連載 リレー連載・列島ランナー・126
屋内完全禁煙の飲食店を応援したい—煙らない美味しい飲食店紹介サイト「ケムラン」
伊藤 ゆり
1
1大阪医科大学研究支援センター医療統計室
pp.701-705
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209232
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はじめに
改正健康増進法1)と東京都受動喫煙防止条例2)(以下,都条例)によって2020年4月に飲食店における受動喫煙規制が始まる.東京都のみならず,いくつかの自治体も独自に受動喫煙防止条例を制定している.しかしながら,改正健康増進法,都条例ともに全面的な屋内禁煙を求めているわけではない.従業員の有無や敷地面積などによる条件設定,喫煙専用室の設置,加熱式たばこの容認など,国際標準である「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」3)を緩和した内容となっている.いずれにせよ,労働衛生の観点からも,法や条例の対象外の飲食店においても自主的な屋内完全禁煙の実現が期待されている.
東京都による受動喫煙に関する都民の意識調査(2017年)によれば,都民が受動喫煙を経験する場所としては,路上の83.7%に次いで飲食店が77.3%と屋内施設では最も高かった4).日本医療政策機構の調査によれば,飲食店を選ぶ際に喫煙可の店を避ける人は58.1%であり,利用客自体が禁煙の飲食店を選ぶ傾向が高くなっている5).一方で,禁煙の対策が取れないのは,客離れや売り上げの減少を理由とした飲食店が約半数あった6)(これは飲食店への調査).
民間の調査によれば,喫煙可能から禁煙に移行した店舗は増加傾向にある7).それによって店の売り上げに「特に変化がなかった」と回答したのは60%で,売り上げが増えたと回答したのは12%であった.禁煙に踏み切ろうか悩んでいる飲食店には,禁煙に移行できた他店の成功体験を共有することが重要である.
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