状況に応じて,現行の一般衛生管理の着実な実施を基本に,HACCPの考え方に基づく手引書などを参考とした取り組みを求めることが予定されている.すなわち,これからは飲食業をはじめとする食品関係の営業をしようとする場合には,必ず店舗ごとにHACCP手法に基づく衛生管理を実践しなければならない「HACCP手法制度化(=義務化)の時代」が間もなくやってくるのである.「KEY WORDS」HACCP手法,一般衛生管理の確立,微生物危害,危険温度帯と3分類,衛生管理計画,実践と記録
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.