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内容のポイント Q&A
Q1 かかりつけ医としての診察のポイントは?
病歴を丁寧に聴取し,日頃の身体所見を把握しておくことは,正確な診断や今後のリハビリテーション治療に役立つ.特に加齢性変化や二次障害を生じると,もともとポリオによる弛緩性麻痺がある状態に,新たな筋力低下や関節痛等が加わり,症状の新旧の判断が難しくなる.発症時を含む病歴の聴取,筋萎縮,側弯,脚長差,筋力,関節可動域,立位歩行の評価,基本的日常生活活動としてBarthel Indexの評価を行う.
Q2 機能維持のためのポイントは?
ポリオ罹患者の高齢化が進み,ポリオに伴う障害と加齢性変化への対応が必要である.具体的には,低負荷高頻度を基本とする運動療法,装具を含む歩行補助具や車椅子の適切な使用,過負荷や廃用を避ける生活指導が中心となる.これまでの医療保険や障害福祉サービスだけでなく,高齢化に伴い,介護保険による通所・訪問リハビリテーション,杖や歩行器,車椅子のレンタル,住宅改修,訪問介護等を活用できるケースが増えている.
Q3 注意すべき二次障害とその対応は?
ポリオ罹患者において注意すべき二次障害として,ポストポリオ症候群(PPS)が重要である.ポリオに罹患後,ある程度まで機能的に回復し,安定した期間を経て,新たな筋力低下や筋萎縮を主症状として,易疲労性,疼痛等,さまざまな障害を生じる病態である.PPSの対応は,ポリオ罹患者の機能維持と同様,運動療法,装具を含む歩行補助具や車椅子使用,生活指導が中心となる.PPSでは特に過負荷に注意する.
Q4 かかりつけ医として知っておきべき薬物管理・医学的管理は?
現在,ポリオ罹患者に特異的な治療薬はない.適度な運動(活動)を指導し,負荷量の目安は疲労感や筋肉痛が翌日に残らない程度,血液検査で横紋筋融解を示唆するCK値も1つの指標とする.その他,ポリオ罹患者の現状評価として,X線単純撮影,骨格筋CT,骨塩定量,肺機能,睡眠時無呼吸検査等を行う.新たな筋力低下等,PPSを疑う際は,針筋電図や装具療法等を検討し,自院で対応が難しい場合は専門医へ紹介する.
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