特集 衛生監視・指導行政の現状と課題
HACCPによる食品衛生管理の制度化の検討
道野 英司
1
1厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部監視安全課
pp.632-638
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208718
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに—検討の背景および経緯
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による食品衛生管理は,1993年にコーデックス委員会(国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization:FAO)及び世界保健機関(World Health Organization:WHO)によって設置された国際的な政府間組織)が定めた国際標準である1).わが国の政府は,1995年の食品衛生法改正で制定された総合衛生管理製造過程承認制度,1998年に制定されたHACCP支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)などによってHACCPの普及を図ってきた.大企業には普及したものの,中小企業における導入が伸び悩んでいる2).
厚生労働省はHACCPモデル事業の実施や,食品等事業者や都道府県等の担当者などから構成される普及推進連絡協議会の開催などの取り組みを進めているが,現行の任意の制度による普及の限界が指摘されており,義務化への具体的なロードマップを示すべきという多くの指摘がなされている.一方,欧米等においては先進国を中心にHACCPの義務化が進められ,輸出入食品にもHACCPを要件とする国が増加している.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.